結成10周年を間近に控えたダンス&ボーカルグループの超特急が、先月リリースした4thアルバム『Dance Dance Dance』の発売を記念したトークイベントを、12月4日にタワーレコード渋谷B1F CUTUP STUDIOで行った。アルバム購入者の中から抽選で選ばれた超ラッキーな8号車(超特急ファンの呼称)を前に、5人は超久々のリアルトークイベントを展開。超特急ならでは親密な空気のなか、パフォーマンス同様にコミカルとシリアスの両面を見せて、集まった8号車を楽しませた。
今年1年“世界を元気にする”をテーマに活動してきた超特急にとって、世界各国のダンスミュージックを取り込んだ『Dance Dance Dance』は、その集大成とも言える1枚。収録各曲にモチーフとなる国や地域があり、ボーカルのタカシは日本語と英語のみならず、韓国語、中国語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語での歌唱にも挑戦している。また、K-POPフィーチャーの「같이 가자(カチ カジャ)」は9月、ダンサー4人のみで歌唱を担当したロシアンハードベース曲「ドーブリジェン」は10月と、先行配信された時点でLINE MUSIC月間ランキング1位を獲得して話題に。アルバム収録曲を合計した総再生回数は6000万回を超えている。
超特急(photo by 米山三郎) 画像 2/4 超特急(photo by 米山三郎) 画像 3/4
その「Добрый день(ドーブリジェン)」のジャージ衣装に身を包み、ワイルドな風貌の5人がステージに入場すると、客席から声の代わりに大きな拍手が。ユーキいわく「くっきりハッキリ8号車のお顔を拝見できる」環境でのイベントは数年ぶりということで、タクヤは「この距離感で8号車のみんなと会うのが恥ずかしくて、ちょっと帰りたい!」と照れまくり。そんなタクヤを「(8号車と)目も合わせられてない!」とイジるリョウガ自身も手元の台本から目線を外さず、「お前もやないかい!」とカイに突っ込まれる。
今まで何度も同会場でイベントをしてきた超特急だが、なんと楽屋の壁には2013年の日付でサインが残っていたそう。また、8号車のリクエスト曲を一発勝負で披露するイベントをタワーレコード主催で行った際には、観に来ていたお偉いさんから「何なんだあれは!」と苦情が出たという裏話も。8号車の質問に答えるパートでは、“ジーンズにとってベストな保管方法は?”という問いに、タクヤが「日陰で風通しのいい湿気の無い場所で、間隔を空けて吊るす」とマジレスしたりと、誠心誠意8号車に応えてゆく。ちなみに、アルバム関係の衣装をすべてプロデュースしたカイからは、「ユーキのインナーがタンクトップなのは、踊ってジャケットがはだけたときに素肌が見えるのを狙った」という暴露もあったので、ユーキファンは要チェックだ。
アルバムについては5人それぞれの“推し曲”アピールもあり、カイはニューカレドニアをモチーフにした「Magnifique」を、「歌詞が堅苦しくないのが好き。“美しい君こそ 僕のプライド”って歌っていても、ただ、僕がそう思ってるだけで押し付けてない」と独自の見解を。タクヤはアメリカがテーマの全英詞曲「Dance Dance Dancing!」を選び、「日本だけじゃなく世界各国に広げていける曲で、ビルボードも狙えそう。スタジアムを借りて踊ったMVでは“いつかライブで埋めてやりたい!”って気持ちが出てきた」と、頼もしく語ってくれた。ユーキはR&Bテイストの「You Don’t Care」について、「従来通りの全力投球ではなく、100%出し切らないのがセクシーさに変わる曲。歌詞も抽象的で、いろんな想像ができる」と解説。アルバム随一のバラード「Holtasoley」をピックアップしたタカシは、「切ない中に温かさも残っている冬にピッタリの曲。歌っていて浸れる曲なので、ライブにどういった入り方をするのか、自分でもワクワクする」と期待を覗かせた。また、メキシコで人気のスカを用いた「Te quiero mucho」の振り付けに関し、リョウガから「“海と太陽”という歌詞に、(その文字を本名に持つ)カイとタカシをとにかく合わせたい!という振り付け師さんのこだわりがあった」という秘密が明かされたので、ぜひともライブで目を凝らしてほしい。
また、“自由に移動できるようになったら、どの国に行きたいですか?”という質問に「ハワイ。近いし日本語結構通じるから」と答えたリョウガは、「それなら韓国のほうがずっと近いし、日本語喋る方も多い」と返したタクヤに、「じゃあ、俺もそうする!」とアッサリ宗旨替え。タイに行きたいというタカシは、「番組の撮影で行ったときはお腹の具合が悪かったり、ワンちゃんに追いかけ回されてマジで“バイオハザードか!?”と思ったので、今度こそ100%楽しみたい」と理由を明かした。ユーキは「ジャスティン・ビーバーの地元だし、景色も神秘的なんです。『ハリー・ポッター』に出てきそうな街並みを電車で走る動画を見て、メッチャ綺麗だった」と、カナダを熱望。カイは以前にMVを撮影したイギリスに「もう一回行きたい」と話し、自由時間にタカシとはぐれて「そのときは“ヤバい、タカシと二度と会えない!”と思った」と笑いを誘った。
11月23日にさいたまスーパーアリーナで行われた10周年記念のスペシャルワンマンについても、「10周年という年月の長さにアルバムの新曲も入って、この先の10年が楽しみになった」(カイ)、「ステージの上で倒れそうになったくらい燃え尽きた。その感覚に、久々に“コレコレ!”ってなった」(ユーキ)と、充実感を露わに。12月26日には大阪城ホールで追加公演も決まっており、大阪出身のタカシは「こちらの熱量を上回るような熱を出してきて、切磋琢磨するような感じが大阪では作れる気がする。今年最後のライブになるので、悔いのないようにカマしていきたい」と抱負を述べた。来年には3年ぶりとなる全国ホールツアー『Progress』の開催も決まっており、「超特急はホールでのライブでいろんなものを培ってきたグループ。こういう時期だからこそ現地に行って、その土地の8号車と会えるのは嬉しい」と、8号車にとっても嬉しい言葉をタクヤがくれる。
サイン入りポスターの抽選会でも、なぜか子供時代に観ていたアニメチャンネルの話題でリョウガとタカシが謎に盛り上がったり、ベリーショートの金髪+ヒョウ柄をまとったタカシを「ビッグボス!?」とユーキがいじりまくったりと、終始和気藹々としたムードで8号車のマスクの下を笑顔にした5人。野球ネタに詳しくないタカシは「引き出し空っぽや!」と音を上げながらも、最後には「スポーツカーで帰ります!」と返して関西人の意地を見せ、リョウガは「くだらないことで笑い合えるのが超特急らしい」と胸を張った。タクヤも「始まったときは帰りたいとか言ってたんですけど、みんなと面と向かって話す時間が大切だなぁって改めて感じました」と想いを吐露。この素直さもまた、超特急メンバーの魅力だろう。5日にはHMV、12日はSHIBUYA TSUTAYAでもアルバム購入者を対象としたトークイベントを開催。8号車と触れ合うたびに深まる絆は、彼らのステージパフォーマンスをも濃密なものにしてくれるはずだ。
(文:清水素子)