2020.01.15 公開
INORAN、2020年秋に50歳を記念した特別ライブ開催を宣言!

Photo by:ヤマダマサヒロ@yamada_mphoto  画像 1/8

12月30日、INORANが渋谷duo MUSIC EXCHANGEで、オフィシャルファンクラブNO NAME?の会員限定ライブ『NO NAME? PRIVATES? #35 COWBOY PUNI-SHIT “THE FINAL BULLET”』を行い、2020年にニューアルバムをリリースすることと50歳を記念した特別ライブ企画、『INORAN 50TH ANNIVERSARY BASH! -TOKYO 5 NIGHTS-』を開催することを宣言した。


19年にリリースされた12thアルバム『2019』は、INORANの現在の音楽性を象徴するバラエティ豊かで、生々しいロックサウンドを内包。その音像は、アルバム完成後の『TOUR2019 「COWBOY PUNI-SHIT」』のライブを重ねるごとに、さらに密度の濃さが増し、よりシャープに磨き込まれていった。2月26日リリースのBlu-ray作品『INORAN TOUR 2019 COWBOY PUNI-SHIT LIVE in TOKYO』には、そんな圧巻のライブの模様が克明に記録されている。


多くのライブを経て、劇的な進化を遂げた『2019』の銃弾のようにスリリングなサウンドは、今回の『NO NAME? PRIVATES? #35 COWBOY PUNI-SHIT “THE FINAL BULLET”』で、ようやくINORANの望む“理想形”として完成した…そう断言できるほど、当日の会場の盛り上がりと一体感は凄まじかった。


開演時刻を少し過ぎた頃、「Are you ready to rock?」のメッセージが会場に流れ、Ryo Yamagata(ds)、u:zo(b)、Yukio Murata(g)、INORANがステージに登場。『2019』のファーストナンバー、「Gonna break it」でライブはスタートする。


Ryoの力強いタムロールから始まるこの曲のイントロで、INORANは「ヘイヘイ、東京!」と観客を煽り、u:zoの地鳴りのように激しくウネるベースラインに、切れ味鋭いギターリフを、Murataと共に絶妙な間合いで合わせていく。


19年の『TOUR2019 「COWBOY PUNI-SHIT」』では、作詞を手掛けた来門(ROS)がゲストボーカルとして本曲に参加。リズミカルなフロウで観客を沸かせたが、この日の「Gonna break it」は、INORANとu:zoのツインボーカルで披露され、10年以上一緒に音を合わせてきたこのバンドの強固な結束力が、よりしっかりとサウンドに宿っていた。

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その後、INORANが「オイオイ、行こうぜ!」と大きく叫び、「COWBOY PUNI-SHIT」のギラっとして、危険な輝きを帯びるギターイントロを弾き、オーディエンスのボルテージはさらにヒートアップしていく。
『2019』の完成時、INORANは「このアルバムによって、ライブのファンと自分達の距離がさらに近づくと思う」と語っていた。その言葉通り、序盤で披露された本作収録の「Gonna break it」と「COWBOY PUNI-SHIT」は、バンドとオーディエンスがひとつになるためのライブの“マストソング”になっている。


その後、INORANが「元気だったか? またこの4人でこのライブができて、本当に嬉しいです。今日はブチ上がっていこうぜ」と語り、観客の士気をさらに鼓舞させる強力なナンバー「Awaking in myself」と「2Lime s」をプレイ。


ソロデビュー作の『想』(97年)以降、INORANはミクスチャー、ヒップホップ、アンビエント、アコースティックなど、様々な要素を融合させながら、自身の音の探求を続け、8thアルバムの『Teardrop』(11年)以降は、現在の音楽性において重要な要素であるグランジ/オルタナに深く傾倒していった。また、18年のライブ映像作品『Override』以降、彼は自身の感情をよりストレートに演奏に込めるようになり、以降のライブはその激しい音の中に、より明確な説得力を宿すようになっていった。


なぜ彼が、よりピュアで初期衝動溢れる音を表現するようになったのか? その答えは間違いなく、この日のライブ演奏に集約されていた。そう確信できるほど、この演奏は今まで以上にエモーショナルで、その純粋な音の表情に心は強く揺さぶられた。そして、このライブを観たことで、彼の音楽性の進化と深化の全てに合点がいったような気がした。

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INORANは、その“ありのままの感情”を正直かつ、ロックな音で表すことを突き詰めていった結果、このスタイルに向かうようになり、その表現は『2019』のライブを経て、最も鮮明かつリアルに、オーディエンスへと届けられるようになったのだと…。
中でも、特に印象に残ったのが「Don’t Know What To Say…」だ。この曲は、Aメロにポジティブパンクを彷彿させる陽気なメロウさが宿り、この部分をバンドは笑い合い大いに楽しんでいた。

 

そして、Bメロからサビの暴れるような大きな盛り上がりでは、何かに怒っているような荒々しい感情を表していたし、ラストのMurataのギターソロはどこか切ない哀愁に満ち、そんな喜怒哀楽を実直に音に込めた演奏が実に痛快だった。


その後、INORANは「ライブって楽しいね。皆は楽しい? 皆もさ、日々の生活で人付き合いとか、大切な人とかの間でこうして欲しいとか、色々と思うことがあると思う。でも、人生って求めることよりも、与える方が大事で、それはいかなる時も同じ。実は俺今年はちょっと弱っているというか、色々あって疲れちゃったんだけど(笑)、こういう時こそ、与えることが大切なんだよね。だから、今ここにある美しい時のために、この曲を捧げます『Beautiful Now』」と語り、「Beautiful Now」を演奏。

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「Beautiful Now」がプレイされたライブ中盤以降は、「Don’t you worry」「Starlight」といった新作『2019』を象徴するナンバー、Ryo、u:zo、Murataのバンドメンバーによるセッションを経て、「Daylight」「raize」「Rightaway」といったファンお馴染みのナンバーが披露され、充実のセットリストとなっていた。


また、ライブ中盤におけるバンド演奏のタイトさは目を見張るものがあり、豪快かつ時に繊細なアプローチを織り交ぜるRyoのドラムに、グルービーでゴリゴリなベースを信条に、適材適所で高音の複音を加えながら、コーラスでも曲を盛り上げるu:zoの鉄壁なリズム隊。躍動するリズムの波に乗りながら、様々な音の表情を生み出すINORAN、彼と共に色彩豊かなギターのハーモニーを加える、Murataのフレーズセンスは見事だった。

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大きな盛り上がりを見せた「I’m Here for you」の後、INORANは「最高じゃないかお前ら! 俺、今凄い気絶しそう(笑)。この感覚をしばらく忘れていたけど、やっと思い出せた。皆も色々なことがあってさ、普段はハミ出すこととかあまりないでしょ? 日々の生活の中で家族や家庭、その他の様々な付き合いがあったりで。でも、こういうライブな場所でバカやったり、ハメを外したりして、今日、この日を気絶するほど生きていけたら、もう本当にそれでいいと思う」と語り、「こう言ったらさ、少し誤解を招くかもだけど(笑)、今年LUNA SEAをやって、それからこのバンドのファイナルをやって感じたんだけど、LUNA SEAって車で言えばレクサスみたいに、とても快適な感じかもしれない。でも、こっちはさ、このバンドはマスタングみたいな暴れ方をしちゃうけど(笑)、上等じゃないかマスタングで! 俺は大事な人を、皆のことを、こんなにも最高なマスタングに乗せて、どこまでも走っていこうと、今日気絶するほど思いました。そう感じられたのは皆がいてくれたから。だから、その感謝の気持ちを歌います

。『Thank you』」と語り、「Thank you」を演奏。このセクションの「Thank you」と「Rise Again」によって、ライブの盛り上がりは一気にピークへ。


そんな観客の姿を笑顔で眺め、INORANは「気絶するのもいいよね。っていうか、今日3回くらい気絶しちゃったよ(笑)。でも、音楽って素晴らしいと思うし、世界を救えるかもしれないって信じている。俺は、SUGIZOみたいにはストイックじゃないし、歌もそこまで巧くはないかもだけどさ(笑)、音楽が世界を救うことは、もう誰よりも強く信じている。だから、そんな素敵な音楽で時にフザけて、時にマジメに楽しんでいって、皆とこの4人で見る“その先の景色”は、本当に素晴らしいものになるはず。19年はここで終わるけど、また来年もこの4人一緒で帰ってきたい。実は、今もう6曲ほど書き上げていて、誕生日頃にはアルバムを出したいと思っています。来年は、もう『2020』なんてタイトルじゃないけどね(笑)」そして「来年は俺も50歳になるわけだけで、20代、30代、40代は本当に色々あったよ(笑)。だから、50歳になる2020年、この東京で5 NIGHTSの特別なライブをやります」と宣言。そんな2つのサプライズに、オーディエンスから一際大きい歓声が上がる。

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終盤のハイライトは、ラストの「Long Time Comin」。近年、この場所に位置し、ファンとのシンガロングを盛り上げた「All We Are」から、『2019』完成以降のツアーのラストを担うようになった本曲。曲の終わりに向かい、ジワジワと会場のシンガロングが大きくなる中、INORANの力強いボーカルと、Murataの渋いブルースハープのソロが、曲の高揚感をさらに高めていく。
会場に広がる大きなハンドウェーブを満足そうに見つめ、INORANは「渋谷duo、今日はどうもありがとう。また会いましょう」と語りかけ、その後Murataが伴奏を終え「ありがとう!」と叫び、それぞれ会場を後にする。そして、その場に残ったu:zoがRyoに微笑みかけながらベースソロを弾き退場し、Ryoがドラムフィルからラストのスネア1発にありったけの想いを込め力強く叩き、ライブは終了。Ryoはオーディエンスに深々と一礼をして、会場を後にした。

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INORANがライブで語った、2020年の新作リリース、50歳を記念した5夜の特別ライブ企画『INORAN 50TH ANNIVERSARY BASH! -TOKYO 5 NIGHTS-』は、筆者にとっても大きな驚きだった。特に、50歳記念のスペシャルライブの全容について知るすべは、まだ現段階では何もない。


しかし、INORANはこれまでLUNA SEA、自身のソロ、FAKE?、Tourbillon、Muddy Apesなど、異なった様々なキャリアを形成しながら、有言実行で皆の想像をさらに上回る“何か”を常に音楽で提示し続けてきたのは、紛れもない事実だ。


そんな彼が、今年にリリースする最新作と、50歳の節目となる『INORAN 50TH ANNIVERSARY BASH! -TOKYO 5 NIGHTS-』で何を企み、どのような形でファンを驚かせてくれるのか? その答えがわかる日が来るのを、今ワクワクしながら待ち続けている…。
取材・文:細江高広

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http://inoran.org/no-name/

NEW RELEASE
■「INORAN TOUR 2019 COWBOY PUNI-SHIT LIVE in TOKYO」
発売日:2020年2月26日(水)

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