aikoのホールツアー『Love Like Pop vol.22』のツアーファイナルが、12月14日(火)、東京ガーデンシアターにて開催された。本公演は9月1日(水)に開催されるはずだった公演の振替公演として行われた。最初の5公演が緊急事態宣言の影響で延期となり、約1ヶ月遅れて6月からスタートした今ツアーは、約半年間をかけて予定通り全国18箇所35公演を完走し切った。
aiko『Love Like Pop vol.22』の様子 Photo by岡田貴之 画像 2/10 aiko『Love Like Pop vol.22』の様子 Photo by岡田貴之 画像 3/10 aiko『Love Like Pop vol.22』の様子 Photo by岡田貴之 画像 4/10
定刻の19時。会場が暗闇に包まれると、ツアーファイナルの幕開けにふさわしいストリングスの重厚なサウンドアレンジが効いたオープニング映像が赤い舞台幕を照らす。すると会場は段々と大きな拍手につつまれていき、aikoが最終公演の一番初めにどんな楽曲を持ってくるのかワクワクが募っていく。そんな期待の中、力強いドラムのフィルとともに始まった一曲目は3月にリリースされた14枚目アルバム『どうしたって伝えられないから』に収録されている「Last」だ。舞台幕が勢いよく落ちるとそこには鮮やかなグリーンのビッグシルエットシャツに身を纏ったaikoが登場。まさにツアーの”ラスト”を幕開けるのにふさわしい一曲目を気持ちよく丁寧に歌い上げていく。続けて披露されたのはこちらも同アルバムに収録されている「磁石」だ。アップテンポでノリのよいサウンドは、お客さんたちを一気にaikoの世界に引きずり込んでいく。「磁石」を歌い終えた段階で暗転。そのあと数秒の間を置いて発した一言目は「やっぱり黙っていたらスポットライト当たらないんですね。(笑) ずっとマイケルジャクソンの真似してたのに。(笑) 」。aikoらしく可愛らしいジョークのきいた挨拶で場を和ませると、「今日はライブの最終日ですが、本当に色々な思い出が詰まったツアーだったので、ファイナルを迎えるのはとても寂しいですが、楽しいしかない時間を過ごしますので、皆さん最後まで宜しくお願いします!」と意気込みを伝えた。続けて届けられた「Smooch!」からはブラスメンバーとストリングスメンバーが登場。今ツアーを支えてきたバンドのフルメンバーが揃い、鳥肌が立つくらいの厚いサウンドを届けてくれる。その後は代表曲でもある「シアワセ」、美しいストリングスの旋律と、しっとりとした歌声が織りなす荘厳なサウンドが響き渡る「宇宙で息をして」を披露し、aikoが作り出す世界が強く儚く美しく移り変わっていった。
今ツアーは、ソーシャルディスタンスを保ったり、声出しを控えるなどの制約がある中でaiko自身ももちろん様々なことが初めての経験となった。MCでこのツアーの思い出を振られたバンドメンバーも「こんなにステージで話ができるなんて思いませんでした」と語るほど。まさに後にも先にもない特別なツアーとなっていることが伺える。
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FM802のキャンペーンソングとして書き下ろされた楽曲「メロンソーダ」が披露されると、はつらつとしたブラスサウンドが心を踊らせてくれる。続けて披露された「ばいばーーい」の光の演出は圧巻だ。曲中のラスサビに繋がる前のビートがなくなるブリッジの際に、横からのピンスポットライトで照らされたaikoの姿は厳かであった。
コロナ禍で声出しを控えられている中、今ツアーの特徴的なブロックとなった、開演前にオンラインで集められた質問をaikoが答えるコーナーを終えると、その後の3曲はしっとりとした曲たちが続く。その中で届けられた「シャッター」はジャズアレンジになっている。オリジナルとは全く別の印象を与えてくれてこれはまた新鮮だ。
最新曲の「食べた愛」も披露されると、ライブは終盤に向けて急加速していく。
「心日和」「ドライブモード」「夢見る隙間」などアップテンポな楽曲が続き、まだまだライブはこれからだと言わんばかりにステージ上を縦横無尽に舞っていくaiko。無数のレーザーライトが輝き出し、会場のボルテージをどんどん上げていく。
ここでaikoのライブでは恒例となっている、男子!女子!そうでない人!のコールアンドレスポンスが始まる。今回は声を出さずジャスチャーということで、年末なので大掃除をテーマに男子・女子・そうでない人・全員とそれぞれにジェスチャーをはめていく。どんな状況でもaikoのコールアンドレスポンスは日々進化し、会場を一つにまとめ上げてくれる。まさにaikoのお家芸だ。さて、ライブは終演に向けてここからさらにスピードを上げていく。バンドメンバーのソロパートアレンジ加わってさらに際立つ「58cm」がくると、最後はエネルギーに満ち溢れた「ストロー」を披露し本編を終えた。
その後、aikoやバンドメンバーがツアーシャツに着替えて再び舞台に登場すると、アンコールが始まった。aikoのライブはまだまだこれからだ。こちらも9月にリリースされたばかりの新曲「あたしたち」でしっとりはじまると、次はテンポのいい「冷凍便」で再びしっかりと心を掴んでくる。「延期に延期を重ねて時間が経ってしまいましたが、今日は来てくれて本当にありがとうございます。あと12回くらいやりたいから、やっぱり終わりたくないです」と名残惜しさを口にすると、「こうやって皆さんに曲を届けられることが一番幸せなので、受け取った皆さんが少しでも楽しいと思っていただけたら嬉しいなと思います。これからも曲を作りますのでぜひまた聴いてやってください」とファンへメッセージを送った。そして最後にファンに届けたのは、まさにMCのメッセージを歌に載せたとも言える「いつもいる」だった。
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アンコールの3曲を終えて、バンドメンバーが前に出てくる。オールラインナップで挨拶を終えると、会場からは鳴り止まない拍手の雨が降った。aikoが「全然聞こえないです!」とさらに煽ると拍手はどんどん大きくなっていく。ファンの期待にもちろん応えるaikoは「最終日なので、皆さんと楽しい時間を設けてるに決まってるじゃないですか!」と言ってダブルアンコールに突入。疾走感のあるギターサウンドの「プラマイ」から「陽と影」「未来を拾いに」「ボーイフレンド」とここに来てどんどん音圧が増していく、まさに圧巻のライブが繰り広げられていった。
「ボーイフレンド」を歌い終えて、この日最高潮に達したボルテージの中でaikoは、「やっぱりライブは楽しいし、終わってしまうのはすごく寂しいです。だから皆さんと一緒にもっと楽しいことを分かち合いたいので…」と続けて「ご報告があります!!結婚しましたー!」と突然サプライズ報告をおこなった。不意打ちのスペシャルサプライズで会場は思わずどよめき、その後大きな祝福に包まれた。「ずっと内緒にしてたんです。コロナでなかなか言うタイミングがなかったのですが、ライブで言って皆さんを驚かせたかったんです」「心の底から結婚したいと思える人に出会えました、これかもたくさん恋愛の曲を書きます!」と伝え、再びアンコールに突入した。
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「beat」「mix juice」「Loveletter」と続き、幸せと活気に満ちた会場は、aikoとバンドの奏でるサウンドをさらに豊かに作り上げていく。そして最後に披露されたのは締めの一曲にはふさわしすぎる「be master of life」だ。結婚発表の多幸感に包まれて最高のテンションで届けた最後の4曲は、aikoにとってもファンにとっても特別なアンコールとなったに違いない。
なお、この日のセットリストプレイリストが各音楽ストリーミングサービスにて公開されているので、ライブの思い出に浸りながらぜひチェックしておきたい。
aikoは12月22日(水)には、昨年2020年3月の振替公演となる『Love Like Rock vol.9』をZepp Tokyoにてツアーファイナルとして開催する予定だ。Zepp Tokyoは2021年いっぱいでの閉館が決まっており、aikoにとってZepp Tokyoでの最後のライブで、2021年を締めくくる。2021年の最後の公演もきっと特別なステージが待っているだろう。