2023.09.28 公開
50年ぶりの新訳!村上春樹が「取り置き」していたカーソン・マッカラーズのデビュー作『心は孤独な狩人』文庫版が本日発売!

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株式会社新潮社は9月28日、カーソン・マッカラーズ著『心は孤独な狩人』の文庫版を発売!(電子書籍も同日に配信開始)。本作はアメリカの作家カーソン・マッカラーズ(1917年生まれ、1967年没)が23歳の時に発表したデビュー作。翻訳は村上春樹によるものだ。新潮文庫では1972年に河野一郎さんによる翻訳で刊行して以来、51年ぶりの新訳となる。

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カーソン・マッカラーズについて

マッカラーズは1917年、アメリカ南部のジョージア州コロンバスに生まれ、5歳の時からピアノを学び始める。

ピアニストを志してニューヨークに出るが、授業料を紛失してしまったために音楽の道を断念。コロンビア大学などで文芸創作を学び、40年に本作により23歳の若さでデビューを果たす。批評家たちから絶賛されたデビュー作はベストセラーに。翌年には『黄金の眼に映るもの』、1946年には『結婚式のメンバー』(新潮文庫刊)、51年には『悲しきカフェのバラード』を発表。 旺盛な創作意欲を見せる。『結婚式のメンバー』は50年に舞台となり、52年には映画化。本作『心は孤独な狩人』も68年に映画化され(邦題「愛すれば心さびしく」)、主演のアラン・アーキンとソンドラ・ロックはともにアカデミー賞の候補となった。

私生活においてはデビュー前の37年に作家志望のリーヴス・マッカラーズと結婚するが、二人とも同性愛的傾向を持っており、やがて結婚生活は破綻。45年に再婚するが、リーヴスは妻に心中を持ちかけ、断られて自ら命を絶つ。加えてマッカラーズはアルコール依存症などさまざまな病に苦しみ、67年に波乱に満ちた短い生涯を閉じた。

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村上春樹による翻訳

本作は村上春樹さんによる翻訳で刊行。村上がマッカラーズ作品を翻訳するのは二作目。『結婚式のメンバー』を2016年に文庫オリジナルで刊行し、反響を呼んだ。

村上は訳者あとがきで、〈僕は個人的にはこの『結婚式のメンバー』と、『心は孤独な狩人』と、『悲しきカフェのバラード』がマッカラーズの最高傑作だと考えている。この三冊の小説とは大学時代に巡り会って、それ以来何度も読み返した。(中略)今回この『結婚式のメンバー』を自らの翻訳で、手に入りやすい新刊文庫本として出版できたことは、僕にとって大きな喜びであり、またささやかな誇りである〉と述べている。

また、本作『心は孤独な狩人』の訳者あとがきでは以下のように記していた。

〈僕が翻訳を始めたのはもう四十年くらい前のことだが(小説家になるのとほとんど同時に翻訳の仕事をするようになった)、今はまだ始めたばかりだから実力的に無理だけど、もっと経験を積んで翻訳者としての腕が上がったら、いつか自分で訳してみたいという作品がいくつか頭にあった。言うなれば「将来のために大事に金庫に保管しておきたい」作品だ。

たとえばそれはスコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』であり、レイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』であり、J・D・サリンジャーの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』や『フラニーとズーイ』であり、トルーマン・カポーティの『ティファニーで朝食を』だった。どれも僕が青春期に読んで、そのあとも何度か読み返し、影響を受けた作品たちだ。そこから豊かな滋養を与えられ、その結果自分でも(及ばずながら)小説を書くようになった、僕にとってはいわば水源地にあたるような存在だ。 (中略)けっこう長い年月を要しはしたが、幸運にも恵まれ、また良き協力者も得て、それらの「取り置き」作品のほとんどすべてをひとつひとつ順番に訳して、世に問うことができた。そしてあとに残されているのは、このカーソン・マッカラーズの『心は孤独な狩人』だけとなった(いわばその準備段階として、まずもっと短い同著者の『結婚式のメンバー』を翻訳した)〉

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