先月開催された東京ゲームショウ2016のメインステージにて行われた「ガンダムゲーム30周年スペシャルステージ」に出演した和楽器バンドのヴォーカル鈴華ゆう子。
鈴華は「SDガンダム ジージェネレーション ジェネシス」スペシャルライブとして、オープニングテーマソング「永世のクレイドル」とエンディングテーマソング「Remains」を披露し、その2曲を収録した1stミニアルバム「CRADLE OF ETERNITY」でソロデビューを果たすことが発表された。
この突然の知らせに、多くのファンが驚いたかもしれないが、そのデビューに至るまでの裏側を記録した「鈴華ゆう子ソロデビュー秘話」がこの度、オフィシャルホームページで公開された。まだ先のことと考えていたソロデビューがこんなにも早く実現した経緯や和楽器バンドのヴォーカル鈴華ゆう子とソロアーティスト鈴華ゆう子の違いなどが綴られている。
『“宇宙世紀100年の歴史を辿る”を彩るのはこの方だ!』
和楽器バンドのヴォーカル鈴華ゆう子がソロデビュー――この突然の報にきっと多くの和楽器バンドファンが驚いたことだろう。しかし、実は当の本人も同じ気持ちだった。なぜなら、自身のソロデビューはまだまだ先の話だと考えていたからだ。
きっかけとなったのは、11/22に発売されるPS4/PS Vita用ソフト「SDガンダム ジージェネレーション ジェネシス」。ガンダムゲーム30周年記念作品ということで、並々ならぬ思いでタイアップアーティストを探していたゲームメーカー側スタッフ。そんな彼らの耳を捉えたのが鈴華の歌声だったのだ。スタッフの一人はその時のことをこう振り返っている。
「鈴華さんが歌われた森口博子さんの『水の星へ愛をこめて』のデモ音源を聴いたとき、本作のコンセプト“宇宙世紀100年の歴史を辿る”を彩るのはこの方だ!という衝撃が走り、是非とも鈴華さんに歌って頂きたいとお願いさせて頂きました」
そこから話はトントン拍子に進み、当初の予定になかったオファーまで鈴華は受けることとなる。制作曲の追加、さらには声優としての作品参加だ。「制作いただいた楽曲は我々の予想を超えて『ジージェネ』の映像に調和しており、そこから更なる欲が出てしまいまして」とメーカースタッフが言い訳気味に語っているように、そうさせてしまう力が鈴華の歌にあったということだ。
鈴華としてもこのタイアップは刺激的だったようで、「私が生まれる前から続く、歴史あるガンダムの世界に私の歌が関わることができたことを大変光栄に思っています。(中略)アニメーションと私の歌が一体となった時の感動は言葉にならないほどでした」とその感動を表現している。声優に関しても同様で、「過去の出演番組などを観ながらスタッフの方が私のキャラクター設定を考えてくださったと聞き、その愛情に感動しました」と語っている。まさに相思相愛の関係と言えよう。
こうして、次第にプロジェクトは大きくなっていき、遂には1stミニアルバム「CRADLE OF ETERNITY」の制作へと繋がっていくのだった。作品の中心となるのは当然、「ジージェネ」関連曲。多くのファンにとって、和楽器の音色が全く聴こえない鈴華の歌に触れるのは初めてのこと。正直、聴くのが怖いという人もいるかもしれない。しかし、それは杞憂に終わるだろう。むしろ彼女の新たな可能性を感じることになるはずだ。
現在のところ「永世のクレイドル」、「Remains」、「戦火の灯火」の3曲が手元に届いているが、彼女の武器のひとつである“節調”がここでは一切封印されていて、和楽器バンドとの明確な線引きがされている。それでもなお、一聴してそれと分かる彼女の存在感はさすがだ。説明するまでもないが、体の内側から鳴らすパワフルな声、稀有な幅広さを持つボーカルレンジ、細部にわたる巧みな表現力は間違いなく鈴華ゆう子のもの。これらの作詞作曲を手掛けているのが「千本桜」でお馴染みの黒うさということもあり、当然相性もバッチリだ。
さらに今作には鈴華自身が作詞作曲を手掛ける楽曲も収録される。和楽器バンドでは珍しいことではないが、ソロで歌うことを想定して彼女が描く世界観とは一体どんなものだろう。興味は尽きない。
鈴華は今作についてこう語っている。「これまでにあまり見せてこなかった部分――音楽を通じて共有してきたものが、今回のアルバムには詰まっています。より大胆に内面を見せていると思いますので、ぜひ聴いてください」
今作の制作を通じて彼女が得た経験は、当然のことながら和楽器バンドにもフィードバックされる。果たして新たにどんな化学変化が起こるのか楽しみでならない。が、それはまだ気が早い。なんせ、その前にあなたの心を捉えて離さない珠玉の7曲(通常盤)が待ち受けているのだから――。