さくらしめじが、11月28日(日)に東京・USEN STUDIO COASTにて、さくらしめじ秋のツアー「さくらしめじの秋ツアー〜シイノトモシビ〜」の最終公演を行った。
さくらしめじ秋のツアー「さくらしめじの秋ツアー〜シイノトモシビ〜」の最終公演の様子 写真:鈴木友莉 画像 2/5
田中雅功と高田彪我(※「高」は「はしごだか」が正式表記)からなる新世代フォークデュオのさくらしめじは、2014年6月14日に『ガク&ヒョウガ』として結成し、同年11月24日に現在のユニット名が決定。音楽活動のみに留まらず、俳優や小説家としても幅広い活躍をみせている彼らは、今年の春には音楽ライブと演劇を融合したワンマンライブ『春しめじのお花し』を中野サンプラザで行い、夏にはロックをテーマにしたワンマンライブ「さくらしめじのゼップでロッ菌! 2021」をZepp Diver Cityで開催。10月から本ツアーを開始し、「シイノトモシビ」=「四位の灯火」というサブタイトル通り、名古屋、福岡、大阪、東京と四つの都市(位置)で灯火を点け、各地で2公演が行われた。
さくらしめじとしては、憧れのSTUDIO COASTで最初で最後となるワンマンライブのファイナルとなる夜公演。開演時間になると、二人はオープニングSEが流れる中でステージに上がり、ループペダルを踏んでアコギのボディを叩き、リフを弾いて、その場でトラックを製作。この秋から本格的に導入したアコギ2本とルーパーというスタイルで、7月に配信リリースした「わがままでいたい」をクールに歌い、硬質なムードでライブの幕を開けた。しかし、一転して、2曲目の「しめじ体操」ではアコギを置いて、センターステージへと元気よく駆け降り、観客全員を巻き込んだ旗揚げゲームを展開。演奏後には、ポケットに潜ませていた桜吹雪を撒き散らし、「菌カツ!」で背中合わせて弾き語りながら拳を上げて煽り、フロアの熱気をあげた。
さくらしめじ秋のツアー「さくらしめじの秋ツアー〜シイノトモシビ〜」の最終公演の様子 写真:鈴木友莉 画像 3/5 さくらしめじ秋のツアー「さくらしめじの秋ツアー〜シイノトモシビ〜」の最終公演の様子 写真:鈴木友莉 画像 4/5
メインステージに戻ると、彪我はルーパーについて丁寧に解説。「てぃーけーじー」ではルーパーを使ったトラックで歌いながら、卵かけご飯のイメージで黄色に統一されたペンライトをぐるぐると回し、<T・K・G>の人文字を作って盛り上がった。みんなで一緒に遊べる、ライブならではの楽しさと音楽的な進化の融合を実現させた彼らは、MCで本ツアー中に彪我が二十歳のバースデーを迎えたことを報告。雅功からの誕生日プレゼントであるグラスでビールを飲んだことも明かし、まだ19歳の雅功は「二十歳の男の歌声を堪能していってください」とアピールした。
ライブの中盤では楽曲の登場人物の年齢や性別が異なるラブソングを連発。永野芽郁主演のドラマ「こえ声」の主題歌「ひだりむね」では初恋のようなピュアな胸の高鳴りを表現。泉里香主演のドラマ「高嶺のハナさん」の主題歌で、「ポケットからキュンです」のひらめが手がけた女性目線の片想いソング「ストーリーズ」はピンクのピンスポットに照らされて甘く切なく歌い、シンガーソングライターのコレサワが提供した「届けそこねたラブソング」は突然、音が出なくなるハプニングにも動じず、急遽、センターステージでの弾き語りの生歌に変更して対応する逞しさをみせた。さらに、男性視点の大人の失恋ソング「別れた後に僕が思うこと」では言い訳ばかりで回りくどい、情けなくもリアルな心情を吐露。アコギとルーパーというスタイルからフューチャーベースのようなオケが加わり、最後は再び歌声のみになるというダイナミックなサウンドスケープを作り上げていた。
観客が一丸となってタオルやサイリウムを回したレゲエチューン「Bun!Bun!BuuuN!」からは後半戦へと突入。彪我作のラウドなミクスチャーロック「たけのこミサイル」では、リア充カップルに嫉妬のミサイルを発射。そして、観客のペンライトの色を紫に統一し、新曲で80’s歌謡のフレイバーを湛えたシティポップ「Iroto-Ridori」を初披露。これまでにないキラキラ感と色彩を湛えた歌声で新しい風を送ると、「あやまリズム」ではキャッチーなメロディにのせて<ごめーん>と声を重ね、激しくアコギをかき鳴らす雅功作の「でぃすとーしょん」では反抗期の苛立ちをギターと歌声に思い切りぶつけた。
さくらしめじ秋のツアー「さくらしめじの秋ツアー〜シイノトモシビ〜」の最終公演の様子 写真:鈴木友莉 画像 5/5
MCでは、彪我が2022年1月を持って閉館するSTUDIO COASTにステージに立てたことへの感謝を述べ、「今、最高にハッピーです。本当に幸せ者だなと感じています。僕にとってライブは、幸せを感じにきているのと同じな気がします」と語った。「風とあるがままに今を歩こう」で前を向いて進み続ける姿勢を力強い姿勢を示すと、「My Sunshine」のイントロで雅功が「みなさんにとっての光が僕たちであれるように、これからも歌い続けます。一緒に未来の光を灯していきましょう」と呼びかけ、フロアが眩い光と多幸感に包まれる中でエンディングを迎えた。
アンコールでは、昨年の自粛期間中にファンとともにリモートで作り上げた「会いに行こう」をセンターステージで歌唱。アンプやマイクを通さずに、生声の弾き語りで観客一人一人の顔を見ながら真っ直ぐに届け、「みちくさこうしんきょく」では心の中での<ラララ>の大合唱が巻き起こった。終演後には彪我が「改めて、STUDIO COASTでライブするという夢が叶ったんだなと実感した時間でした。もっともっと更なる夢を目指す僕たちについてきてくれますか!」と声を上げるとフロアは温かい拍手で包まれて大団円を迎えた。
なお、さくらしめじは年末恒例のライブ「きのこりあんの集い Vol.6」の開催が決定しており、2021年11月28日(日)21:00よりじめじめ倶楽部会員限定での先行受付もスタートした。
(文:永堀アツオ)