4月6日、女優の松井玲奈が短編小説集『カモフラージュ』の刊行記念イベントが東京・日本出版クラブ会館にて行われた。
イベントを前に行われた報道陣向けの会見に登場した松井は、自身が主演するドラマ『名古屋行き最終列車』に登場する名古屋鉄道を彷彿とさせる真っ赤なワンピース姿を披露。まずは、先日無事に作品を出版できたことについて「自分が書いた文章が本屋に並んでいるのは嬉しい」と喜びと安堵の表情を見せた。『カモフラージュ』はアイドルグループ・SKE48を卒業後、舞台、ドラマ、映画と様々な方面で活躍する松井が執筆した短編小説集だ。この作品に対する思いについて質問が寄せられると、「私自身、食べ物が出てくる作品や映像が好きで、物語を書くなら食に関する作品がいいなって思っていました。食べることが好きな方にはもちろん読んでもらいたいし、普段本を読まない人にも読みやすくなっていると思います」とコメントした。
女優として様々な場面で活躍する松井は、今作の執筆について「新幹線や時間のある日に喫茶店で書いてました」と明かした。日々の活動の中で構想やアイデアはどこから得るのかという問いかけには「いろんなところからもらってます。例えば、歩いていた女の子のかかとの絆創膏が気になったりとか、ブリューゲルの絵が好きなので、その中の作品からアイデアをもらって自分なりに物語に書いています」と語った。松井は自身のファンクラブの会報誌に書いたショートショートを掲載しており、それがきっかけで今回のデビューへと繋がった。今作は短編小説だが、長編作品への挑戦について「短距離走と長距離走で使う筋肉が違うように、体力と持久力が必要なので、自分にはまだ早いかな」と話すも、「1年後までに新作を発表したい」という次なる目標を掲げた。
さらに会見では4月1日に発表された新元号「令和」について問われた松井は、期待することとして「本屋さんが無くなってきているので、みなさんが紙の本を読んでもらえるような年になってほしい」と願いを込めた。残り一ヶ月となった「平成」でやり残した事については「ないです!」ときっぱりと答え、「どんなことも最後だと思っているので、気にせず、挑戦したいことに変わらず挑んでいきたい」と意気込んだ。
松井はSKE48の1期生としてデビュー後、早くもその演技力の高さから在籍中に多くのドラマに出演。SKE48を卒業後は本格的に女優活動を開始し、今回新たに小説家としてデビュー。希望は体力。立ち止まることさえしなければ願いや目標は達成できる。当たり前のようで難しい大切な人生の歩み方を教えてもらった会見となった。
松井玲奈・著『カモフラージュ』所収作
◆「ハンドメイド」:いつもより荷物の重い日が好きだ。お昼の弁当に加えてもう二つ、夜 に彼と食べる用の弁当を作る。食べる場所は決まって“ホテル”で。
◆「ジャム」:僕のお父さんは一人じゃない。お父さんの後ろには、真っ白な顔のお父さん たちが並んでいる......。悪夢的奇想、ホラー怪作!
◆「いとうちゃん」:メイドになりたい一心で上京した18歳の”いとうちゃん”は、メイド喫 茶で働き始めるが、ストレスから体重が増加。痩せ方がわからず、不安を募らせるが。
◆「完熟」:退屈な田舎での夏休み。年上の雰囲気を身にまとう彼女は水辺で一心不乱に桃 を食べていて......。そんな昔の記憶が、大人になった僕のフェティシズムを刺激する。
◆「リアルタイム・インテンション」:3人の男たちが登場する、巷で人気の動画配信チャ ンネル。本音を吐露してしまうという“本音ダシ鍋”を食す企画の生配信で事件は起きる。
◆「拭っても、拭っても」:広告代理店に勤めるアラサーのゆりは、半年ほど前まである癖 (へき)を持つ男性と付き合っていた。その彼に理不尽にフラれたことが心の傷になり......。
【商品概要】
2019年4月5日(金)発売
定価:本体1,400円+税
集英社刊
四六判ハードカバー
240ページ