2021.06.16 公開
【インタビュー】世界的特殊メイクアップアーティストAmazing JIROが、自身プロデュースのお化け屋敷『無顔』を語る!新感覚の“移動式お化け屋敷”とは?

Amazing JIRO(※提供写真)  画像 1/3

世界から注目される特殊メイクアップアーティスト・Amazing JIROが、自身の技術を生かしたお化け屋敷をプロデュース!品川ヒロシ監督のホラームービーとの連携による新感覚の移動型お化け屋敷とは?さらに今回のインタビューでは、“特殊メイクアップアーティスト”のAmazing JIRO氏に迫るため、これまでの半生や、特殊メイクアップアーティストという職業についても語ってもらった。

 

Q. 今回Amazing JIROさんがプロデュースされる、“移動式お化け屋敷『無顔』”を企画されたキッカケを教えてください。

もともと3年前くらいに自主企画でお化け屋敷をやったことがあって、沖縄で夏休み限定で実施したのですが、場所にこだわったこともあり、なかなかお客様が足を運びづらかったんですよね。内容的には、参加した3分の1くらいの人がリタイアするような面白いものだったので、企画が終わり、その場所を無くしてしまうのがもったいないなと思い、その時に“移動式お化け屋敷”というものを思いつきました。そこから“トラックのコンテナの中だけで行われる恐怖体験”というアイデアをずっと心の中にしまっていたのですが、いろいろなタイミングが重なり、今回実現することができました。

 

Q. お化け屋敷時代はどのような内容になっているのですか?

3年前にやったお化け屋敷はウォークスルー型といって、建物の中に入って歩いてもらう感じだったのですが、今回のものは、お客様はトラックのコンテナの中に入ったら立っているだけで、鑑賞型という形になります。最近だと狭い空間のお化け屋敷として、VRを使ったバーチャル体験みたいなものが多いのですが、僕は特殊メイクアップアーティストとしてアナログでものを作ってきたので、お化け屋敷自体も、実際の目で見て、実際の耳で聞くということにこだわって作っています。さらに今回のお化け屋敷では、ショートムービーの制作も行いました。監督は品川庄司の品川ヒロシさんにお願いをして、『無顔』に出てくるお化けはなぜ生まれたのかという、ビフォアーストーリーを作り、その映像を観てからお化け屋敷を体感することで、より恐怖を感じてもらえるような内容になっています。

【インタビュー】世界的特殊メイクアップアーティストAmazing JIROが、自身プロデュースのお化け屋敷『無顔』を語る!新感覚の“移動式お化け屋敷”とは?移動式お化け屋敷『無顔』(※提供写真)  画像 2/3

【インタビュー】世界的特殊メイクアップアーティストAmazing JIROが、自身プロデュースのお化け屋敷『無顔』を語る!新感覚の“移動式お化け屋敷”とは?移動式お化け屋敷『無顔』(※提供写真)  画像 3/3

 

Q. 特殊メイクアップアーティストとしての、普段の仕事内容を教えてください。

特殊メイクアップアーティストとして、特殊メイクや特殊造形、特殊衣装など、特殊な作り物の制作を行っています。テレビCM やテレビ番組、映画や舞台、コンサート、屋外広告などさまざまなジャンルにおける特殊な制作物が仕事になっており、特にテレビCMで見かける特殊メイクの多くは弊社で制作しています。

 

Q. 現在の仕事に就くまでの経緯を教えてください。

僕は高校時代から美術系の道に進みたくて、卒業後は多摩美術大学で1年間ガラス工芸を学び、その後大学を受け直して東京藝術大学で金属工芸を学びました。しかし、素材に縛られて何かを作ることが自分には合わないと思い、どんな素材も扱えて、何でも作れる人になりたいと思った時に、たまたまテレビで特殊メイクの特集をやっていて興味を持ちました。その後特殊メイク科がある学校に行き、2年生になった時には、美容室が主催するヘアーショーで特殊メイクをする機会をいただいて。僕ら学生はヘアーショーの特殊メイク=妖精などのファンタジーな世界だと思っていたのですが、美容室のオーナーから発表されたテーマが『ベトナム戦争』だったんです。想像していたこととは真逆でびっくりしたのですが、僕らはそのテーマに沿うよう、血が出ているようなメイクを施して。その時に美容室のオーナーに言われたのが、アインシュタインの言葉である「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションでしかない」ということだったんです。そこから僕は「こういう機会があればまたやりたい」と思い、美容室のオーナーに会いに行き、オーナーも僕を名指して呼んでくれていて、「これから一緒にやっていきましょう」と誘ってもらい、そのオーナーと共同代表で会社を起ち上げました。現在はその会社の代表を務めつつ、特殊メイクのスクールの代表や講師なども行い、プロから直接技術を学べる場所を作ったりもしています。

 

Q. 仕事をする中でやりがいを感じる瞬間を教えてください。

何もないところから新しいものを生み出す時ですかね。特殊メイクアップアーティストって、誰もイメージができないものや、誰も作り方がわからなかったものなど、オンリーワンを作り出せる仕事だと思うんです。今まで誰も見たことがないようなものを作り出せた時は、やりがいを感じますね。

 

Q. 特殊メイクアップアーティストという職業の魅力を教えてください。

作品を作る時には、基本的に全て想像から始まるという点です。完全に架空のキャラクターを作る場合は、そのキャラクター自体がどういう生活をしているのか、細かい部分でいうと何呼吸なのかとか、そういうことをしっかりと想像してから形にしていかないとリアルなものってできないんですよね。そういった想像を形にしていくというのが、この仕事の面白い点だと思います。

 

Q. 仕事をする中でのポリシーを教えてください。

垣根を作らないことです。最近よく言われることとして、映画などは徐々にCGに切り替わってきているから、特殊メイクの技術は廃れていくというものがあって。それは一般的な考えだと思うのですが、僕はその考え自体が、デジタルとアナログの垣根があるから生まれきてしまうものだと思うんです。特殊メイクだけではなく、伝統工芸などといったアナログなものはどんどん衰退してしまっていると思うので、アナログとデジタルの融合というのが、一つのムーブメントになっていくといいなと思っています。

 

Q. 今後、挑戦してきたいことはありますか?

僕は個人の作品を7年前くらいに作り始めたのですが、そのタイミングでInstagramを始めたんです。そこではボディーペイントやフェイスペイントなどを公開していて、さらにはビューティーメイクなども勉強して取り入れるようにしました。だけどそこにも業界の垣根はあって、同じメイクでもビューティーメイクと特殊メイクって使う材料も何もかも全然違うんですよね。だから僕はその垣根を取り払うことで新しい表現を生もうと思い、ビューティーメイクも取り入れた作品を、どんどんInstagramで公開していったんです。その作品が海外の方に評価されてフォロワーが増えたりもしたので、今後はそういった作品を通して、アートを世界に広げていきたいと思っています。垣根をなくした新しいメイクの世界をアートに昇華させて、世界に発信していきたいです。

 

【プロフィール】

Amazing JIRO

大阪府出身。フェイス&ボディペイント/特殊メイク&造形/映像/広告/イベント/ファッション等、幅広い分野にてデザイン&クリエイティブ制作、およびディレクションを担当。東京芸術大学卒業後、特殊メイクの道に入り、有限会社自由廊を設立。過去には「TVチャンピオン特殊メイク王選手権」で2連覇するなど、その技術は多方面から評価されている。現在では特殊メイク・造形制作にとどまらず、クリエイティブディレクターとしても多方面で活躍中。

 

無顔』オフィシャルサイト

https://mugan.info

 

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