Photographer:田中和子(CAPS), 達川範一(Being.),MASA
今年7月にデビュー10周年を迎えるBREAKERZが初めて主催するライブイベント「BREAKERZ10周年10番勝負-VS-」。毎回1組の対戦相手を迎えてバトルを交わすこのイベントも今回で8回目。4月14日Zepp Tokyoでの対戦相手は、BREAKERZのみならず、多くのバンドやアーティストがリスペクトしてやまない最強ユニット、VAMPSだ。
VAMPS は、HYDE(L'Arc~en~Ciel)とK.A.Z(Oblivion Dust)によるロックユニット。DAIGOはHYDEと公私ともに仲が良く、BREAKERZとしてもVAMPS主宰のライブイベントに招待されるなど親交が深いことはファンの間では周知の事実。
VAMPSはこの10番勝負の翌日、翌々日にも大きなライブイベントに出演、さらに19日、20日のファンクラブ限定ライブを皮切りに国内外でのロングツアーが待ち受け、しかもHYDEは4月8日、9日にL’Arc~en~Cielの25周年記念ライブを終えたばかり。そんな多忙を極める中、駆けつけてくれた偉大なる大先輩に、深い感謝とリスペクトの念を捧げながら渾身のパフォーマンスで挑んだ世紀の一戦をレポートした。
開演時刻の18時半が訪れ、本イベントのシンボル、うぃっしゅポーズをキメたスカルのMC映像により戦いの火蓋が切って落とされた。先陣を切ったのは赤コーナー・VAMPSだ。彼らは2008年の結成以来、あえて全国のZeppを中心に連続公演を行う籠城型ツアーをメインに、アリーナ公演や野外公演を開催する他、国内最大級のハロウィンライブや、ロックフェス“VAMPARK FEST”を主宰。
また、海外でのツアーも積極的に展開してきたが、昨年度よりモトリー・クルーを抱えるアメリカの大手マネージメントと契約を結び、さらなる海外での音楽制作やライブ活動に力を入れることを発表している。
そんなワールドクラスの実力を見せつけるかのように、「INSIDE OF ME feat. Chris Motionless of Motionless In White」(メタル・コア・バンド・MOTIONLESS IN WHITEのクリス・モーションレス(Vo.)をフィーチャーした曲)で、今宵最初の一撃を投じた。躊躇なくド頭から臨戦態勢で襲いかかると、続いては「DEVIL SIDE」。サイケ調の艶かしい照明に変わりイントロが流れると、客席は早くも興奮の坩堝と化した。
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HYDEの妖艶なヴォーカルからサビで一気に放たれるサウンド、曲終わりのキメ部分では満場のフロアが一斉に“DEVIL SIDE”と叫ぶライブの定番曲だ。気がつけばあちらこちらでクラウドサーフィングが起こっている。
さらに鋭利に迫り来るハードコアナンバー「EVIL」、シンガロングで問答無用に一体感を増していく「REVOLUTION II」、そしてリリースされたばかりのシングルに収録された、デペッシュ・モードのカヴァー曲「ENJOY THE SILENCE」では、それまでとは一転、幻想的で叙情的な世界を描き出した。
「楽しんでる? ここZeppは俺たちのホームグラウンドでもあるから、BREAKERZには負けらんね~な。お前ら大丈夫? でも今日はBREAKERZのファンの子もいるからね、少し良い子になろう……。なんてね! 今日は気にしないで全員で悪い子になろうぜ!」と、煽った後は、なんと4月26日にリリースとなるニューアルバムのタイトル曲「UNDERWORLD」を発売を待たずして初公開!
VAMPSのダークサイドを描いたラウドな1曲に、Zepp Tokyoはまるでひとつの生命体になったかのように熱く脈打った。
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怒濤の展開はなおも続き、英語と日本語が入り交じる歌詞がキャッチーに耳を刺激する「AHEAD」、続く「RISE OR DIE feat. Richard Z. Kruspe of Emigrate / Rammstein」では掛け合いもバッチリ決まって、場内はBLOODSUCKERS(VAMPSのファンの愛称)もTEAM BREAKERZ(BREAKERZのファンの愛称)も、一心同体! カオス状態の中、ここでまたしてもライブ初公開の新曲がぶち込まれた!
3月22日にリリースされたばかりのニューシングル「CALLING」だ。ヘヴィーなK.A.Zのギターリフと有機的に絡み合う強靭なバンドサウンド。そこに融合した、激しさと憂いを伴った人間の本能を揺さぶる芸術的かつ独創的なHYDEのヴォーカルが、オーディエンスの心をわしづかみにしていった。
「温まってきたね。VAMPSは明日も明後日もライブあるけど、明日のことは考えてません。皆さんも考えないでください。しんどくても全部出さないとダメです。後先考えずに100出そうぜ~!!! あっ、大きい声出したらお腹空いてきちゃった。ちょうど夕飯時だからしょうがないけど、“腹減った~~~!”一番イキのいい奴喰いてえな。一番イカレた奴はどこにいるのかな~?」というお馴染みの振りで「HUNTING II」へ。
ぶっといベースのヘヴィーな揺れに、ダークな歌声が会場を飲み込んでいった。ヘドバン&モッシュが乱立するライブは終盤戦へなだれ込むと、それまでとは一線を画す心地よい4つ打ちビートのダンスナンバー「ZERO」、さらに海賊風フラッグをなびかせながら、壮大なサウンドと勇敢な歌詞がシンクロしたロックナンバー「THE JOLLY ROGER」で涼風を送り込んだ。
緩急を見事に織り交ぜながら辿り着いたラストは、「SEX BLOOD ROCK N’ ROLL」で迫力のコール&レスポンスを巻き起こし、快楽を共有。こうして、ステージと客席とが全力で求め合い理想郷を描き出したVAMPSのライブは終焉を迎えた。地鳴りのような大歓声が鳴り響き、騒然とするオーディエンスに、さりげなく投げKISSを贈るHYDEと、クールにステージを後にするK.A.Z。その存在が唯一無二であることを実感させられる圧巻のステージだった。
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ステージ転換後は、いよいよ青コーナー・BREAKERZの出番だ。客席から自然と起こった温かい手拍子に迎え入れられると、DAIGOの「東京声出せ~」の雄叫びでエネルギッシュに幕を開けた。
「VAMPS=ヴァーンと・熱く・盛り上がる・パーティーに・しようぜ」のDAI語で表したステージは、ツインギターであるバンドの強みを活かしたナンバーや、AKIHIDEとSHINPEIの異なる個性が際立つギタープレイを堪能出来るナンバー、さらにドMなパフォーマンスで高揚感を煽るナンバー、リリース時にHYDEから“いい曲だね”と褒められた想い出の曲など、ライブならではの衝動を掻き立てられる熱量マックスな曲を次々にドロップ!
時に感情を剥き出しにしなが激しく挑発し、時に優しく聴衆と寄り添いながら高みへと導くDAIGOのヴォーカルが、この日限りの特別な空間を作り上げていった。全身全霊、ひとフレーズごとに魂を捧げるかのようなエモーショナルなアクトは、10年のキャリアの中で積み上げられてきたライブバンドとしての真価を発揮した堂々たるステージだった。
また、HYDEから今年の誕生日の祝いにプレゼントされた“指切りグローブ”(=ロック手袋)を装着したDAIGOは、「こんな素敵な日が来るなんて夢にも思っていませんでした。本当に10年続けてきて良かったと、つくづく思える大切な一日になりました。今日しかないこのスペシャルな一日をみんなすごく楽しみにしてくれていたと思うんですけど、多分この中で僕が一番楽しみにしていたと思います!」と、本音を漏らし、心から感激している様子も印象的だった。
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アンコールではお揃いのコラボグッズTシャツを着て、VAMPSとBREAKERZが共に登場。DAIGO から感謝の言葉を向けられたHYDEは、「ずいぶん前からオファーを頂いていて、是非一緒に出たいなと思っていたんで良かったです。本当に10周年おめでとうございます」と、改めて祝福の言葉を3人に贈った。
そしてBREAKERZの「SUMMER PARTY」、VAMPSの「ANGEL TRIP」と、お互いの曲をコラボレーション。BREAKERZバンドにK.A.Zも加わり、HYDEとDAIGOのツインヴォーカルというアニバーサリーライブにふさわしいスペシャル・ヴァージョンで披露された。
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最後は「もっと全力で、みんなでお祝いしてやろうぜ~。おめでとう~!」のHYDEの心温かい盛り上げに、客席からも「おめでとう!」の大合唱が起こり、夢の饗宴は大きな感動に包まれる中、惜しまれつつ幕を閉じた。
さあ、「BREAKERZ 10周年10番勝負-VS-」次戦は4/16(日)、今宵と同じZepp Tokyoで開催される、盟友・ゴールデンボンバーとのガチンコ勝負だ! 互いのエンターティナー振りを遺憾なく発揮したステージに期待しよう!
(Text:松原由香里(music freak magazine編集部))