2018年秋に、中田ヤスタカのプロデュースにより独自のオリエンタルなアプローチを進化させたオリジナル4thアルバム『じゃぱみゅ』をリリースした、きゃりーぱみゅぱみゅ。
そのアルバム収録曲の中で最も象徴的な楽曲「音ノ国」を掲げ、日本が世界に誇る文化遺産を舞台に、アルバムのコンセプトをより意識したスペシャルライブ「音の国ライブツアー2019」。3月30日(土)に開催された第1弾公演「まぼろしのユートピア〜出雲大社の夜〜」に続き、第2弾公演「きゃりーかぶきかぶき」が「南座新開場記念 京都ミライマツリ2019 Supported by SUNTORY」の一環として、歌舞伎発祥の地に建ち、日本最古の歴史を持つ劇場と言われる京都四條 南座で開催された。
南座の建つ四条河原は、400年前に出雲阿国(いずものおくに)が『かぶき踊り』を披露した歌舞伎発祥の地と言われる。以前、敬愛する美輪明宏さんから「あなたは、出雲阿国の生まれ変わりよ」とお言葉を頂いたという、きゃりーが、第一弾の出雲大社に続き「出雲阿国」ゆかりの地でのライブを実現させた。
花道(はなみち)や桟敷席(さじきせき)など、普段の音楽ライブ会場では味わえない400年の歴史を持つ格式の高い劇場の雰囲気に包まれ、歌舞伎独特の、黒(くろ)、柿色(かきいろ)、萌葱色(もえぎいろ)の三色縦縞の定式幕(じょうしきまく)に、これから始まるスペシャルライブへの期待感が高まる。
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笛と柝(き)の音が、きゃりーらしいダンスミュージックにアレンジされたSEとともに幕が開くと、松羽目(まつばめ)と呼ばれる、大きな松が描かれた大道具を背景に、上質な東濃ヒノキが敷き詰められた檜舞台が姿を表した。そして1曲目「にんじゃりばんばん」のイントロとともにゆっくりとセリが上がり姿を表したのは、歌舞伎の人気舞踊である『連獅子(れんじし)』の拵え(こしらえ)をモチーフにした力強い男性ダンサー4名と色鮮やかな着物を着た女性ダンサー2名。そして中央には、よりいっそう華やかな黄色の着物を身にまとったきゃりー。全員が歌舞伎の『見得(みえ)』をイメージしたポーズのまま微動だにせずセリから徐々に上がってくるその姿は、まさに歌舞伎コラボならでは。
今回のために、見得(みえ)などを大胆に取り入れた振り付けは一瞬で観客を魅了。1曲目を歌い終わり、拍手が鳴り止まない中、きゃりーが見せたのは、『ぶっ返り』という歌舞伎の技法。一瞬で真っ赤な着物へとチェンジしてさらに観客を驚かせる。「み」「こいこいこい」「演歌ナトリウム」では、扇子(せんす)や番傘(ばんがさ)など、歌舞伎の小道具を取り入れ、振り付けも全て今回のために歌舞伎の演技を取り入れたアレンジで、“いつものきゃりー”とは異なる歌舞伎とのコラボレーションライブが続く。今回のライブのテーマソングでもある「音ノ国」では、和テイストの楽曲と歌舞伎をモチーフにした振り付けが見事にマッチし、獅子をモチーフにした拵えのダンサーが『毛振り(けぶり)』を見せるなど、圧巻のパフォーマンスで観客を圧倒し一旦幕を閉じる。
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続く二幕目では、まさに今の時期が見ごろとなる藤の花の飾りが一面に広がる、歌舞伎舞踊の演目『藤娘(ふじむすめ)』の舞台をモチーフとした紫の世界へ。客席後方から歌舞伎で実際に使われる「馬」に乗ったきゃりーが装いも新たに登場。紫のチェック柄の上に和を彷彿とさせるゴールドの柄がプリントされたオリジナル衣裳で、胸には十字架のクロスアクセサリーを身につけ出雲阿国をオマージュ。馬に乗ったままのきゃりーが花道から舞台へと進むと、「最&高」「インベーダーインベーダー」「キミに100パーセント 」といった大ヒット曲が立て続けに披露されていく。
デビュー曲の「PONPONPON」から「CANDY CANDY」「Crazy Party Night〜ぱんぷきんの逆襲〜」では、もはやここが南座であることを忘れるほどの全開のきゃりーワールドへ。
「出雲阿国に由来する場所でライブできることが本当に感慨深いです。」と今回のスペシャルライブへの特別な思いを語り、「ちゃみ ちゃみ ちゃーみん」「do do pi do」「もったいないとらんど」「恋ノ花」と続き、5月10日に配信リリースされる新曲「きみがいいねくれたら 」を披露し、ステージはいよいよクライマックス。
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最後はハートを模した紙吹雪が降りしきるなか「原宿いやほい」で大団円を迎えた。大歓声の中、
歌舞伎劇場ならではの「花道」を使って舞台を後にした。
平成最後の日に、日本最古の歴史を持つ劇場での歌舞伎とのコラボレーションを見事に表現したきゃりーぱみゅぱみゅ。2020年のオリンピックイヤーに向けて日本文化が注目される中、今度はどんな伝統と革新を融合したステージを見せてくれるのか。きゃりーぱみゅぱみゅの進化は止まらない。
《歌舞伎の所作指導を行った片岡愛之助よりコメント》
歩き方や手の運びなど、お伝えしていた所作も完璧でした。衣裳も重いはずですが見事にこなされており、しっかりとお稽古をされたんだなと感じました。歌舞伎とのコラボ率の高さにも驚き、もっと見たかった!と思うくらい、あっという間に時間が過ぎてしまいました。12日~の昼マツリでは、私もAR歌舞伎体験で石川五右衛門としてミライマツリに登場いたします!きゃりーさんのライブと同じくらい感動していただけるといいですね。