11月16日、都内にてダンスボーカルユニットSUPER★DRAGON(通称:スパドラ)が結成4周年記念イベント『DRA FES 2019』を開催し、1部・2部で合計6,000人のオーディエンスを熱狂させた。
『DRA FES』はミクスチャースタイルを持つダンスボーカルユニットとして活躍するスパドラだからこそ成しえる“音楽フェス”のようなライブとなっている。
ダンスボーカルユニットの中でも唯一無二のミクスチャー要素を持つ音楽性や世界観ごとにセットリストを構成し、スパドラという1つのグループながらEDM、ヘヴィロック、R&B、ポップスなど全く異なるジャンルの音楽と世界観を持ったライブが展開されていく様子はまさに“音楽フェス”さながら。
SUPER★DRAGON『DRA FES2019』 photo by 笹森健一 画像 2/4
もしスパドラの楽曲を知らなくとも、様々な音楽や世界観を一度に楽しめるのでファンならずとも楽しめるライブとなっている。
ライブの幕開けは、赤いレッドライトの中、激しさと横一列という斬新なフォーメーションダンスで展開される『WARNING』、ラテン調の楽曲に乗せ激しく挑発するようなダンスと目線が特徴的な『La Vida Loca』という最新のスパドラらしさを存分に感じさせる2曲でスタート。
その後自己紹介を兼ねたMCへと入るが、都度他のメンバーが合いの手やツッコミを入れるなど、自然体な彼らの仲の良さを感じられ、観客もそれに対して笑い声や合いの手を入れるなどし、会場に楽し気な一体感が作り出される。
自己紹介が一通り終わると、毅が観客に「俺たちと一緒に楽しめるんですかね!?」と何度もドS気味な口調で挑発するように呼び掛けるコール&レスポンスの後、音楽が鳴り響いたかと思うとダンサーとバンドメンバーが登場。
ここからメンバーが2チームに別れ、変幻自在なスタイルでパフォーマンスを行う2つのユニットによるライブタイムへ突入していく。
まずは年上メンバー4名による「ファイヤードラゴン」のセットリストへ。
ファイヤードラゴンは毅・玲於・颯・ジャンからなり、4人の個性も相まって、力み過ぎず、余裕感や楽しんでる様子がパフォーマンスにも表れており、ギラギラしたスパドラのセクシーさとはまた異なる、大人の余裕を帯びたスローな色気を醸し出すステージとなっている。楽曲も洋楽テイストの作りこまれた曲が多い。
SUPER★DRAGON『DRA FES2019』 photo by 笹森健一 画像 3/4
彼らのパフォーマンスは心地良さと、少しのスパイシーさが絶妙にミックスされた“大人にこそ楽しんで欲しいダンスボーカルユニット”だ。
この日、白いニット姿で登場した4人はベロア調の長ソファーにゆったり腰を掛け、ファイヤードラゴンの楽曲であるメロウなメロディに乗せた『On My Way』、激しい重低音の中に大人の危険な雰囲気を漂わせつつ、毅の擦り切れるような切ない高音が特徴的な『BlackJack』、スパドラの盛り上がり楽曲ながら、ファイヤードラゴン風にアレンジされ少しの怪しさをはらんだ『PAYAPAYA』、洋楽ディスコを彷彿とさせる楽曲でミラーボールの光が会場を包み、メンバーと観客が玲於が考えたというダンスを一緒に踊るダンスフロアさながらな雰囲気を作り出す『Let’s Get Down』の4曲を一気に披露した。
パフォーマンスを終えると「めちゃくちゃ楽しい!」と充実感たっぷりな様子のメンバーたち。
なお衣装について触れる場面もあり、「このライブは1年に1回だし、ファンの皆さんと想い出を作りたいという事で…」と毅がタメて口にしたのは「ワタクシたち、(今日の衣装は)“彼氏ニット”でございます。今日はみんなと付き合って4年目だよ、みたいな…」とまさかの甘いセリフとシチュエーションに会場からは悲鳴に近い大歓声が。
その後、これまでを振り返り初回の「DRA FES」の観客数に比べたら動員が10倍になったことに触れつつ、当時、猫好きの颯と楽で“にゃんだードラゴン”を結成をした話になると「公式にして欲しいです…」と懇願するような表情で手を合わせてお願いをしだす颯の姿が見られたり、今年だけでアルバム3枚出したことに触れると毅は「もう来年出さなくて良いんじゃ?」と冗談を交えて口にすると慌てながら玲於がすかさず「馬鹿野郎!来年も出すんだよ!」と絶妙な掛け合いを見せ、客席からはトーク中、終始歓声や笑い声が起こっていた。
その後「Make Some Noise!(盛り上がっていこうぜ)」と言いながらステージを後にしたファイヤードラゴンのメンバーたち。
すると青いライトが会場を満たし、激しいロック調のバンドサウンドが会場に轟きだすとサンダードラゴンのメンバーが登場。
先ほどのファイヤードラゴンとは一転、生バンドによるヘヴィロックが鳴り響き、スパドラとも、ファイヤードラゴンとも異なる“ロックバンド”の音楽性に一気に会場の空気が塗り替わる。
登場したサンダードラゴンのメンバーたちはそれぞれ色違いでパステル色のシャツに黒い皮パンツを身にまとい登場。『Rock Tonight』『Hard Days』といったサンダードラゴンのオリジナル曲から、『INAZUMA』『リマカブロ!』といったスパドラ曲まで全てバンドによるアレンジで全く別の魅力を持った楽曲として披露される。
バンド演奏が産み出す熱量に感化されてか、メンバーも普段と異なる様子を見せており、メンバーからは普段とは異なる激しく燃える炎のような気迫が出ており、ステージから発せられる大きな熱気は会場をくまなく包み込み、観客を大いに盛り上げていた。
4曲を一気に歌い終えると、ギラギラした目つきで「楽しいな、オイ!」と興奮気味に洸希がメンバーに語り掛ける。
これを受けて彪馬も冷静な口調ながらも「(ファイヤードラゴンは)何しんみりしたステージをやってるんだ。彼氏ぶりやがって」とファイヤードラゴンに対して対抗感を露にするコメントも。
その後、この日は壮吾がメンバーにイジられる一幕も見られ、アカペラの歌唱で壮吾の声が出ない様子を再現されてしまったり、JRの有料席を“課金”と呼んでいる事を和也に明かされてしまうなど、メンバー内の様子がステージ上でもそのまま垣間見えるようなやり取りを多々見せてくれた。
その後再びファイヤードラゴンが登場し、陰陽が印象的なライティングの元、ドキッとさせるようなソロダンスを各自披露する『Drive Me Crazy』、サンダードラゴンによるこれまでのヘヴィロックとは少し趣の異なる大人要素やグローバルなダンスミュージック要素の入った『真冬の熱帯夜』、続けてメンバー9人による洸希プロデュースのスパドラらしい大人の色気が存分に発揮された『Jacket』が披露される。
その後、再びMCに入ると全員でこれまでを振り返りながらも、毅は「4年間、9人欠けずにやってこられたことは凄い。それぞれみんな悩みとかもあったけど、色々な選択肢が出てきた時に、スパドラをちゃんと選んで、4年間自分たちがスパドラを続けて来られたのは、ファンの皆さんが僕たちに良い景色を見せてもらえている事がモチベーションになっていると改めて感じている。心から感謝したい」と静かに語りながら、ファンへの感謝を口にした。
SUPER★DRAGON『DRA FES2019』 photo by 笹森健一 画像 4/4
そして「今年も“DRA FES”で成長した姿を見せられたのが嬉しい。でも僕たちはずっと成長期。これからもEBiDANとは言わず、日本で最強の“スパドラ”を見せつけていこうと思います!」と力強く宣言すると、「最強のスパドラとは何なのかを、目の前で目撃してもらいたく、最高のパフォーマンス用意してきました!瞬きせずに見ててください!」と観客の期待感をたっぷり煽ると、生演奏による重低音が鳴り響く中、ゴリゴリのヘヴィロックにアレンジされたスパドラの既存曲たちのセットリストが次々と展開される。
『BADASS』『Mada’Mada’』『Untouchable MAX』『Dragonfly』などEDMベースから、ロックサウンドベースの楽曲へとアレンジされ、そこへ彪馬と毅によるヴォーカルバトル、フォーメーションダンス、ヒップホップ、ボイスパーカッションなどが加わわり、またこれまでにないロックベースの新たなミクスチャーサウンドとパフォーマンスが次々と繰り出され、観客を圧倒させる。
後のMCで「夢だった」という生バンド演奏の音。
和哉も「熱のある生バンドの音に俺たちも煽られてる」と興奮気味に話していたが、確かにバンドとメンバーの熱が相乗効果となり、これまでにないスパドラのパフォーマンスを目撃することができるライブとなった。
その後、一旦ステージをはけるも会場からは大きなアンコールが起こり、『Pendulum Beat!』、「楽しく終わる曲、あれしかないでしょ!」と口にして壮吾プロデュース『雨ノチ晴レ』をアンコール曲に選んだ。
その後、名残惜しそうに会場中に手を振りながら、笑顔でステージを後にし、この日のライブは幕を閉じた。
この日は2020年春にZeppツアーが行われる事が発表され、北海道から福岡まで日本各地を巡り、ラストの東京ではZepp Tokyoにて2デイズのライブを行う事も明らかになった。
「ずっと成長期」と語る通り、全員がストイックなまでに“スパドラ”というグループの可能性を追求し、毎回新たな作品を発表するたび、新たな音楽性や世界観を持ったパフォーマンスを見せては、他のダンスボーカルグループにはない新鮮な刺激と驚きを見せてくれる彼ら。
次はどんなスパドラを楽しめるのだろう。それを考えると今から次のライブが待ち遠しくなる。
(取材・文/佐藤 早雪)