2008年に「花になれ」でデビューするやいなや、瞬く間にスターダムを駆け上がった4人組バンド・flumpool。デビュー翌年に「NHK紅白歌合戦」へ出場するなど、国民的なバンドへ成長。
たが、その眩い実績とは裏腹に彼らはいつも苦悩し迷っていたのかもしれない。特に近年は、ボーカルの山村が喉の不調に苦慮。2017年暮れに、声が出ないという危機的状況に陥り大阪城ホールでの単独ライブを急きょ中止し、活動休止を余儀なくされた。
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しかし、4人はどん底から這い上がり、2019年12月30日に「flumpool年末ライブ『FOR ROOTS』 ~シロテン・フィールズ・ワンスモア~」でリベンジを果たした。インディーズ時代に幾度となくシロテン(大阪城公園ストリートライブの呼称)でストリートライブを行ってきた、原点と言うべき場所での見事な復活劇だ。
ファンもそれを承知しているからこそ、2019年の年末ライブは特別なものになった。オープニングMCを担当した大抜卓人氏の言葉ではないが、flumpoolにとって新たな「伝説のはじまり」となった。
日本一長いという豪華なリムジンで乗り付けた4人を追うカメラは、悠然と歩きながら会場入りするメンバーを捉えていた。一歩また一歩とステージへ近づく姿を、大型ビジョンで固唾を飲んで見守る観客…。4人が階段を駆け上がってステージに登壇すると、オーディエンスのボルテージは一気に跳ね上がり、割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。
「行くぜ、大阪!」と山村が叫び、「ベガ 〜過去と未来の北極星〜」でライブの幕は切って落とされた。続くエモーショナルなロックチューン「覚醒アイデンティティ」、インディーズ時代から愛されている「labo」と、バンド初期の人気曲を立て続けに鳴らし観客を興奮へと誘った。
最初のMCで山村は、「ただいま」「帰ってきたで。ありがとう、嬉しい」と素直な気持ちを伝えた。その目には早くも涙があふれんばかりだったが、感情をなんとかコントロールして、アコースティックギターをかき鳴らし、「大切なものは君以外に見当たらなくて」へ。ウォームなサウンドに乗せた、心温まるメッセージが会場を包み込んだ。
シンフォニックなイントロが印象的なヒット曲「花になれ」に続いて、歌を大切にしながらもパワフルな小倉のドラムや、存在感のある尼川のうねるようなベースラインなどflumpoolらしさが詰まった新曲「ネバーマインド」をプレゼント。「two of us」では、イントロを聴いただけで観客が喜びの声を上げた。それもそのはず、この曲によって一体感がぐっと高まる、ライブには欠かせない名曲なのだ。
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この日、4人は序盤からライブで人気の高い名曲やヒット曲を惜しげもなく投入し、全身全霊でプレイした。それでも飽き足らず、メンバーそれぞれが「隠れた名曲」3曲を事前にリストアップし、誰の選曲が最も支持されるかファン投票で決めるという企画も展開。ライブ中盤に行われた結果発表では、阪井がレコメンドした「Answer」「残像」「388859」が勝利。なかでも「388859」はレア度が高く、ファン投票でもダントツの1位だったそうで、観客を歓喜させた。
MCでは、投票結果に関して阪井以外の3人が不満を漏らすなど、気心の知れた間柄ならではのゆるいトークで会場を笑わせる一幕も。こんな何気ないやりとりを、ファンは待ちわびていたのかもしれない。
ライブ後半は、ドラマ主題歌として話題の新曲「素晴らしき嘘」からスタート。歌う前に、「この楽曲は活動休止について書いた」と山村が楽曲に込めた思いを語り始めた。声が出ないという絶望の中でメンバーとスタジオに入ったとき、山村以外の3人が不安や絶望を感じさせず、普段通りに温かく接してくれたと振り返った。山村のことを思いやる3人の優しい嘘に励まされたことから生まれた楽曲は、今の山村だからこそ言葉にし、歌える真のメッセージソングと言えるだろう。
「夜は眠れるかい?」からは、怒涛のラストスパートへなだれ込んだ。雨が降り注ぐ中で演奏しているのではないかと見紛うような、美しい映像とのコラボが幻想的な「ビリーバーズ・ハイ」。ファンキーでダンサブルな「イイじゃない?」では、山村を筆頭に観客もタオルを振り回し、全員が弾けた。
本編ラストを前に、再び山村は思いを吐露。「今年(2019年)は本当に大切な年でした」「(音楽を聴いてくれる)皆に本当に救われました。どうなるのか不安の中で、皆がいたからできた曲です」。そう言って、歌い始めたのは復活して最初に発表した「HELP」だった。歌詞と相まって山村自身の赤裸々な告白にも聴こえるボーカルを、阪井と尼川のコーラスがまるで両側からがっしりと支えているように聴こえてきたから不思議だ。目には見えない、彼らの深い絆に心揺さぶられた瞬間だった。
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4人がステージを去ると、すぐさまアンコールの声が飛び交ったのは言うまでもない。その熱意に応えるよう、4人はアリーナ後方から登場。観客との触れ合いを楽しみながら通路を歩き、360度見渡せる小さなサブステージに登壇。「とうとい」を、心を込めて歌い届けた。
メインステージに戻ると、ファンに愛される名曲「春風」で胸をきゅんとさせた後、「泣いても笑っても、最後です!行けますか」の呼びかけ、オールラストの「君に届け」へ。序盤から大合唱となり、笑顔の花を咲かせながら大団円を迎えた。
全てを成し終えた4人は、充実した表情を浮かべ輝いて見えた。ライブ序盤は何度も目を潤ませていた山村も、最後は笑顔を浮かべて晴れやかな表情でステージを後にした。
もしかすると、この先もflumpoolに予測のつかない出来事が待ち受けているかもしれない。だが、自らの弱さを受け止め、さらに強くなれた今の彼らならきっとすべてを糧にしてより前へと進めるに違いない。この春、4年ぶりにリリースされる新アルバム『Real』で、いったい彼らがどんなflumpoolを届けてくれるのか今から楽しみでならない。
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飾ることのないリアルな姿で感動を呼んだ年末ライブの模様を、その目で、耳で確かめ、ぜひとも伝説の証人になっていただきたいものだ。
【番組情報】
flumpool年末ライブ「FOR ROOTS」 ~シロテン・フィールズ・ワンスモア~
2020年2月27日(木)夜10:15 WOWOWライブ
【プレゼントのお知らせ】
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詳しくは番組サイトをチェック
https://www.wowow.co.jp/flumpool/