2019年1月にリリースされた「雪の華15周年記念ベスト盤 BIBLE」が好調なセールスを続けている中島美嘉が5月7日(火)、
北海道・小樽GOLDSOTNEで全国ツアー「Mika Nakashima Premium Live Tour 2019」をスタートさせた。
メッセージ性の強いバラードを中心にした同ツアーは、昨年も全公演ソールドアウトとなるなどファンの間でも強く支持されている。
この日も中島美嘉は、濃密な感情を込めたボーカルを中心にした素晴らしいパフォーマンスを披露。観客を大きな感動と癒しで包み込んだ。
この日、用意されたチケットは約300枚。親密な空間で中島美嘉の歌を堪能できる“プレミアム”なライブへの期待が、客席全体から伝わってくる。
そして18時30分過ぎ、ついにライブがスタート。憂いと美しさを併せ持った声が響き渡り、それが豊かな感動へとつながる。
河野伸(ピアノ)、海老沼崇史(ベース)による抑制の効いたシックな演奏、ひとつひとつのフレーズを手渡すような中島のボーカル表現も絶品だ。
スパンコールをあしらった黒のパンツルック、「我慢しないでいい場所を作るのが私の使命だと思っています。
“Premium Live”では、平気で泣いて、平気で笑ってください」という言葉も印象的だった。
ライブ前半では、アコースティック・アレンジ初披露となる「記憶」(7thアルバム「REAL」収録/2013年)、
ミュージカルの組曲のようなアレンジが施された「GAME」(6thアルバム「STAR」収録/2010年)など、このツアーでしか聴けない貴重なテイクを披露。
繊細な息遣いを交えた表情豊かなボーカル、シアトリカルなステージングも楽曲の世界観を引き立てていた。
さらに中盤では、80〜90年代の楽曲のカバーも。中島自身がセレクトしたナンバー8曲(アイドルポップスから演歌まで)を歌唱する楽曲を
日替わりで決めるこのコーナーも、同ツアーの見どころの一つだろう。
ライブ後半では、切実なメッセージや哀切な思いをたっぷり含んだ楽曲が次々と演奏された。“心の空に 確かな夢を見つける”というフレーズが心に響く
デビュー曲「STARS」(2001年)。“君といた想い出”に寄り添いながら生きている“僕”の感情を綴った「ひとり」(15thシングル/2005年)。
すべてのフレーズに生々しい感情を込めたボーカルは、ライブが進むごとに濃密さを増し、観客の心を大きく揺さぶる。
数年前から中島は「私はメッセージを伝える人」「ライブに来てくださる人たちの悲しみや痛みを引き受けるのが役目」という趣旨のコメントをしているが、
この日も彼女は、まさにその言葉通りのステージを体現していた。すべての悲しさ、切なさ、痛みを受け止め、解放するようなボーカリゼーションは、まさに中島美嘉の真骨頂だ。
いまや中島美嘉のライフワークとなった「Mika Nakashima Premium Live Tour」。真摯な思いを込めた歌によって、
リスナーの感情を浄化するようなこのツアーは、回を重ねるごとに深みを増しているーーそんな実感がはっきりと伝わってくるステージだった。
文:森 朋之