2019.05.04 公開
【ライブレポート】さくらしめじ、2年連続の日比谷野音ワンマンライブで2000人動員「音楽が大好き!」と力強く未来を約束【ライブレポート】さくらしめじ、可能性未知数な、2年連続の日比谷野音ワンマンライブで2000人動員!「音楽が大好き!」と力強く未来を約束!!

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5月3日、現役高校生フォークデュオのさくらしめじが、2年連続で日比谷野外大音楽堂(東京・千代田区)にてワンマンライブ『さくらしめじ 木もれ陽の中の春風キャンプ』を行い、2,000人の観客を大きく盛り上げた。

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さくらしめじは高田彪我(たかだひょうが)・田中雅功(たなかがく)のふたりからなる高校生デュオ。
アコースティックギターによる弾き語りから、現在ではロックやバンドサウンドなど幅広い音楽性へと幅を広げ、既存の“フォークデュオ”概念に留まらない新たなスタイルで活動し、注目を集め続けている。
これまでの活動において、シンガーソングライターのコレサワや、Every Little Thingの伊藤一朗らとのコラボを実施してきたほか、ワンマンライブにおいては昨年も行われた日比谷野外音楽堂(通称・野音)、TOKYO DOME CITY HALL、中野サンプラザなど様々な場所でライブを成功させている。

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なお今回は2人の未来を見据えた熱い想いと共に“音楽で繋がる”というテーマを掲げ、その言葉通り一方的に“観て、聴く”だけではなく“音楽を通して、2人と観客で心が繋がり合うような空間を紡いでいく”ステージを作り上げ、観客の心が温まり、元気が湧いてくるような時間となるようなライブを見せてくれた。

この日のライブは、森に囲まれた開放感たっぷりの野外ステージに、ライブタイトルの“キャンプ”にちなんだステージセットが用意され、アンコールを含めた全19曲を披露。
なお昨年の野音ライブは台風が直撃してしまい、雨の中でのライブを行う事となってしまったが、今年は天候にも恵まれ、ライブ中もその事を喜ぶさくらしめじの姿を度々見ることができた。

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激しいドラムの音に合わせ、イントロが流れ出すと2人が笑顔で走って登場し、『てぃーけーじー』『ひだりむね』など自身の中でも人気の高く、ライブでもクライマックスで使われる事が多い“盛り上がり曲”でこの日のライブをスタート。
なお今回も2人が奏でるアコースティックギターに加え、バンド演奏も参加。
この2曲もバンドメンバーとともに披露されたが、注目したいのはバンドの音にも負けず、対等に力強く存在感を示す2人のアコースティックギターの音。
このアコギの音の存在感があるおかげで、元気さや明るさのバンドの中に、さくらしめじ特有の“優しさ”や“ほっこりさ”がしっかりと根付いた、彼らならではの音楽性が以前よりもより強くにじみ出していた。
冒頭の曲を皮切りに今回のライブは、“一生懸命さ”“ほっこりさ”“まっすぐさ”というキーワードが軸にあったさくらしめじの音楽に、様々な表情や表現が重なり出し、アーティストとして無限大の可能性を大いに感じ取る事ができる場面も多々あった。

『かぜだより』『夕焼小道』では少ししっとりとしたメロディーで、今の2人の声の特徴を活かし、高めな彪我の声と、低い雅功の声による息ぴったりなハーモニーが奏でられ、絶妙なグルーヴ感と心地よさを感じ取る事ができた。
またこれまで一生懸命歌っていた印象があった既存曲も、成長を重ねた2人によってより情緒的な楽曲へと変化。
そっと音を重ね、気持ちを込めながらも力みすぎない絶妙な表現力で歌い上げる事により、歌の世界観や情景を豊かに描き出すようなパフォーマンスを聴かせてくれた。
これはデビュー以降、中学生から高校生にかけて、プロとして重ねてきた多くの経験と自身の成長によって新たな魅力や表現力が音に、歌に重なっているようにも見えた。

 

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“疾走感”“力強さや勢い”“優しさ”といった持ち味に加え、様々な感情の揺らぎや、あいまいさを高校生ながら表情豊かに届けてくれる表現力は見逃せないポイントの1つだ。
合わせて、そうした表現力を支えるパフォーマンススキルや、様々な経験を踏んだからこそ身についている高校生とは思えない安定感にも注目をしたいところ。

これまで息ぴったりなギターセッションやハーモニーを聞かせてくれたさくらしめじだが、今回はそれがさらに進化。
冒頭バンドサウンドにも負けないアコースティックギターの音について触れたが、既存曲の『いくじなし』においても優しさだけではなく、2人の確かなテクニックによるギターサウンドがスパイスとなり、優しさに力強さや疾走感が加わったほか、クライマックスではドラムが力強く加わる事で、バンド感の強いサウンドとなり、1曲の中で異なる曲の魅力を見せ、既存曲ながらもこれまでとは異なる新たな魅力を加える事に成功していた。

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また『でぃすとーしょん』では完全にこれまでの2人のイメージを覆すパフォーマンスを披露。
激しいロックバンドサウンドを聞かせる本曲で、ライブ中も「飛べ!」「こんなもんか!?」と俺様口調でドSに会場をあおり続ける姿を見せるが、今回なんと冒頭に彪我によるギタースラップを披露。
ギタースラップとは弦を指で叩き付けたり、はじいたりしながら独特な音を出すベースの奏法。
普段MCなどではほんわかした姿を見せている彪我が、曲が始まる前、静かになった会場でギターを2〜3回かき鳴らし、下を俯きながら、指をくいっと上にあげて無言で観客に盛り上がるよう指示した途端、突然スピード感のある激しいスラップを披露。会場はそんな彪我の姿に驚いた表情を見せる観客が多々現れていた。聴きごたえのあるギタースラップを堂々と弾きこなす彪我にはいつものほんわかした姿はみじんも感じられない。
楽曲が始まると、2人の声の特徴を活かした激しいシャウトと、バンドサウンドにギターの音の中に響きだす。
思わず2人がフォークソングユニットだったという事実を忘れそうになるほど、全くこれまでと異なる世界観でひたすらカッコよさを感じる楽曲も自分たちのものとしており、これもまた1つさくらしめじの魅力の側面としてリスナーを魅了していた。

また野音という大きな舞台で、2,000人を前にしながら、とても楽しそうに飛び跳ねたり、笑顔で自由に動き回り、音やライブ空間を楽しんでいる姿が見て取れ、その様子から余裕すらもあるのではと感じたほど。
そんな2人の空気感は音に乗り、空間を作り、観客に届けられていく。
観客も安心して、彼らの音楽とその場の空気に身をゆだね、楽しむことができたのではないだろうか。

常に進化し続け、“今が最高”という姿を毎回見せ続けてくれているが、今後も成長を重ね、将来的にはどんな姿を見せてくれるのか全く想像がつかない。そんな未知数のポテンシャルをこの日のライブで大いに感じさせてくれた。

一方MCでは従来のほっこりした姿の2人を見て取ることができ、音楽とのギャップに驚くとともに、高校生の等身大として、そして変わらない“さくらしめじ”としての魅力を楽しむこともできた。

今回は観客との距離の近さも大切にし、広い会場の中央にサブステージを用意し、後方の観客のそばに行って触れ合うようにライブパフォーマンスを行ったほか、移動中もインタビューなども行ったが、そこでも飾らない姿を多々見せてれた2人。
例えば、ファミリー席という親子連れの席に対して度々雅功が話しかける姿が見られ、移動のインタビューの際もこの席に座っていた女の子へ、しゃがみこんで目線を合わせて話しかけるなど誰に対しても丁寧に接する2人の姿を、ところどころで見て取ることができた。

 

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そして“音楽で繋がる”というテーマに則り、繋がるために様々な取り組みも行われた。
コール&レスポンスと呼ばれる会場の観客が声を出すことで楽曲や場つくりが行われていく方法も色々と取りれており、『菌カツ!』『てぃーけーじー』など一緒に2人とコールやダンスの振りを行ったり、『Bun!Bun!Buuun!』ではタオルを回して大きな一体感を作るほか、『届けそこねたラブソング』ではサブステージに上がった雅功が360°くまなく見渡し、会場の観客1人1人を巻き込んでいくように目線を送りながら手拍子を促していたり、性別・所属(学生や社会人など)ごとに声をあげさせて否応なく参加する方向へと引っ張り込んだりしたほか、“しめじ体操”という何ともユルい踊りを会場全体で行い、ほんわかした一体感と笑顔を生み出しているなど、観客と2人が一体となって心を通わせられるような取り組みが随所に散りばめられていた。

逆に観客からは2人に対してのアンコールは歌で行われ、2人に対して観客も音楽で気持ちを届ける場面も見て取ることができた。

それはパフォーマンスにももちろん反映されている。
「最初は君とここまで来るとは思っていなかった」「数えきれない笑顔たち、今日もこの道を照らしてくれている」など、観客へ2人の気持ちを語り掛けるような曲が用意されていたり、アンコール『お返しの約束』ではアカペラによる2人のハーモニーが美しく夜空に響きだしたかと思えば、静かにギターの音がそっと重ねられた後、「僕の約束を君にお返しする。待っててね」「後悔なんてさせない、出会えたことを」「どこまでもついてきてほしい」「これからの僕を見ていてね」と2人の決意ともとれるような歌詞を、安定した歌唱力で力強く、静かに歌い上げた。

こうした音楽での繋がりについて、彪我は初めはピンと来ていなかった所もあったという事を正直に明かしつつも「前回は台風で雨の中だったけど、みなさんと1つになれたことを実感できたライブだった。それを受けて去年の秋に、EP『うたはつづくよどこまで』の作成をしたり、音楽でもっとみなさんと繋がりたいと思って今日までやってきました。」と語った。

また雅功も、今回のテーマについて語り、「これからも2人で歌い続けますって言ってますが、それはずっとずっとやって行きたいと思っています。最近、音楽で繋がるってどういう事か考えていたんです。僕は、みなさんが悩んだりモヤモヤした時に孤独を感じたりした時、僕たちが音楽を使って、1人1人と繋がって、曲を聴いてもらえたり、ライブに来てもらったりした時に“自分は孤独じゃない”って思ってもらえたらと思うんです。これから先も、みんなと歌う事によって、心と心を繋げて、少しでも皆さんの心の支えになったら嬉しいなと思っています。5周年を迎えますが、僕らはその先に向かって、今いる方だけじゃない、たくさんの方と音楽でつながって、ずっとずっと一緒に寄り添っていけたらと思っています。これから先も僕らと音楽で繋がってください!宜しくお願いします!」と力強く会場へ呼びかけた。

続けて今回のライブで初披露という新曲が演奏されたが、この曲には、明るく元気なポップチューン・雅功の美しく響くビブラート・彪我の高音の心地よいハーモニーに載せられて、あるがままの自分を肯定しながらも、そっと背中を押してくれるメッセージが歌詞に込められていた。

2人により、気持ちたっぷりの歌い上げられたこの曲は、恋愛や自分自身について歌う歌とはまた異なる、まさに“音楽で繋がりたい”と語る2人の想いが昇華し、リスナーに寄り添うような世界観を持った曲として、新たなさくらしめじの魅力に加わった。

 

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最後はマイクを使わず「ありがとうございました!」と笑顔で何度も会場の隅から隅まで挨拶を行い、観客へ感謝の気持ちを身体いっぱい伝えた2人。

この後、サプライズで5周年企画として全国18都道府県を回るツアーが突然発表され、興奮気味に喜びを隠せない様子を見せる2人。
「18か所回るんだよ!たくさんの人と繋がれるね」(雅功)「たくさんの人に会いに行きます!ありがとう!」(彪我)とそれぞれ喜びの気持ちを表した後、「僕らはこの5周年をスタートにする気持ちでやっていく。今日絶対にみなさんと音楽で繋がれたはずです。もっとこの繋がりを、今後は太くしていきたいし、今後のツアーや色々なイベントを通して、たくさんのみなさんと繋がっていきたいと思っていますので、これからもさくらしめじ頑張ります!」(雅功)とツアーへの抱負を口にした。

最後に彪我は「僕たちさくらしめじは…音楽が大好き!これからも音楽続けていきますー!みなさんよろしくお願いしますー!」と力いっぱい声が掠れるほどにシャウト。

それを見て、優しい笑顔を見せていた雅功も続けて「僕も今日改めて音楽、きのこりあん(さくらしめじのファンの愛称)のみなさんが大好きだなと思いました。皆さんがいないと何もできないし、いつも勇気や元気をもらっている立場なので、どんどん音楽で返していきたい。断言します、音楽をやってて悔しくなるときもあるけど、みなさんがいる限り絶対に音楽が大好きですし、みなさん大好きです。2人で、みなさんで、一緒に続けていくので、これから先も、一歩一歩歩んで行きたいので、安心してついてきてください!本当に、皆さんと一緒に続けていこうと思ったので、これからもさくらしめじをよろしくお願いします!」とまっすぐな瞳で力強く会場へ呼びかけた。

 

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ここまでの高校生フォークデュオ、バンドデュオはなかなか今の日本で見つけることは難しいのでは、と思うほどとてつもないポテンシャルを秘めている2人。
そんな2人の姿を、全国でみられるチャンスが夏以降のツアーでめぐってくる。
ぜひ音楽好きリスナーは、これから行われる全国のライブハウスでそんな彼らの姿を目撃してみて欲しい。


(取材/文:佐藤早雪)


さくらしめじオフィシャルホームページ

http://sakurashimeji.com/

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