主演に岸井ゆきの(『愛がなんだ』)、出演に浜辺美波(『映画 賭ケグルイ』)を迎えた、中川龍太郎監督(『わたしは光をにぎっている』)最新作『やがて海へと届く』(4月1日(金)より全国公開)の舞台挨拶付きプレミア試写会が3月20日(日)、都内劇場で開催され、主演の岸井ゆきのをはじめ、浜辺美波、杉野遥亮、中川龍太郎監督が揃って上映後の舞台挨拶に登壇した。
キャスト陣は作品にちなんで海をポイントとして取りいれた衣装で登場! 映画を観終わったばかりの客席からは割れんばかりの拍手に迎えられた。
ヒロインの真奈について、岸井は「あんまり言葉で語らない子で、私も私生活ではあまり友人に何かを相談したり、多くを語って何かを求めたりしないので、そういうところは似ていると思います。大事なものや思い出を抱え込んでしまうところも、私はそういうものを抱えたまま、どこまでも信じられるし、どこまでも愛せるんですね。そういうところも似ていました。決定的に違うのは、真奈は他人に自分の思考を押し付けてしまうところがあったけど、ベースとしては似ていると思ったので、そういう部分を種として大事に埋めて(真奈という役を)作っていきました」と明かす。
©2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会 画像 2/5
岸井と浜辺は、ドラマでの共演はあるものの、ここまで本格的に共演するのは本作が初めて。浜辺さんは「ドラマでは対立する役柄だったこともあってあまり話せなかったんですけど、今回、感性が素敵で、だからこそ表情やしぐさに愛おしさを周りの人が感じてしまう、そういう人柄なんだなと素直に憧れを抱きました!」と周囲を惹きつける感性を大絶賛! 岸井さんは浜辺さんからのストレートな愛情ある言葉に「照れますね…」とはにかんでいた。
杉野は、現場に入る前に中川監督と「哲学的なお話をした」と明かし「それが楽しくて、一緒にものを作る中で、完全に委ねる形になった」と監督を信頼して本作に挑んだと明かす。監督によると「生きていて、幸せに感じること」などについて話をしたそうで、浜辺に対しても撮影前に「どの瞬間に幸せを感じるか?」という質問をしたという。
主人公の真奈、その親友のすみれ、すみれのかつての恋人の遠野という役柄に、この3人をキャスティングした経緯について中川監督は「岸井さんは、採れたての野菜みたいなフレッシュさ、瑞々しさがあると思いませんか?」とそのあふれんばかりの「生命力」が決め手になったと告白。さらに「透明な存在感があって、でも実はいい意味でわがままで、自分が強くあるのが浜辺さん」「遠野は、ある種のナルシスト。これも悪い意味じゃなく、自分を気にする人。杉野さんと話して、聡明な人だなと思って、(遠野役が)合うと思った」と明かした。
真奈とすみれの関係性について、杉野は遠野の目線で「自分に話してくれないことを女友達に話すのは『どっちが大事なの?』とか思うけど、心許せる友達がいるというのはいいことだと思う」と指摘。
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浜辺は「女同士だからこそ嫉妬心が芽生えることもあるし、女性同士だから、逆に取り繕うことをしてしまう瞬間があることもわかります。私自身、女性と会う時ほどお化粧を頑張ってしまったり、気の使い方が違ったり、弱いところを見せ過ぎないようにしちゃうところは共感しました」と女性同士だからこその複雑な心境についても吐露。岸井も「気の使い方が違う部分はあると思います」と深くうなずいていた。
さらにトークでは本作、そして、いまの季節にちなんで卒業の思い出やエピソードについて質問。 岸井は「教習所を卒業しました!」と笑顔で報告し「もう運転しています。何もかも許されたって感じです」と運転を楽しんでいる様子。とはいえ「ひとりで走るって怖くて、最初に運転したときに、いきなり4車線に入ってしまい、あまりにも怖くて、父親がいないと運転できなくて…」と苦笑交じりに語る。
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浜辺は卒業について「最近、家がきれいになりました!」と部屋を片付け、散らかった生活から卒業したと明かす。「丁寧生活の始まりです。台本や見なきゃいけないDVD、手紙の書きかけとかが机の上に置いてあったんですが、手紙も全部書いて、DVDも見て、台本も片付けて…白い机なんですが、気持ちもまっさらになりました。すごく晴れやかです」と笑顔で語った。
一方、杉野は「この間まで、現場に行く時にちゃんとおしゃれをするようになりました」とラフな服装からの卒業をアピール! ちなみに、そうすることを決断した理由について尋ねると「カッコいいから!あと、しっかり気持ちのスイッチが入るからです。『おしゃれは足元から』って言うじゃないですか? いい靴を履いてるとスイッチが入ります」と浜辺と同様に晴れやかな笑みを浮かべて語っていた。
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最後に岸井は、改めて劇場に足を運んだ観客への感謝を口にし「この映画は喪失と再生の物語と言っていますが、季節的に、これからみなさんも何かを失ったり、別れを経験することがあると思います。生きていたら、哀しい気持ちになることはあるんですけど、私は哀しい気持ちのまま、何か他の感情がないか探れると思っています。哀しい気持ちのままでいいから、哀しいに浸かろうと思えばいくらでも浸かれるけど、何か他の感情がないかを探しながら、楽しくこれからも生きていきたいと思っていて、それを伝えたいという思いながらこの映画を作っていました。それが伝わればと思います」と呼びかけ、温かい拍手の中、舞台挨拶は幕を閉じた。
『やがて海へと届く』
4月1日(金) TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
©2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会
配給:ビターズ・エンド