ヴィジュアルシーンを独裁することをコンセプトに掲げるヴィジュアル系ロックバンドDIAURA。
結成10周年を記念しリリースされたベストアルバム『INCOMPLETEⅡ』を引っ提げ開催されたツアー『INCOMPLETE EDEN』が2021年6月20日、日本橋三井ホールでファイルを迎えた。
SEが流れ、ステージにメンバーが登場。
曲の展開が美しく、メロディアス且つ激しさのある『RUIN』からのスタートだ。
破壊や破滅を意味する同楽曲は、歌詞の意味合いは違えどコロナによって失われた日常を変えたいという想いとリンクする部分がある。序盤ジェットスモークの特効もあり飛ばしていく。
『倒錯症レジスタンス』のイントロが演奏されるとボーカルのyo-kaが「さあ始めようか、愚民ども!」と叫び、愚民が熱量を感じる振りで応える。(※愚民はDIAURAのファンの呼称)
声を出せない状況下ではあるが、それを感じさせないほどの熱気と会場の一体感はDIAURAと愚民が10年という月日をかけて築き上げてきた賜物だろう。
ベースソロとギターソロがある『FAKE[s] 』では、各楽器の音を1音1音しっかりと聴くことができ演奏テクニックが映える。各パートの演奏とボーカルの歌声でDIAURAの楽曲が成り立っていることを改めて実感させられる瞬間だ。
「気合いは入っているか、愚民どもー!ぶっ壊れる用意はできているかー!泣いても笑っても今日が最後!悔いのないように、最高の景色を作ろうぜ!素晴らしい独裁の庭にしようぜ!いいか!!」と、『BUG』やダークで攻撃的なサウンドと愚民の力強いヘドバンで会場が1つになる『REM』でオーディエンスを盛り上げ、ライブも後半戦へ。
DIAURA初期の切ないバラード曲『届かぬ手紙』をしっとりと歌い上げ、悲しみを強く表現した深みのある歌声に会場全体が聴き入っていた。
『獄彩』ではスポットライトがyo-kaに照らされ、アカペラで始まった。伸びやかな歌声が響き渡り、ボーカリストとしての圧倒的な存在感と表現力の高さで魅了する。
「楽しんでいるかい!?全員気合い入っているか東京ー!!最後までついてきてください!いいか!!」と煽り『砂の塔-Tower of Imitation-』、そしてDIAURAのライブには欠かせないキラーチューン『MASTER』が続く。
本編ラストにはDIAURAの一番最初の楽曲である『失翼の聖域』を披露。ドラムの達也が加入後に再録され、メンバーにとっても愚民にとっても大切な、DIAURAを語る上で不可欠な存在だ。
「光射す方へ〜」の箇所で上手と下手にいたギターの佳衣とベースの翔也がステージ中央に集まり、各々の音と歌声が重なる。
力強くポジティブで最高な瞬間を作り上げ、メンバーはステージを後にした。
写真:株式会社フォーラム提供
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アンコールでは、佳衣・翔也・達也の3人が登場。
「こうやって終えることができて、本当にありがとうございます。すごく景色が良くてどこを見たら良いか分からないぐらい。この景色を自分の中に刻んで帰りたいです。残された時間、最後の最後まで全力を出したいと思うのでよろしくお願いします!」
「来てくれてありがとうございます。このツアーは10周年を迎えてのツアーなので、特別な想いがあって。愚民たちとライブの楽しさを再確認できたツアーでした。終わりたくないなー、ライブって最高だな!最後まで楽しみましょう!」
と、佳衣と達也が愚民への感謝の気持ちとツアーの感想を述べ、翔也が
「日本橋に来る途中でタバコを買ったら、おいくつでしょうか?って聞かれました!まだいけるなって、ちょっと思いました!」とフロアの笑いを誘いつつ「10年バンドをやって気付くことは沢山あって。どこを切り取っても楽しい良いツアーでした。これからも楽しみたいと思います。ありがとうございました!」と愚民へ想いを伝える。
yo-kaもステージに登場し、「アンコールありがとう!楽しいですか!?俺もツアー中、コンビニでウイスキーのボトルを買ったら年確されました!絶対にされないでしょ?」と佳衣に問い、再び笑いが起きる。
「10年という節目にこの4人でいられて、愚民と過ごせて、これ以上ない幸せを感じています。ありがとう。」と幸せを噛み締めつつ、今後のライブやアルバムのリリースもyo-kaから直接発表された。
「まだまだ楽しいことがいっぱいあって、10年経っても変わらずより熱量を持ってやっているのを再確認したツアーでした。これからもついてきてください、よろしくお願いします。」
「全員気合い入れていくぞー!Inferiority Complex!」と、ライブもラストスパートへ突入。
『UNIVERSE』の演奏を終え、「愚民ども!次の曲で最後になります。ずっとやっていたいなと思うぐらいのツアーでした。この場にいる全員に言わせてください。ありがとう。これからもずっと、独裁の庭を描いていきたいと思います。一緒にもっと最高の景色を見ましょう!DIAURAの音楽って、いつまでも完成しないと思っているからさ。どこまで行っても終わりはないし、終わらせるつもりはないし。これからも、どこまでも行けるところまで一緒に行きましょう!10年分の想いを込めて歌いたいと思います。」とベストアルバムのタイトルに込められた意味と、これからのDIAURAの意志をバンドフロントマンとして愚民へ語り、ラストの曲『Garden of Eden』へ。
明るい照明が会場全体を照らし、10周年の締めくくりに相応しい一体感のある雰囲気に包まれ幕を閉じた。
10年間バンドを続けるということは、決して容易いことではない。10年間のさまざまな想いが凝縮された内容の濃いライブだった。
DIAURAの音楽と真摯に向き合う姿勢に、これからも目が離せない。
文/大久保瑛美
◼セットリスト
SE
1 RUIN
2 倒錯症レジスタンス
3 アウェイクネスダイヴ
4 FAKE[s] 5 BUG 6 blind message
7 REM
8 black sheep under the shallow sleep
9 届かぬ手紙
10 レゾナンス
11 獄彩(アカペラ始まり)
12 砂の塔-Tower of Imitation-
13 MASTER
14 君へ黒の花束を
15 IDEA-現実への回帰-
16 失翼の聖域
Encore
EN1 Inferiority Complex
EN2 UNIVERSE
EN3 Garden of Eden
◼️DIAURA 5th Full Album『R.I.P.』Release
2021年10月6日
◼️愚民党限定東名阪tours『SECRET GARDEN PARTY#2』
2021年8月15日 赤羽ReNY
2021年8月20日 名古屋E.L.L
2021年8月21日 大阪STUDIO PARTITA
◼️『愚民の日2021〜スタジオコーストを独裁せよ〜』
2021年9月3日 USEN STUDIO COAST
◼️『Evil's Night Party 2021』yo-ka生誕祭
2021年10月31日 新宿BLAZE
◼️『R.I.P.-to chaotic future-』tours
2021年11月3日〜2021年12月26日