チケットが発売されると即完した今回のプレミア上映会。会場には、本作で子どもたちを守るために奮闘したヒロインと同世代である10代~20代の若い女性の姿はもちろん、老若男女問わず様々な世代の観客が多く見受けられ、場内はイベント開始前から熱気が充満。
待ち望んだファンの前に戸田恵梨香、大原櫻子、佐久間由衣、三浦透子、堀田真由、そして本作のメガホンを取った平松恵美子監督が姿を現すと、大きな拍手と歓声で迎えられました。足を運んでくれた観客に向けてまずはW主演の戸田と大原が、「本日はお越しいただき、ありがとうございます。皆さん、この作品は重たいんじゃないかなと?思っていると思うんですけど、隣にいる大原さんが演じたみっちゃんが、ものすごくこの作品を明るくしてくださいました。全然暗くないですし、笑顔で走り回っている子どもたちからは、たくさんの笑顔がもらえる作品です。どしっとかまえずに、ふらっと観ていただけたら幸いです」(戸田)、「お忙しい中、皆さんありがとうございます!そんな明るいみっちゃんを演じられているかどうかは、映画を観て確認してください!」(大原)と挨拶。続いて、「すごく前向きになれるような、エネルギーが詰まった映画です。今日は短い間ですが、よろしくお願いします。」(佐久間)、「皆で汗をかきながら、一生懸命映画を作りました。楽しんでいただけたらなと思います。」(三浦)、「戦争というものを、記憶から無くしていかないためにも、若い人たちにどんどん伝えていきたいな、と、責任をもってこの作品に取り組ませていただきました」(堀田)とコメント。平松監督は彼女たちの言葉を受け、「今5人の話を聞きながら、なんて頼もしい子たちと仕事ができたんだろうな、と感慨深い気持ちでいっぱいです。この5人の大活躍をみて、楽しんでいっていただければと思います」と想いを伝えた。
今回、それぞれが演じた、実在した保母さんを演じたことについて問われると、怒りの乙女と呼ばれながら保母たちのリーダーとして引っ張っていった楓先生を演じた主演の戸田は、「撮影に入る前は、他のキャストさんたちと全然年が離れてないと思っていて、私がリーダーに見えるのかな?と不安だったんですけど、年齢を聞くと皆20代前半で衝撃でした。年齢的に全然リーダーだなと思って(笑)怒りの乙女と呼ばれるキャラクターを演じていますが、普段、ずっとふつふつと自分の中で怒りを持って、何かに戦って挑んでいるということがないので、お芝居で怒りを表現することが非常に難しかったです。誰かと喧嘩をするように、何かを受けたことによって怒りをぶつけることはありましたが、心の中でずっと怒りがある人だったので、今まで経験したことのない怒りに苦戦した覚えがあります。子供たちが元気をくれる存在だったので、本当の保育園みたいな空間で、それぞれが本当の保母さんのようでしたし、すごく豊かな環境でした。」とコメント。
そしてもう一人の主演でありながら、楓とは正反対の天真爛漫でドジっ子なみっちゃん先生を演じたもう一人の主演、大原は、「年齢的にも、顔つき的にも童顔といわれる私が、保母さんって大丈夫かな?と最初は思ったんですけど、台本を読むと光枝は子どもたちと同じ目線に立って、一緒に楽しいことを探していく役だったので、カメラが回っていないときでも常に子どもたちと遊んだり、オルガンを演奏して子どもたちと歌ったり、大変なこともありましたけど、とても楽しかったです。」と、光枝の役を超えながら過ごした子どもたちの撮影を振り返ります。みっちゃん先生の大切な親友であり、お姉さん的存在でもあるよっちゃん先生を演じた佐久間は、「私が演じた役柄は、しっかりしているようでおっちょこちょいな部分があったり、唯一青春をしているような、普通の女の子でした。そんな姿をこの作品の中で表されていればいいなと思います。さくちゃん(大原)自身はすごくしっかりしているし、役柄の上でも、私も支えてもらっていました」と答えると、大原は「映画の関係がそのまま続いているな、と感じていました。撮影が終わった後は、ランチに行ったりね」と、サクサクコンビでもある二人は劇中以外でも親友のように過ごしていたよう。明るく元気いっぱいの力持ちで、諦めない強い心を持つまさこ先生を演じた三浦は、「とにかく声を出して、体を使って、子どもたちと触れ合おうと思っていました。役としてだけではなく、現場でも縁の下の力持ちになれれば、自然と正子さんのキャラクターもでてくるかなと思って撮影に挑みました」と、元気とパワーで皆を陰ながら引っ張る正子先生の役作りについて明かした。
みっちゃん先生の背中を後押しするようなしっかりものの堀田は、「私は終盤から皆さんとご一緒するので、どうにかコミュニケーションをとりたいなと思い、積極的に子どもたちへ声をかけていたら、『今、泣きたいから話しかけないで!』と言われちゃって(笑)小さい役者さんたちのパワーをすごく感じました」と、撮影秘話を語ると、皆クスクスと思い出し笑い。戸田は、「あの子かな~って、ヤッちゃん(笑)私にも、『素直にやったら、泣けた…』って言ってきて、もう女優ですよ!(笑)」と、会場は笑いに包まれました。キャストたちの素晴らしい役の掘り下げ方について平松監督は、「演技はこれから皆さん観て頂いたら納得していただけると思います。この映画はものすごく沢山の子どもたちが出てくるんですが、こういう映画って過去を振り返っても意外と無いんです。私は、演出をしながら子どもたち全員の面倒を見るのは無理だと思い、この5人を含め保母役の皆に頼りました。皆さんが役を演じながら、撮影前後の間まで子どもたちと触れ合い、面倒をしっかり見てくれたおかげで、子どもたちの自然な表情も切り取れました」と、自分たちだけではなく、子どもたちの演技まで上手く引き出してくれたキャストたちへ感謝の意を伝た。
(C)2018「あの日のオルガン」製作委員会 画像 3/5
またキャストたちは保母さんを演じるにあたって、実際の保育園で一日実習を経験したそう。ペアとなった戸田と大原は、「ひたすらに鬼ごっこをしていましたね。こんなに体力がいるんだなって学んだんですけど、先生たちは息が切れることもなく、すごいなと思いました」と、全力で子どもたちへぶつかりながら、保母のイメージを作り上げた。
印象に残っているエピソードについて戸田は、「例のヤッちゃんに、『大女優になりたいです。どうやったら大女優になれますか?』と聞かれて、『私は大女優じゃないから、分かりません。どういう女優さんになりたいの?』って聞いたら、『戸田恵梨香さんと、大原櫻子さんと、』って言われて、子どもなのにすごく気が遣えるんだなとびっくりしました(笑)」と、おませなヤッちゃんとの思い出を振り返ります。大原もヤッちゃんの思い出深いエピソードがあると言い、「撮影がめちゃくちゃ寒い時期だったんですけど、もうカメラが回っていないのに、薄い衣装のままで歩いていて。『寒いから服着たほうがいいよ、温かくして体調管理したほうがいいよ』って声をかけたら、『いい!女優は寒い時にもこういう格好で歩くの!』って言われちゃって(笑)」と明かすと、「反省します!私、寒いとすぐ服着ちゃうから!」と戸田がすぐさまツッコミ、会場は再び大爆笑。役柄を超えて戸田が楓先生に見えた瞬 mbn間について大原が問われると、「戸田さんは現場を常に俯瞰で回りを見られていたんですけど、撮影の後半くらいに子どもたちがすごくふざけちゃって、スタッフさんも優しく諭すんですけど、すぐぐちゃぐちゃになって。全然まとまらないときに、戸田さんが『うるさい!!』って、一言ぴしゃりと言ったんですよね」、と驚きのエピソードが。すると戸田や監督から、「言い方が違うよ、気を付けて」と指摘が入り、「子役さんたちも関西人が沢山いたんですよ。私も関西出身なので釣られてしまって…「うるさいねん!」って初めて怒りました」と、関西弁で戸田自ら再現を!大原はそのときの様子を「みんなしーんとなって、楓さん…!となりましたね」と、懐かしんでいました。
ここでMCからスペシャルゲストが呼び出されると、“雀のガッコの先生が~♪”、と「雀の学校」の童謡に合わせて、疎開保育園の園児たちを演じた子どもたちがサプライズで登場!キャスト達は花束を受け取り、1年前の撮影当時に比べ随分と大きくなった子どもたちに驚きと喜びを隠せない様子。すっかり劇中時の保母を演じていたときのような優しい表情を向けながら久々の再会に戸田は「別人!!かわいい~!おかっぱどうなったの!(笑)」と、子どもたちの成長の速さをしみじみと感じます。みっちゃん先生に懐いていたケンちゃん役の村上秋峨くんは、大原に緊張しているかどうか尋ねらえると、少し恥ずかしそうにしながらも「わからない~でもすごく嬉しいです!」とかわいらしくコメント。キャストたちから沢山のエピソードが繰り広げられたヤッちゃん役の中島琴音ちゃんは「皆さんにとっても会いたかったので、嬉しかったです!」と完璧なコメントが!「感じていただけましたでしょうか、これが大女優の琴音でございます!」と戸田からも紹介を受けると、「ありがとうございます!」と、嬉しそうな様子を見せた。
最後にこれから映画を鑑賞する観客へ向けて、「6人の子どもたちがこうやっているだけで、大変そうな感じしますよね(笑)そんな沢山の子どもたちの、奮闘ぶりも楽しんでいってください。」と監督がコメント。大原は「嬉しいですね~。こうやって子どもたちの顔を見れたのが本当に嬉しいです。子どもたちとの撮影は大変だったけど、子どもたちも大変だったと思います。この映画を観ると、いつだって子どもたちを守っていかなきゃなと思える作品です。この戦時中は、決して平和な時代ではないんですが、観終わった後は不思議と平和な気持ちになれる映画だな思います。観て欲しい映画というよりは、絶対に観なくちゃいけない作品です。この作品が多くの方々に届いてほしいと思います」と本作に対する熱い想いを語ったた。
最後に戸田は、「もっと子どもたちと時間を過ごしたかったです。この作品は未来ある子どもたちを守りたいと、私も初めて実感した現場でした。ケンちゃんのモデルの方は今も存命されている方です。私たちが演じていくというのがそれだけ重要で、どれだけの責任かということを向き合って演じていました。実際に戦争を体験していて、今も生きている方たちのお話を聞けるのが、もしかすると私たちが最後の世代ではないのかなと思います。この作品は戦争というものが実際にあった話で、どれだけ悲惨なものということが、伝えられる映画です。私たち世代やそれよりも若い世代の方々、その当時を生きた方々、皆さんに伝われば嬉しいです。この作品がこれからどこまで皆さんの心に残るかは分からないですが、10年、20年先も心に残る大事な作品になればいいなと思います。本日はありがとうございました」とメッセージを贈りました。1年ぶりとなるキャストと子どもたちのサプライズ再会も叶い、かけがえのない時間となった本イベントは、終始暖かい空間に包まれながら幕を閉じた。
【あらすじ】
東京も安全ではなくなっていた1944年。戸越保育所の主任保母・板倉楓は、園児たちを空襲から守るため、親元から遠く離れた疎開先を模索していた。別の保育所・愛育隣保館の主任保母の助けもあり、最初は子どもを手放すことに反発していた親たちも、なんとか子どもだけでも生き延びて欲しいという一心で我が子を保母たちに託すことを決意。しかし、戸越保育所の所長がようやく見つけてきた先は古びた荒れ寺だった。幼い子どもたちとの生活は問題が山積み。それでも保母たちは、地元の世話役の協力をえて、子どもたちと向き合い、みっちゃん先生はオルガンを奏で、みんなを勇気づけていた。戦争が終わる日を夢見て…。そんな願いをよそに、1945年3月10日、米軍の爆撃機が東京を来襲。やがて、疎開先にも徐々に戦争の影が迫っていた―
■出演:戸田恵梨香、大原櫻子、佐久間由衣、三浦透子、堀田真由、福地桃子、白石糸、奥村佳恵、林家正蔵、夏川結衣、田中直樹、橋爪功
■監督・脚本:平松恵美子 ■原作:久保つぎこ『あの日のオルガン 疎開保育園物語』(朝日新聞出版)
■音楽:村松崇継 ■主題歌:アン・サリー「満月の夕(2018ver.)」(ソングエクス・ジャズ)
■配給:マンシーズエンターテインメント ■コピーライト:(C)2018「あの日のオルガン」製作委員会 ■文部科学省特別選定作品(一般劇映画)
■オフィシャルサイト:anohi-organ.com ■オフィシャルツイッター/フェイスブック:@anohinoorugan #あの日のオルガン