ユニオンエンタテインメント所属アーティストが顔を揃えるイベントとして話題を呼んでいる 『UNiON STAR’S』。
初開催となった昨年の反響の大きさを受けて、今年はガールズバンドをメ インにした“RED STAGE”とダンスユニットを軸にした“BLUE STAGE”に色分けされた 2DAYS 開催にスケールアップ。より充実感を増したイベントとなり、昨年同様shibuya duo MUSIC EXCHANGE で華々しく行われた。
8 月 11 日(土)に行われた“RED STAGE”は、新鋭のシンガーソングライターとして注目 を集めている大野舞のライブで幕を開けた。いつもは 1 人でステージに立っている彼女だが、 今回は Noble rebel の Mayu(g)と Laana(b)、 FUN RUMOR STORY の Sherry(key)、 RagnaRock の MaNa(dr)をバックに据えたバンド形態のライブを披露。
ウォームな「君がいるから」やス ロー・チューンの「おぼろ月夜に…」、爽やかに疾走する「夢 標」といった多彩な楽曲とエモー
ショナルなヴォーカル、快活なバンド・サウンドにマッチした明るい雰囲気のステージングな どで楽しませてくれた。オーディエンスのリアクションもよく、『UNiON STAR’S 2018』は上々 の滑り出しとなった。 続いてステージに立った RagnaRock は、「せーの!」や「GO MY WAY」「 TAKE OFF」といったキャッチーなアップテンポのナンバーで畳みかけるライブを展開。
フィジカルなステージングと躍動感に満ちたサウンドに、場内はいいムードで盛りあがった。残念ながら今回のステ ージは RagnaRock のラストライブとなったわけだが 4 人が生み出すチームワークは健在だった し、笑顔を交わし合うメンバーの姿やタイトなサウンドなどに目と耳を奪われた。
淋しさを漂 わせることなく、RagnaRock の真髄といえるアッパーなライブを最後に披露したのは見事。演 奏を終えた 4 人に向けて、客席から大きな歓声と温かい拍手が湧き起こったことが印象的だっ た。
Noble rebel のライブは「MASQUERADE」からスタート。マスクを被り、鮮やかなドレスを 身に纏ったメンバーの姿と翳りを帯びたサウンドの取り合わせが生むインパクトの強さは絶大 で、場内は瞬く間に Noble rebel の世界に染まった。
その後は、しっとりとした歌中と激しいサ ビ・パートの対比を活かした「事情~forbidden love~」やアッパーな「True Feelings」、力強く 疾走する「約束~reviving memories~」などをプレイ。ライブが進むに連れてボルテージをあげ ていき、激しくパフォームするステージは魅力に富んでいた。ショートライブで“静と動”をしっかり表現する辺りはさすがの一言で、強く惹き込まれずにいられなかった。
Noble rebel のライブに続いて、FUN RUMOR STORY の Takey(vo)と Mami(b)、 Noble rebel の Nachi(vo)と Mayu(g)、 RagnaRock の MaNa(dr)がステージに登場。1 日限定のスペシャ ル・セッション・バンドとして、X JAPAN の「Rusty Nail」と WANIMA の「やってみよう」を 聴かせてくれた。
豪華な顔合わせに加えて、笑顔で演奏するメンバーの姿やセッションバンドとは思えないスクエアなサウンドなどに客席からは歓声があがり、場内は大いに沸いた。こう いうコラボレートが見れることも『UNiON STAR’S』の楽しみのひとつなので、ぜひ今後も継 続してほしいと思う。
Saasha+Sweet Child はスタイリッシュかつメロウな「Driving high way」を皮切りに、メロデ ィアスな「サインポスト」や繊細なスロー・チューンの「ウデドケイ」などを続けてプレイ。
豊かな声量や群を抜いたピッチのよさ、それぞれの楽曲に合わせた細やかな表現力などが光る Saashaのヴォーカルと実力派揃いのSweet Childが奏でる洗練されたサウンドは“良質”の一言 に尽きる。アッパーなライブを行うアーティストが揃った“RED STAGE”の中にあって、やや 異質な存在でいながらオーディエンの心をしっかりと掴んだのはさすがの一言。ハイクオリテ ィーな音楽に加えて、Saasha の穏やかな人柄がその大きな要因になっていることも心に残った。
Raniは Carat の Mona(DJ)、 Noble rebel の Mayu(g)と共にステージに登場。普段の生バン ドとは異なるバックトラックを使ったスタイルで、「××警告」と「デビガール」を披露した。 アクティブにステージをいききして力強い歌声を聴かせるRaniの姿と気持ちを駆り立てる轟音 に場内の熱気はさらに高まった。その後はスペシャル・ゲストとして招いた ELLEGARDEN の 高田雄一(b)と NICOTINE の BEAK(dr)、韮バンドの独古翔( g)という編成にチェンジして、 「Rita」と「Shadow」をプレイ。
ベテラン勢に引けを取らない存在感を発していた Rani はさす がといえるし、歌唱力にさらなる磨きがかかり、高田のペンによる「Shadow」で新たな顔を見
せていることなども見逃せない。彼女がいい波に乗っていることを強く感じさせるステージだ
った。
『UNiON STAR’S 2018』は、高田雄一と BEAK、そして超飛行少年の小林光一(vo/g)が新 たに結成したMAYKIDZ が参加したこともトピックとなった。
歓声と拍手を浴びてステージに 立った彼らは「Hide And Seek」や「End Of Tragedy」「 Barograph」といったファスト・チューン を相次いでプレイ。キレの良さと音圧を併せ持ったサウンドとひたむきなヴォーカルをフィーチュアした彼らの楽曲は、爽快感に溢れていた。熱くパフォームするあまりギターのストラップがピンごと飛んでしまうというアクシデントに見舞われながらもテンションダウンすることはなく、怒涛の勢いでいきあげたのは実に見事。またひとつ注目のバンドが表れたことを印象 づけて、MAYKIDZはステージから去っていった。
“RED STAGE”のトリを務めた FUN RUMOR STORYのライブは、キャッチーな「Fighting MAN」からスタート。
メンバー全員が織りなす華やかなステージングと心地好いサウンドにオ ーディエンスも熱いリアクションを見せ、場内の熱気はさらに高まった。「Fighting MAN」で創 りあげたいい空気感を保って、爽やかな「Sunday Girl」やウォームなスロー・チューンの「永 遠に Happiness」、ハイテンションな「 Colorful Story」などをプレイ。オーディエンスの様々な 感情を突くメリハリの効いた構成も奏功して、場内なイベントの締め括りにふさわしい盛大な 盛りあがりとなった。
バンドとしての魅せ方を見つけたことを感じさせただけに、今後の FUN RUMOR STORYも本当に楽しみだ。
FUN RUMOR STORY のライブが終わった後、エンディングとして“RED STAGE”の出演者 全員がステージに姿を現した。みんなを代表して Rani が「『UNiON STAR’S 2018』は明日も続 きますけど、いい 1 日目にできたんじゃないかなと思います。ありがとうございます」と挨拶。 その後は出演者たちのサイン色紙のプレゼント抽選会や好きなメンバーとの撮影会、記念撮影などが行われ、ライブが終わったあとも場内の熱気は冷めることがなかった。
今回の“RED STAGE”を観て強く感じたのは、ガールズバンドのクオリティーは本当に高く なったな…ということだった。ガールズバンドというだけでもてはやされる面もあった昔とは異なり、今のガールズバンドは個性や魅力的なヴィジュアル、たしかな演奏力などを備えていないと頭角を現すのは難しい。そんな時代になったことで全体的なレベルアップが起こっていることをあらためて実感したし、そういう流れの中でユニオンエンタテインメントが大きな役割を果たしていることも感じることができた。今回の出演者たちの活躍に加えて、ユニオンエンタテインメントがこれからも魅力的な存在を発掘/育成してくれることを大いに期待したい。
『UNiON STAR’S 2018』の 2 日目となる“BLUE STAGE”は、オープニング・アクトを務め るSuper Break Dawn のパフォーマンスから始まった。
“ピン”と糸が張ったような緊張感が漂 う中、Super Break Dawn の 7 人はダイナミックかつしなやかなダンスを展開。完成度の高いパ フォーマンスにオーディエンスは息をのんで見入り、ライブが終わると同時に客席からは盛大な拍手と大歓声が湧き起こった。わずか 5 分足らずのステージで場内を“BLUE STAGE”の空 気に染めたのは、さすがの一言に尽きる。
“贅沢なオープニング・アクトだったな”と思う中、場内に軽快なサウンドが鳴り響き、ステージに甲斐ゆいかが登場。純白のドレス姿で「さくらんぼ」や「ケサランパサラン」といったキャッチーなナンバーをキュートに歌う姿は、正統派アイドルならではの可憐な魅力に溢れ ている。
等身大かつ明るい雰囲気の MC も含めて彼女の巻き込み力は絶大で、ライブを通して 場内はいいムードで盛りあがった。
声優や女優、タレントなど幅広いフィールドで活動を行っている彼女だが、アイドルとしても高いポテンシャルを備えていることを、あらためて実感さ
せられるステージだった。
続いてステージに立ったのは、千葉CLEAR’S。チアリーディングっぽさもあるカラフルなコ スチューム姿の 7 人がフィジカルなダンスを繰り広げるステージは本当に魅力的だった。彼女 たちのダンスはとにかく運動量が多いことが特徴で、ノンストップで激しく踊り続けるステー ジに圧倒された。
特に、「Stand Up!! Hands Up!!」のシアトリカルなテイストも織り交ぜたダン スを“ビシッ!”と決めたのはさすがといえる。12 月 15 日に初の単独公演が決まったことも あり、今後の千葉 CLEAR’S の展開にも大いに期待したい。
若干 18 才ながら優れた歌唱力を誇るシンガーとして話題を呼んでいるWa:Miは、良質な歌 声でオーディエンスを魅了した。ソウルフルな「Love On Me」やピアノを弾きつつ歌ったスロ ー・チューンの「ヒカリの花」、8 月公開の映画『RYOMA 空白の 3 か月』主題歌に決まったス タイリッシュな「最愛なるフレンド」など、表情豊かな楽曲のエモーションを巧みに表現するヴォーカルは見事。“どっぷりソウル”というようなパターンとは異なり、ブラック・ミュージックがほのかに香る耳馴染みのいい楽曲も実によかった。
“特攻服ガールズ(エア)バンド”覇汝家(HANAYA)のステージは、新メンバー3 名のお披 露目ライブとなった。メンバーそれぞれが白、黄、青、紫、黒の特攻服を着こみ、ロックンロール・テイストを活かしたアッパーなナンバーを振付きで歌うステージは魅力的だし、持ち時 間の中で聴かせたのは 2 曲だけで、あとはトークとお笑い芸(今回は総長がガチの顔面ゴムパ ッチンをされた)という構成も秀逸だった。
場内は爆笑の連続で、覇汝家が独自のエンターテイメント性を持ったユニットとして注目を集めていくことを予感させるライブだった。
爽やかな「Summer Love」でライブをスタートさせたLovRAVEは、エモーショナルな「ASAP ~愛が拡散する前にメドレー」や妖艶さが漂う「honey or die?」などを披露。華やかなダンスと ヴォーカルはもちろん、各メンバーが好きな衣装でパフォームするというアプローチも楽しめ
た。
こういう手法を採りつつ散漫な印象にならないのは、メンバーが織りなすダンスのシンクロ度が非常に高いことが要因といえる。 4 つの個性がひとつになって LovRAVE の世界を創りあ げていくステージは魅力に富んでいて、強く惹き込まれずにいられなかった。
Super Break Dawnはバック転やバック宙なども交えたダイナミックなダンスとメロウなヴォ ーカルをフィーチュアしたステージで楽しませてくれた。
メンバーそれぞれが個性をアピールしつつ息の合ったダンスを織りなす姿は観ごたえがあったし、かなりフィジカルなステージでいながら暑苦しくないのも実にいい。彼らはダンス、ヴォーカル、ユニットとしての存在感と いったあらゆる要素が上質で、始動から 1 年足らずということには驚かされた。
ハイクオリテ ィーなダンス・ヴォーカル・ユニットを探しているリスナーには、Super Break Dawn をチェッ クすることを強くお薦めしたい。
今回の“BLUE STAGE”では、山本夢プロデュースによるDream Dance Unitのステージも披 露された。
メンバーは Carat の Yume と Risa、千葉CLEAR'S の Kokoro と Miyabi、LovRAVE の Nanami と Kasumi、Wa:Mi、Yuna、Yuno、Raika、そして山本夢という面々。総勢 11 名の華 麗かつセクシーなダンスは素晴らしかったし、ダンスのシンクロ度の高さからはストイックな リハーサルを重ねたことがうかがえた。『UNiON STAR’S』でしか見ることができない貴重なス テージに、客席からは大歓声が湧き起こっていた。
Dream Dance Unit 画像 17/19
国内はもとより欧米、アジア諸国やインドなどでも活動を行っているシンガーソングライターとして知られる池田彩。
彼女はキャッチーな「ワンダーレールロード」を聴かせた後、イン ドの民族衣装を纏った LovRave とコラボレートした「ハロー!ハロー!ナマステ!」を経て、 「池田彩 プリキュア YoseatsuMedley」で畳みかけるというライブを展開。
“おおっ!”と思わ せるシーンの連続に場内の熱気はさらに高まり、一体感に溢れた盛りあがりを見せた。安定感や表現力に富んだヴォーカル、関西弁 MC、親しみやすい人柄なども含めて、充実した活動を重ねてきているベテランならではの魅力が光るライブだった。
“BLUE STAGE”を締め括る DJ&ダンスヴォーカルユニット・Caratのライブは、スタイリッ シュなダンス・チューンの「Ring Dong Ding Dong」で幕を開けた。透明感を湛えた歌声を聴か せつつ艶やかにダンスするメンバーたちが発するオーラは圧倒的で、ライブが始まった瞬間 “グッ”とステージに惹き寄せられた。
その後は男性ダンサー2 人を交えた「Kiss Me」や 「Compricated」、アッパー&ウォームな「 We gotta go」(新曲)などを披露。キュートさと大人 っぽさが Mix した Carat ならではのテイストは本当に魅力的で、メジャーデビューを果たしたこ とも納得できる。
オーディエンスもライブを通して熱いリアクションを見せ、ラストチューン となった「#SOTS」で場内は爽快感を伴った盛大な盛りあがりとなった。
全アーティストのパフォーマンスが終了した後は前日の“RED STAGRE”同様、出演者全員 がステージに姿を見せて、サイン色紙のプレゼント抽選会や好きなメンバーとの撮影会、記念 撮影などが行われた。
進行役を務める池田彩の軽妙な MC も絶妙で、ステージと客席は笑顔で 溢れ、『UNiON STAR’S 2018』は最良の形で幕を降ろした。
多彩な顔ぶれとスムーズな進行が相まって、“BLUE STAGRE”は見飽きることはなかった。 出演者のほとんどがニューフェイスでいながらクオリティーが高いことには、少なからず驚かされた。
この辺りからはユニオンエンタテインメントのタレント発掘力や育成力の高さがうかがえる。ここ数年でアイドルのあり方が多様化すると同時に、今まで以上に質の高さが求められるようになっているだけに、ユニオンエンタテインメントに所属している良質なアーティストたちが今後さらなるスケールアップを果たすことは間違いなさそうだ。