photo:Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)
3月18日、幕張メッセにてビクターロック祭り2017が開催された。
暗転したステージ、自然と鳴り始めるハンズクラップ。BARK STAGE、大トリに登場したのはサカナクションだ。一曲目の『SORATO』がスタートし、会場にはレーザービームが舞い踊る。
ステージの各所から放射されるレーザービームの膜がスクリーンになり、その中に雲が映し出される演出が、会場を不思議な空間に染め上げる。
メンバーが横一線に並んだスタイルのままで展開した二曲目は『ミュージック』。会場は手を挙げ踊り続け、それを見て山口一郎(Vo/Gt)も笑顔を見せる。ラストサビ前、ステージが再び暗転すると音源よりも長い間を持って間奏が続く。
時がスッと闇に飲み込まれて無が生まれた瞬間、ステージがライトアップされバンド形態でラストサビへ。何度見ても、この転換はなんて美しいのだろう。
「みんなまだ踊れる?」
『夜の踊り子』のシンセが鳴り響きダンスタイムは続いていく。そして続くのは『アイデンティティ』だ。どうやら今日は踊って踊って踊り狂うことをサカナクションは望んでいるようだ。多くの日本人にとって、踊るという文化は馴染みにくいものだ。それがどうだろう?1万人に近い人たちがフロントエリアから最後方まで、本当にみんな幸せそうに、踊っているのだ。
サカナクションは日本人の心をアップデートしたのかもしれない。変えたとも新しく吹き込んだとも少し違う。OSを更新するように、既存の価値観を下敷きにいまの時代にはまる新しい価値観を更新したのだ。
『多分、風。』で草刈愛美(Ba)のベースが場を一旦落ち着かせる。今度はスモークとともにステージに不思議な光の模様が映し出される。空間の中に空間が生まれ、多義的な世界が表出する。
「あらためましてぼくたち私たちサカナクションです。」
挨拶もそこそこに次の曲へ。ステージ横のスクリーンに映し出される「新宝島」の文字。スクリーンが映しているのではない。後方の照射器からスクリーンに映しているのだ。
サビではステージ方向からレーザーが放たれ会場中に「新宝島」の文字が照射される。次はどんな演出がくるか?そんなことを考えず現れた光に心を任せるのが正解だ。考えても予想など出来るはずがないのだから。
刹那的な速さでビクターロック祭りメインステージ、ヘッドライナーのステージの本編は一旦終了。
アンコールでは4年ぶりとなるニューアルバムの発売に向けた意気込みも語ったサカナクションは今年でデビュー10周年。2017年をどんな一年にしてくれるのか楽しみだ。アンコールで披露されたのは『さよならはエモーション』。
ステージ裏からの激しいフラッシュでメンバーは影絵のようにシルエットだけが映し出され、光の世界に消えていくようにそのままステージは幕を下ろした。
(取材/文:樋熊涼)
3月18日 ビクターロック祭り2017 BARK STAGE
サカナクションセットリスト
M1.SORATO
M2.ミュージック
M3.夜の踊り子
M4.アイデンティティ
M5.多分、風。
M6.新宝島
EN.さよならはエモーション