ヘヴィロックに高難度のフォーメーションダンス、さらにメンバー発信のラップやヒューマンビートボックスを取り入れたミクスチャーなスタイルで人気の9人組ユニットSUPER★DRAGONが、結成4周年記念イベント『DRA FES 2019』を11月16日に豊洲PITにて開催した。支えてくれているファンへの感謝を示すべく、毎秋、通常のワンマンとは一味異なる周年イベント『DRA FES』を行っている彼らだが、4回目となる今年は1部をファンミーティング、2部を4周年ライブとまったくコンセプトの異なる2部制で敢行。そのスキルとキャラクターを新しい挑戦も交えながら多角的にフィーチャーし、2部のアンコールでは来春の全国ワンマンツアーも発表して、両部合わせて約6000人のファンと共に4周年を祝った。
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まず1部では『Super Fan Meeting』の名のもと、ひとえに“ファンを楽しませること”を目的に、それぞれが自身の彼女という設定で、なんと愛らしい女子高生姿を披露! 女子になり切ってノリノリで彼氏(?)自慢をし、歌い踊ったかと思いきや、後半は学生服に着替えてイケメン台詞対決や即興劇を繰り広げるなど、普段のライブで見せるシリアスな表情とはまるで違う爆笑ステージを展開してみせた。
平均年齢17歳の男子グループらしい等身大の素顔を覗かせた1部から一転、現在のSUPER★DRAGONが持つ高いパフォーマンス力を遺憾なく発揮したのが、2部の『4th Anniversary Live』だ。歴代のアーティスト写真を辿るオープニング映像で、まずはビジュアルから4年間の成長を示すと、ダイナミックな銅鑼の音から真っ赤な照明を受けてステージ上段に9人が登場。過去の自分に対する怒りを沸々と自問自答する「WARNING」から、ラテンなサウンドと極太ビートに乗って己との闘いを激しいダンスで表す「La Vida Loca」と、ひたむきに自分自身へと相対する9つの影が客席を沸かせてゆく。
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年上組4人のファイヤードラゴンに年下組5人のサンダードラゴンと、時に2チームに分かれてより多彩な活動ができるのもスパドラの魅力。現在、その2組に本体のSUPER★DRAGONを併せた3組で全国を回っているユニットツアー『TRIANGLE』では、ファイヤー/サンダー共に単独名義では初のリリースとなるミニアルバムを引っ提げ、ファイヤードラゴンは“ファンク”をテーマに外部ダンサーと。一方、サンダードラゴンは“パンク”を掲げて生バンドと帯同するという新たな挑戦を試みている。
アニバーサリーなこの日は、そんな挑戦が一挙に楽しめる贅沢なステージとなった。まずはファイヤードラゴンの4人が赤いソファの元に現れると、ステッキを小道具に魅せる小粋な「On My Way」、巧みにトランプを操る「BlackJack」と、ダンサーを引き連れてアルバム収録の新曲をパフォーム。スパドラサウンドの大黒柱であるジャン海渡のスキルフルなラップ&古川毅のエモな歌唱に加え、普段はダンスに専念している志村玲於や飯島颯が積極的にラップやボーカルを取るのも今回の大きな見所だ。ミラーボールが回るディスコ調の「Let's Get Down」では、ダンスリーダーの志村が初めて振り付けをした曲ということで、客席へのダンス講座やコール&レスポンスも。『DRA FES』を初回から振り返り、会場のキャパシティが10倍になったことへの感謝をしみじみと述べる4人の表情は、実に充実したものだった。
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続いてサンダードラゴンのターンになると、突如として生バンドの爆音がステージを震わせて、正統派ロックチューン「Rock Tonight」をドロップ。田中洸希のヒューマンビートボックスを皮切りに、3ピースバンドのアグレッシブな生演奏に乗って大きく身体を揺らし、5人全員マイクを握ってシャウトとスモークにまみれながらエモーションをぶつける姿は“熱い”の一言だ。続いて全員でタオルを回す「Hard Days」とアルバム新曲が並ぶが、何より驚かされたのが既発曲の大きな進化。おなじみの「INAZUMA」でも、メンバー同士の即興的な掛け合いに加えてバンドメンバーと絡んだり、人気曲「リマカブロ!」ではエレキギターのソロが空気を切り裂いたりと、生々しい臨場感と緊張感の高さはこれまでと比較にならない。テンションが上昇するあまりステージを駆け回る彼らの若々しいパッションと、生バンドとの相性の良さを改めて思い知らされ、曲が終わると荒々しいラップで場内をかき回していた松村和哉の発した「やべーぜ!」の一言も納得だ。
そして場面は、スパドラとしては珍しいラブソングを並べたブロックへと進む。普段はスパドラのラップリーダーとして攻撃的なラップを轟かせているジャンが、古川と共に柔らかなボーカルで恋の戸惑いを繊細に聴かせ、志村と飯島が舞うファイヤードラゴンの「Drive Me Crazy」。年上の女性に対するもどかしい想いを、サンダードラゴンの5人が十代の今だからこその甘さで表現した「真冬の熱帯夜」。そしてオクテ男子の恋心を、田中を中心にウィスパーな歌声で切なく映したSUPER★DRAGONの「Jacket」。三者三様の恋模様を背伸びすることなく、自身の個性も活かしながら描いてもなお明らかな大人びた表情は、思春期と重なるこの4年に彼らが果たした“人”としての成長を感じさせるに十分だ。「9人で成長した形を見せられているのが嬉しい」という古川の台詞も実感をもって胸に沁み入るが、「でも、僕たちずっと成長期なんで、これからも日本で最強のSUPER★DRAGONってものを見せつけていこうと思っています。じゃあ、最強のSUPER★DRAGONとは何なのか?を目撃していただきたく用意してきたので、瞬きせずによく見てください!」と続いた言葉の通り、その後は生バンドの演奏を背に怒涛のクライマックスへと突入する。
田中のヒューマンビートボックスにジャンと松村のラップが絡み、古川と池田彪馬の美声組が朗々たるフェイクバトルを聴かせれば、志村、飯島、伊藤壮吾、柴崎楽はダンサーと一緒にアクロバティックなダンスで魅了と、今日のために用意されたスペシャルなダンストラックから雪崩れ込んだのは「BADASS」。床を伝って身体までも揺らす迫力の生演奏は、スパドラ随一とも言える重低音ナンバーの本領を発揮させ、続く「Mada’ Mada’」では総勢14人の大所帯でエナジーを大放出して、志村もいつも以上に大きくジャンプする。「叫べ!」という号令からはトドメとばかりに「Untouchable MAX」が投下。噴き出すスモークの中で繰り広げられるド迫力パフォーマンスの爆発力は尋常ではなく、ダンサーに生バンドという『TRIANGLE』ツアーでの二つの大きな挑戦が、また一つスパドラを進化させたことを確信させてくれた。
仲間との絆を歌った全英詞のダンスロック曲「Dragonfly」でタオルを振りたくり、本編を締めくくったときには、あまりの全力歌唱に「ここ数年で一番喉がやられた」と古川が苦笑するほど。アンコールでは記念すべき1stデビューシングル「Pendulum Beat!」を初めて生バンドの演奏と共に贈ると、ジャンは「もうちょい衝撃欲しいっすよね」と9月に行われた初の日比谷野外大音楽堂ワンマンが2月19日にBlu-rayリリースされること。さらに3月7日の仙台GIGSを皮切りに、4月3・4日のZepp Tokyoまで6都市7公演に上る全国ワンマンツアーが開催されることを発表して、オーディエンスに喜びの悲鳴をあげさせた。最後は「楽しく終わる曲、アレしかないでしょ! 俺たち雨男でいつも外は雨だけど、最後は晴れて終わりましょうよ!」(池田)と「雨ノチ晴レ」でフィニッシュ。鉄道オタクの伊藤を先頭に電車ごっこの陣形を取ったりと、朗らかなナンバーで見せるメンバーの笑顔は、アグレッシブな本編とのギャップが大きい分だけ魅力的だ。
現在、行われているユニットツアー『TRIANGLE』は11月30日、12月1日になんばHatchでファイナルを迎え、12月4日にはファイヤードラゴンの、翌週11日にはサンダードラゴンのミニアルバム『TRIANGLE』がリリースされる。若さの分だけ未知の可能性を秘める彼らの新たな一歩と、その先に続くツアーを心待ちにしたい。
文:清水素子
ツアー解禁情報
『SUPER★DRAGON ONEMAN LIVE TOUR 2020』
■2020年3月7日(土)【宮城】仙台GIGS
開場16:00/開演17:00
■2020年3月15日(日)【福岡】Zepp Fukuoka
開場16:00/開演17:00
■2020年3月21日(土)【大阪】Zepp Osaka Bayside
開場16:30/開演17:30
■2020年3月22日(日)【愛知】Zepp Nagoya
開場16:00/開演17:00
■2020年3月29日(日)【北海道】Zepp Sapporo
開場16:00/開演17:00
■2020年4月3日(金)【東京】Zepp Tokyo
開場17:00/開演18:00
■2020年4月4日(土)【東京】Zepp Tokyo
開場16:30/開演17:30
リリース情報
MINI ALBUM『TRIANGLE –FIRE DRAGON-』
発売日:2019年12月4日(水)