今年6月に4thアルバム「ANTITHESE」をリリースしたMY FIRST STORY(通称:マイファス)。今、若手バンドとして熱い視線を注がれている彼らの集大成ともいえるツアー「We’re Waiting 5 You Tour 2016 Final at BUDOKAN」の最終公演が11月18日(金)日本武道館にて開催された。
彼らにとってデビュー当時からの夢でもあった日本武道館。その特別な一夜を見届けるべく、多くの若者たちが足を運んだ。
流れ出すSEとともにオールスタンディングでメンバーを迎えると同時に炸裂するロックサウンド!「俺たちがナンバー1だぁ!!」フロントマンのHiro(Vo.)の雄叫びに呼応するかのように炎とレーザーが飛び出す迫力演出からいきなりスタート!
さらに360度回転する中央ステージだからどの席からでもメンバーを見渡せるのがファンにも嬉しい。そしてHiroの背中を後押しするかのように、Nob(Ba.)、Teru(Gu.)、Kid’s(Drms)のサウンドが巨大爆弾のように投下されていく様は圧巻だ。
「ALONE」、「最終回STORY」とマイファスのライブでは外せない定番楽曲にオーディエンスもヒートアップしてしまうのは言うまでもなし!華奢なHiroのどこにパワーが秘められているのか、デスボイスとクリーンボイスを見事に使い分けるその歌声はいつもよりも数倍の破壊力だ。
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「最高の景色!!一緒に歌ってくれますか!?」
最初の一歩目から全速力で突っ走る心意気に日本武道館に対する想いの強さが感じられた。この今回開催された初の日本武道館ワンマンライブはマイファスにとって非常に特別な意味を持つ。
「僕の人生すべてを伝えようと思います!」
バンド結成から約5年間。何度もマイファスを辞めようと思っていたと心の闇を話すHiro。デビュー当時はただただCDを作り、ツアーをまわるだけで精一杯だったこと、理想と現実は全く違っていたこと、腹が立つことを言われても何も言い返せない自分に悔しい思いをしていたこと。
その中には6年前の11月28日、日本武道館であるバンドのライブを見た衝撃から始まっていたとHiroは語る。何万人を前にして歌う姿。人の心を動かすことへの憧れ。マイファス結成から5年間、いいことも悪いことも沢山あった。だからこそ、彼らを超えて、彼らよりもデカくなってやろうとメンバー全員で誓ったこと・・・。
今年リリースしたアルバム「ANTITHESE」には彼らに勝ちたくて、あえて同じ曲調で勝負し、今回の日本武道館も全く同じ条件で臨んだと今ツアーの裏に隠された意味を包み隠さず、オーディエンスに伝える。そんなHiroの切実な想いに誰もが真剣に耳を傾けるこの一体感はなんとも言えない。
何度も悩み、自分自身と闘っていたHiroに手を差し伸べてくれた、メンバーやチーム、スタッフ、そしてファンの皆。沢山の人に助けられて、今、ここに立てるということに深く感謝の意を伝えた。
そしてHiroは言う。「辛いときは支えてくれないかな?その代わり、最高の景色を見せるからさ! 今日一日、最高の日にしようぜ!武道館!!」
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思いの丈を伝えると一変。再び流れ出すスラッシュサウンドが場内を盛り上げていく。「ANTITHESE」に収録されている「悪戯フィクション」からシングル「Brack Rail」と続く歌詞には「何したってバカにされ 気付けばほら、また一人ぼっち」と当時のHiro自身の心の声を曝け出したもの。ステージギリギリまで斬りこむ、パフォーマンスに大歓声が雪崩のように沸き起こった。
結成からの想いを抱えてきたのはHiroだけではない。共に歩み続けてきたNob(Ba.)、Teru(Gu.)、Kid’s(Drms)も同じだ。この日本武道館というステージでメンバーひとりひとりが涙ながらに語るのは自分たちを受け入れてくれる人と受け入れてくれない人がいたという現実。
「何度も挫折しようと思った!でもこれだけの人達が応援してくれている!やっとココで演奏ができる!!俺らは俺らの道でいく!最後までよろしくな!」と涙と笑顔で叫ぶその姿にファンも感無量。
黒ジャケットに着替えたHiroが登場すると、Teruのギターソロから始まるミドルバラード曲「君の唄」を披露した。ミラーボールが煌めき、オーディエンスの腕にはめたシンクロリングがフラッシュすれば場内はまるで夜空のような光景に・・・。
そしてライブ後半戦。迫力満点のドラムから始まるセッションからの「虚言NEUROSE」。物語の主人公は俺たちだ!という意気込みが半端ない!!デジタルサウンドが入り乱れるアッパーチューンをバックミュージックに「かかってこいよ!!武道館!!」とHiroが煽りを入れる。気付けば場内全員が身体を大きく揺さぶり、アドレナリンは最高潮!サウンドに合わせてシンクロリングがフラッシュする光景にHiroも大満足のご様子だ。
MCではMY FIRST STORYの名前の由来についても語られた。それはHiroが尊敬するバンドメンバーの一人が名付けてくれた最初で最期のギフトであったこと。夢の中に時々出てきて「お前、最近楽しいか?」と聞かれるから「楽しいよ!」と言い返していること。
「Someday」を歌い終えた後、スクリーンに記されたのは「for K」という言葉。今は亡きPay money To my Pain のボーカルKへの恩返しがこの舞台となったに違いない。そして「不可逆リプレイス」へと続くとHiroは改めてオーディエンスに向かって言い放つ。
「今日一日で、これまでの人生が報われた! 何度も、何度も、死んでやろうと思った!苦しかった!でもやり残したことが一つある!越えなきゃいけないヤツがいるんだ!もう誰かわかっているよな!?実の兄!ONE OK ROCKのTakaだ!!」
そう、6年前に日本武道館で見た衝撃ライブはまさにHiroの兄、Takaがボーカルを務めるONE OK ROCKを指していた。次は東京ドームで証明してやる!とHiroの宣言に場内ボルテージはMAX最高潮!
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さらに、アンコール曲では活動を休止していたギターのshoがステージに登場!誰も予想していなかったサプライズにオーディエンスも驚きを隠せない。
「自分に一体なにができるのかを考えた時、音楽で支えることだなって。」
実はこのツアータイトル「We’re Waiting 5 You Tour 2016 Final at BUDOKAN」はshoが戻ってくるのを待っているぞという意味を込めて付けられたもの。カッコ悪くても本気でお互いをぶつけ合う彼らの絆を見せつけてくれた。
「もう一度5人で集まれる日を願っている。」
ようやく伝えることができたこの想いを「HOPE」という楽曲で締めくくった。
来年には初のドキュメンタリーえいが「MY FIRST STORY DOCUMENTARY FILM—全心—」が2月17日(金)より公開が決定するなどますます目が離せなくなるマイファス。どんな壁が立ちはだかろうとも、止まらないで前進していく、その決意がオーディエンスの胸にどれだけ深く響いたのかはきっと言うまでもないだろう。
(取材/文:izumi)
【セットリスト】
01. Nothing In The Story
02. ALONE
03. 最終回STORY
04. Last Call
05. 悪戯フィクション
06. Black Rail
07. Smash Out!!
08. Missing You
09. One Light
10. 君の唄
11. 「花」-0714-
12. Love Letter
13. monologue
14. 虚言NEUROSE
15. The Story Is My Life
16. "BOOM"
17. 失踪FLAME
18. The Puzzle
19. モノクロエフェクター
20. Someday
21. Tomorrowland
22. Second Limit
23. 不可逆リプレイス
<アンコール>
24. ALONE
25. We're Just Waiting 4 You
26. Home