2019.07.26 公開
人間椅子、デビュー30周年記念『新青年』ツアーファイナルで満員の豊洲PITを魅了!

PHOTO BY 堀田芳香  画像 1/14

7月26日、東京・豊洲PITにて、人間椅子が〈三十周年記念オリジナルアルバム『新青年』リリースワンマンツアー〉の最終夜を華々しく締め括った。6月末より全国12都市で展開された本ツアーは、各地で過去最高の動員数を記録。早々にソールドアウトとなったここ豊洲PITには、彼らの勇姿を見届けようと、期待で胸いっぱいの観客が詰めかけた。なお、この夜の模様はYouTubeにて生配信され、期間限定でアーカイヴ配信中なので、是非ともお見逃しなく。

人間椅子、デビュー30周年記念『新青年』ツアーファイナルで満員の豊洲PITを魅了!PHOTO BY 堀田芳香  画像 2/14

 午後7時を少し回った頃、客電が落ち、周囲が真っ暗になると同時にSE「新青年まえがき」が妖しく高らかに響く。フロアからの大きな歓声と手拍子を受けて、和嶋慎治(Vo&G)、鈴木研一(Vo&B)、ナカジマノブ(Vo&Dr)の3人が悠然とステージに歩み出る。アルバム『新青年』からの「あなたの知らない世界」で幕を開け、見事なまでの一体感を生むと、続いて炸裂したのは、このアルバムのボーナス・トラックにして怒涛のヘヴィネスを誇る「地獄のご馳走」だ。この楽曲の中間部で和嶋がテルミンを奏でるなど、視覚的にも楽しませてくれる彼らのサービス精神に、オーディエンスは夢中で拳を振り上げ応えている。

人間椅子、デビュー30周年記念『新青年』ツアーファイナルで満員の豊洲PITを魅了!PHOTO BY 堀田芳香  画像 3/14

和嶋、鈴木、ナカジマの3人の阿吽の呼吸は今宵も絶品。どこか不気味な曲調であるにもかかわらず、観ていて清々しくなるのが人間椅子のマジックだ。緻密かつ大胆に表現された怪奇世界を目の前にすると、不思議なことに笑顔が止まらなくなってくる。隙あらば互いのプレイを褒め合うなど、ユーモア溢れるMCは今夜も絶好調だ。

人間椅子、デビュー30周年記念『新青年』ツアーファイナルで満員の豊洲PITを魅了!PHOTO BY 堀田芳香  画像 4/14

 江戸川乱歩の同名小説を題材とした「鏡地獄」でミステリアスな狂気を見せたかと思えば、「地獄の料理人」でどっしりとコミカルに爆音を轟かせる。こうしたバランスがいつ観ても巧みである。「人間椅子がやらなくなった曲ベストテンに入る古い曲」と鈴木が紹介した「盗人讃歌」や終盤のポリリズムがたまらない「幻色の孤島」といったレアな大曲が連続で放たれると、フロアには感嘆の声が広がってゆく。

人間椅子、デビュー30周年記念『新青年』ツアーファイナルで満員の豊洲PITを魅了!PHOTO BY 堀田芳香  画像 5/14 人間椅子、デビュー30周年記念『新青年』ツアーファイナルで満員の豊洲PITを魅了!PHOTO BY 堀田芳香  画像 6/14 人間椅子、デビュー30周年記念『新青年』ツアーファイナルで満員の豊洲PITを魅了!PHOTO BY 堀田芳香  画像 7/14 人間椅子、デビュー30周年記念『新青年』ツアーファイナルで満員の豊洲PITを魅了!PHOTO BY 堀田芳香  画像 8/14 人間椅子、デビュー30周年記念『新青年』ツアーファイナルで満員の豊洲PITを魅了!PHOTO BY 堀田芳香  画像 9/14

 本編中盤、アルバム『新青年』の核となるナンバーで、MVがまもなく200万回再生を突破する勢いの「無情のスキャット」の盛り上がりは特筆に値する。人間椅子ならではの雅な情緒に満ちた「いろはにほへと」や鈴木が「KISSのジーン・シモンズに捧げます!」と宣言し、これでもかというほどの重低音を響かせた「瀆神」などもハイライトの一つだった。

ナカジマがドラムを連打しながらメイン・ヴォーカルをとる「地獄小僧」は、彼らの新たな代表曲といった風格だ。この曲を合図に本編終盤に突入すると、「地獄の申し子」「超自然現象」で観客を存分に扇動。ラストはお約束の「針の山」が景気よく大爆発し、豊洲PITの観衆を汗まみれにしていた。

人間椅子、デビュー30周年記念『新青年』ツアーファイナルで満員の豊洲PITを魅了!PHOTO BY 堀田芳香  画像 10/14 人間椅子、デビュー30周年記念『新青年』ツアーファイナルで満員の豊洲PITを魅了!PHOTO BY 堀田芳香  画像 11/14 人間椅子、デビュー30周年記念『新青年』ツアーファイナルで満員の豊洲PITを魅了!PHOTO BY 堀田芳香  画像 12/14

まだまだこの灼熱地獄に落ちていたいオーディエンスの前に、3人が再び姿を現す。アンコールの1曲目、和嶋のダブルネック・ギター、鈴木のレアな指弾きベース、ナカジマの多様なパーカッションの響きで彩られた「月のアペニン山」がドラマチックに観客の心を掴むと、続く「地獄風景」で、ここぞとばかりのお祭り騒ぎを生み出した彼ら。この緩急自在の技こそが、人間椅子の魅力だ。

 一旦ステージ袖に去った3人がもう一度ステージに戻ってくる。ツアーファイナルのダブル・アンコールに彼らが選んだのは「どっとはらい」。この曲が着地点を迎える頃、豊洲PITに集結したファンは皆、人間椅子の30年の歩みに対して、心からの敬意と感謝を送っていた。終わってみれば、アルバム『新青年』の楽曲を中心に、人間椅子の歴史を彩る秘蔵の名曲群で構成された“地獄のセットリスト”。コアなファンから近年彼らの虜になったファンまで、誰もが夢中になる圧巻のハード・ロック・ショウだった。

人間椅子、デビュー30周年記念『新青年』ツアーファイナルで満員の豊洲PITを魅了!PHOTO BY 堀田芳香  画像 13/14 人間椅子、デビュー30周年記念『新青年』ツアーファイナルで満員の豊洲PITを魅了!PHOTO BY 堀田芳香  画像 14/14

そんな人間椅子から嬉しいニュースが届けられている。12月13日の金曜日、中野サンプラザにて30周年記念ワンマンライヴの開催が決定。彼らにとって初となる中野サンプラザ公演、何がなんでも目に焼き付けておきたいものだ。

デビューから30年を経た現在、最高の状態を更新し続けている人間椅子。彼らのたゆまぬ努力を見ていると、背筋が伸びる思いがする。日本のみならず世界からも大きな注目を集めている彼らの威風堂々の道、この先もしっかりとお供したい。

TEXT BY 志村つくね

 

2019年7月26日(金)東京・豊洲PIT公演

〈三十周年記念オリジナルアルバム『新青年』リリースワンマンツアー〉

〈セットリスト〉

1. あなたの知らない世界

2. 地獄のご馳走

3. 鏡地獄

4. 地獄の料理人

5. 盗人讃歌

6. 幻色の孤島

7. 無情のスキャット

8. 太陽黒点

9. いろはにほへと

10. 瀆神

11. 今昔聖

12. 地獄小僧

13. 地獄の申し子

14. 超自然現象

15. 針の山

EN1-1. 月のアペニン山

EN1-2. 地獄風景

EN2-1. どっとはら

関連タグ

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
WWSチャンネルの人気記事をお届けします
【あなたにオススメ記事】

関連記事