2021.08.08 公開
Dragon Ash主宰の対バンツアー開催!ストレイテナーを迎えた東京公演で観客に感謝

Photo by TAKAHIRO TAKINAMI  画像 1/5

Dragon Ashが2018年に立ち上げた盟友たちとの対バン・ツアー『UNITED FRONT』。SiMとMONOEYESを迎えて開催された2020年に続き、この夏、3度目となる『UNITED FRONT 2021』を全国5箇所で開催。8月6日(金)、ストレイテナーを迎えた東京公演がZepp Tokyoにて行われた。


最初にステージに登場したのはストレイテナーだ。「Melodic Storm」→「叫ぶ星」と続け、センチメンタルなギターリフとビタースウィートなホリエの歌声を軸に、エモーショナルなバンドサウンドを響かせ、あっという間にフロアを高揚させていく。

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「去年の年末にアルバム(『Applause』)を出して、ツアーの途中で緊急事態宣言が出た時にKjがLINEをくれて、東京ファイナルも見に来てくれて。その日、恐らく最高のライブをやれたので、今日ここに呼んでもらえたんだと思います」

ホリエがMCで今日の対バンのきっかけを話すと、ステージ横でテナーの演奏を見ていたKjが笑顔でうなずく。

「対バンがやりづらい状況が続いてるけど、Dragon Ashがいいライブが出来るように、いいライブをやります」

そう言葉を続けたホリエが、「オリンピックにちなんで」と曲名を告げたのは、「The World Record」。日向のスラップベースが先陣を切るグルーヴィなロックチューンが再びフロアを熱く盛り上げる。「彩雲」で場内に爽やかな風を吹き込んだ後は、ドライブ感に満ちた「シーグラス」を披露。たちまちのうちに、脳裏に夏の情景が広がっていく。

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「またライブで会いましょう、Dragon Ashに繋ぎます」というホリエの言葉と共にラストに披露されたのは、「ROCKSTEADY」。この夜、躍動感溢れるリズムをステージとフロアが共にジャンプで分かち合ったその名曲は、Dragon Ashと、今年で幕を閉じるライブハウス、Zepp Tokyoに対するリスペクトのように響いた。


「Wellcome to New Era!」

エレクトロなインストと共にステージに登場したDragon AshのKjがそう叫ぶ。透明感に満ちたギターリフに導かれ、美しさと激しさが同時に押し寄せる「New Era」は、5人体制となったDragon Ash初のパッケージシングルとなる新曲であり、コロナ禍以降の時代に立ち向かう彼らの新たな決意の1曲だ。続いて、数多の大型ロックフェスを盛り上げるモンスターバンドとしての誇りとマナーを謳う「Mix it Up」を放つと、モッシュとクラウドサーフでカオスとなっていたはずのフロアをKjが煽る。

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「頭ぐらい振れんだろ⁈」

10代でデビューして以来、Dragon Ashはさまざまな音楽を貪欲に吸収し、劇的なメタモルフォーゼを遂げながら、ライブモンスターとしての今を勝ち取った。

バンドにDJがいる「ロック×ヒップホップ」なオルタナティブなスタイルが、まだ日本では当たり前ではなかった頃。時代の寵児として注目を集める中で主宰した『TMC』という異種格闘技のようなイベントでは、メジャーデビュー前のリップスライムや、スケボーキングら、ハイブリッドな才能といち早く競演。仲間と共に、古びた概念やジャンルの壁を次々とぶち壊してきた。その道のりは決して平坦ではなかったが、彼らはその生き様を通して、音楽が自由な表現であることを体現してきた。

マスクの着用、歓声もシンガロングも自席からの移動も禁止。ライブハウスでは今もストイックな状態を強いられる状況が続いている。けれど、ステージから溢れ出す音を全身で楽しむのは自由だ。

「コロナになってから見たライブでいちばんカッコよかったのが渋公のストレイテナーだったので、今回のツアーの東京公演に出てもらうことになりました」

ジョークを交えながら、Kjがテナーへの敬意を語る。そして、新曲「エンデヴァー」を披露した後、観客に向かってKjが言う。

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「たくさんの医療従事者の中には、Dragon Ashのライブが大好きで、毎回クラウドサーフしてる人もいると思う。そういう人たちを置き去りにして、俺たちだけ楽しい思いしてるのは本当に申し訳ないと思ってる。でもロックバンドがまったくライブが出来ないよりは、こんな窮屈な状態でもライブが出来る方が、間違いなくいいと俺は思う。」

盛り上がり必須のライブアンセム「百合の咲く場所で」では、コール&レスポンスもクラウドサーフも禁じられたオーディエンスの葛藤に応えるように、熱量の高い演奏を響かせる中、優しい笑顔を浮かべて歌うKjが、つぶやくように問いかける。

「今もライブハウスは好きですか?」

テナーとの台湾公演の思い出話でフロアを沸かせた後に披露されたのは、セカンドラインのリズムとポストロックのエモーションが溶け合う「morrow」。「morrow」はバンドが初めて停滞した時期に生まれた、唯一の確かな光だった。どんな逆境や絶望の最中でも、その音楽は鳴り止まなかった。君の感情が溢れ出すように。そう歌われる「A Hundred Emotions」の中に、ステージの上のメンバーも観客も、今はまだ声に出来ないそれぞれの思いを重ねる。

『UNITED FRONT 2021』東京公演の最後を飾ったのは、リリカルなドラムリフに、ターンテーブル、ベース、エモーショナルなギターが美しくレイヤードされていく「Curtain Call」だった。<白んだ空その向こうの/日々でいつかまた逢おうよ>と歌うKjが、満面の笑みで両手を振る。

音楽は鳴り止まない。ライブを愛する気持ちもきっと変わらない。いつかまた、ぎゅうぎゅうに押し合いながらライブハウスで笑い合える日まで。

Text 早川加奈子

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