1950年代に全国の鉄道で登場した『湘南顔』をまとめた「懐かしの湘南顔電車」が、2023年1月16日に発売された。
1950年に国鉄80系電車で登場した傾斜のある2枚窓の前面は、それまでの鉄道車両にはない流麗なデザインで好評を博し、80系電車の愛称である『湘南電車』にちなみ「湘南顔」と呼ばれるようになった。以降、「湘南顔」は続く70系電車のみならず、キハ44000形気動車、EF58形電気機関車などの異なるタイプの鉄道車両の前面にも採用された。特筆すべきは、国鉄にとどまらず大手私鉄、地方私鉄の車両にも影響を与え、各社に湘南顔の車両が続々と登場。これほどまでに車両のジャンルや鉄道事業者の枠を越えて採り入れられたデザインはほかにはない。
多くの車両はすでに引退しているが、長年にわたって採用してきた京王電鉄の車両を承継した地方私鉄では、現在も「湘南顔」が定期列車で運行されている。また、西武鉄道で発展形の湘南顔が現役だ。
『懐かしの湘南顔電車』(※提供写真) 画像 2/6
本書では全5章で構成。
第1章は「現役の湘南顔電車を探求」。今も走る湘南顔のひとつ、銚子電気鉄道2000形を取材。車両の外から、さらに運転席の内側からも湘南顔の構造を解説する。
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第2章では「国鉄の湘南顔鉄道車両」を紹介。このデザインを初採用した80系電車やEF58形電気機関車などを、形式別に紹介。
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第3章は「大手私鉄の湘南顔鉄道車両」。国鉄とは違う形状や塗色のアレンジに注目。新製投入した鉄道事業者別に掲載し、さらに地方私鉄などへの譲渡車も紹介。
『懐かしの湘南顔電車』(※提供写真) 画像 5/6
第4章は「地方私鉄の湘南顔鉄道車両」。1950~60年代は地方私鉄でも自社発注車が多く登場した時代。各社が投入した電車、気動車、電気機関車などを鉄道事業者別に掲載している。さらに地方私鉄から地方私鉄への譲渡車も取り上げている。
第5章は「軌道を走った湘南顔電車」。湘南顔の影響は、路面電車にも及んでいた。併用軌道を走った湘南顔の電車たちの中には、今も現役の車両があり、興味深い内容となっている。
【書誌情報】
書名:懐かしの湘南顔電車
仕様:A5判 160ページ
定価:2,200円(本体2,000円+税10%)
発売日:2023年1月16日