17歳で漫画家デビュー、代表作『未成年』『編集王』『雲出づるところ』を送りだし『同じ月を見ている』では平成11年度文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞、人気作家としてのキャリアを積み重ねていた2012年、突然この世を去った伝説の漫画家・土田世紀。
松本大洋を初め多くの漫画家が影響をうけた土田の生きざまを色濃く描く未完の絶筆作品『かぞく』を実写映画化する。
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脚本・監督を務めるのは、映画『十三人の刺客』『るろうに剣心』シリーズ、人気TVCM『au三太郎』シリーズの衣裳デザイン、キャラクターデザインを務めてきた澤田石和寛。
写真作家、映像作家として活動する澤寛(Kan Sawa)として、吉沢亮・永瀬正敏・小栗旬・阿部進之介らをキャストに迎え、満を持しての映画監督デビューを果たす。
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(C)土田世紀/日本文芸社,ANIPLEX, Inc. 画像 4/4監督デビュー作にもかかわらず、豪華俳優陣が出演、すでに国際映画祭への招待も決定しており、その期待度の高さが分かる。
11月3日より劇場公開が決定している。
<監督 澤寛コメント>
ずっと現代における「家族とは何か」と考えてきた。私にとって家族とは他人も同然で、家族に何かを求める意思を持つことはなかった。家族という組織は親子、夫婦それぞれが、その時代を生き抜くために互いの「扱い」を変えながら、愛も遺恨も引き連れて出産と育成という本能をもとに、社会環境の変化に合わせてその時代に必要な関係を維持しながら、役割を変えてきたのだ。家族とは親が子供を育てるという関係以上のものではないように感じていた撮影当時の私は、劇内に登場する家族関係を崩壊させようと思っていた。離れていく家族から、「家族」を感じることができると思っていたのだ。2019年に撮影をしたのち、一年後の7月に残りを撮影した。全ての撮影を終え、2020年の9月から自宅アトリエで編集作業に入り、シナリオと撮影済み素材を見ながら、この映画の結末を改めて考えていた。親は子供に何ができるのだろうか。子供は親に何ができるのだろうか。家族とは何か。本格的なポストプロダクションに入る前、私は20年ぶりに実家を訪れ独り身の母と会話をし、これまで感じてきた、家族を好きと思えなかった理由を述べた。そして、私の父親、彼女の元夫が数年前に亡くなっていたことを伝えた。元夫の人生の結末を聞いた母の口から、私の幼少期に起きた家族の事情を伝えられた。それは子供からの目線であったからなのかもしれない。しかし、その時の私は、家族というものは、生きていようが死んでいようが関係がなく、自身が自身であるために必要な存在なのだと理解した。
この映画の呼吸を聴く。私の目に見える世界は少しずつ変わっていく。私は、この不思議な関係を描くことで、家族の未来を描き出したのだ。