2023.06.25 公開
【コラム】SKE48・チームE「SKEフェスティバル」千秋楽に寄せて。モニ観した初日のこと

SKE48 チームE「SKEフェスティバル」ジャケット(※提供画像)  画像 1/1

6月25日、名古屋・栄を拠点に活動するアイドルグループ・SKE48チームEの「SKEフェスティバル」公演が千秋楽を迎える。2016年9月9日よりスタートした本公演は、約6年9ヶ月にもおよぶチームE史上最長のロングラン公演となった。本日迎える千秋楽に寄せて、筆者が体験した公演初日の様子を簡単に振り返りたいと思う。

2016年は各チームの演目が切り替わる節目の年であった。6月にはチームKIIが5th「ラムネの飲み方」公演から「RESET」公演のユニットブロックをオリジナルのものに変更した「0start」公演へ。チームSが5th「制服の芽」公演からSKE48の楽曲で組まれたセットリストの6th「重ねた足跡」公演へと立て続けに切り替わっていった。SKE48のために書き下ろされたオリジナル公演が見納めになる寂しさと同時に、2016年当時のメンバーが考えた新公演はその思い以上にワクワクと胸を躍らせてくれるものだった。

このときチームEは4th「手をつなぎながら」公演を続けていた。2チームに比べて新公演への切り替えは時間を置くこととなったが、この年の夏を熱量いっぱいで「手つな」を上演し、来たる新公演へ向けての期待値を高めたいた。

そんなチームEの新公演初日が9月9日に決まった。
演目は他の2チーム同様に当日発表のサプライズということだった。ちょうどこの時期、就活真っ盛りだった筆者はたまたま名古屋で企業の面接の予定があり、いい機会と思い新公演を見に行くことにした。

浮ついた気分だったせいか面接の手応えはなかった。沈んだ気分を取り戻すために、名古屋を街ブラしながら、当時メンバー間で流行っていたかき氷専門店「あんどりゅ。」で心身ともに涼んだ後、夕方の栄へと繰り出した。
チケットは申し込んだがハズレてしまっていたので、初めてロビーでモニター越しに観覧することになった。


開演時間の18時30分。熱量増す劇場内とは反対に静かにモニターを見つめていると、「overture」後にスピーカーから特徴的なピアノの旋律が響いてきた。「あっ!」と思った瞬間、青色のチェック柄スカートの衣装をまとったメンバーたちが現れ、そのまま『重力シンパシー』を披露した。そう来たかという意外性で思わず声が漏れる。そのまま『キミが思ってるより…』、『ほっぺ、ツネル』、歌詞を変更した表題曲『SKEフェスティバル』と続き、なるほど、チームZの楽曲を中心に組んだセットリストなのだなと察っしがついた。

全体のMCではセンターを務める後藤楽々が、「私のことは嫌いでも、チームEのことは嫌いにならないで下さい」と、かつて前田敦子が総選挙で語ったスピーチを引用したことでロビーでも笑いが起こった。が、途中で涙を流す後藤の姿にロビー中が心配そうな顔を浮かべた。

4期生の木本花音と酒井萌衣はチームEで迎える5回目の初日という話にじーんとしていたら、気付くとユニットブロックに。やはり『君のc/w』、『1994年の雷鳴』など、やはりチームZの楽曲が続く。本編を聴き終え、ここまでSKE48の楽曲が使用されていないことに何かの意図を感じた。つい先日まであんなに「手をつなぎながら」公演で盛り上がっていたのに。SKE48の歴史を刻んでいくというチームSとは対照的な動きに思えた。


アンコールのMCでは、当時リーダーを務めていた須田亜香里が新公演を行うにあたり、SKE48の曲を一切入れずに、新しいチームEの色を出すにはどうすればいいのかと苦悩したことを赤裸々に語った。そして、「チームSになくて、チームKIIになくて、AKB48グループどこもやってない曲ってなんだろうって考えたんです。その時にあまり披露されたことがないこの曲の存在に気付いて、この楽曲だったら自分たちがゼロから作り上げる公演に近づけるんじゃないかな、と思ったんです」と、チームZの楽曲に着目したと明かした。

チームEはグループの中で唯一オリジナル公演がなく、『お下がり』というこれまでどこかのチームで上演されてきた公演を行なってきた。そんな中でチームEの魅力とは何か、自分たちだから出せる色は何かをずっと模索してきていた。2nd「逆上がり」公演への挑戦や、「2分半の袋とじ」動画もそんな状況で生まれ出たものだろう。

オリジナルがないなら、既存のものでも自分たちの色に染め上げてオリジナルにしてしまえ!
「SKEフェステバル」という公演名にSKE48の名を入れながらも、中身はSKE48じゃないという『矛盾』に込められた、メンバーたちの決意にもらい泣きした。それでアンコール最後の曲が『未来が目にしみる』なのだから泣くなと言われる方が無理な相談だ。

この約7年間でSKE48史上最も盛り上がれる劇場公演へと昇華した「SKEフェスティバル」公演。コロナ禍では思うようにいかない劇場運営を強いられたが、それでも人数を減らし、ユニットブロックを削ってでも、ファンからのコールやMIXが戻るまで公演を続けてくれたことに感謝しかない。

結成当時から紡がれてきたオリジナル公演への想い。
それも、7月15日にいよいよ叶う。これまで上演してきた5公演で積み重ねてきた『チームEらしさ』がいよいよ発揮される。同時に「SKEフェスティバル」公演は見納めとなってしまうが、ここに至るまでの過程でとても大事な公演であった。チームEが破るべき最後の殻がこの千秋楽なら、見届けないわけにはいかない。

「SKEフェスティバル」公演千秋楽はいよいよ17時に開演する。

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