3月19日(土)、ビクターエンタテインメントが主催する「ビクターロック祭り2022」が千葉・幕張メッセ国際展示場にて開催された。
2014年に初めて開催した「ビクターロック祭り」。新型コロナウィルスの影響により中止となった「ビクターロック祭り2020」から2年、前回開催の「ビクターロック祭り2019」からは3年ぶりの開催となった。
トップバッターを飾ったのはキュウソネコカミ。
「ロックの祭り、できる人―!」というヤマサキセイヤの絶叫から「ビビった」でスタートを切るが、力が入りまくっているのか、早くもイントロでギターの弦を切り、歌い始めながらサッとギターを持ち替える。間奏でヨコタシンノスケがジャンプ、そして「♪さぁみんなで手を降って」のくだりではセイヤがギターを置いて両腕を上下に振るというおなじみのアクションにオーディエンスが一斉に続くさまは、2年前まではどこのフェスでも見慣れた光景だったが、今の世の中のこの状況で目の当たりにすると、なんだかやたらと感動的に映る。
「あの頃の気持ちを忘れるなー!」というセイヤの雄叫びからの「KMDT25」では、間奏でドラムが祭り囃子のビートになり、シンノスケが「今日はお祭りってきいてるんですけど! サカナクションもサンボもDragon Ashもお祭りに来てると思うんですけど! そんな感じでついてこれるんですか!?」と、オーディエンスをあおりまくる。
次は、「KMDT25」と同じく、2014年のミニアルバム『チェンジザワールド』からの「スベテヨシゼンカナヤバジュモン」。そして、ライブでの鉄板曲になりすぎたあまり、キュウソの曲ではないことを誰もが忘れている「KMTR645」へ。当然アガるフロアに向けて、シンノスケが4月20日リリースのレキシのニューアルバム『レキシチ』のポスターを掲げて宣伝に務める。「あとでラインします、池田さん!」。
1年前のミニアルバム『モルモットラボ』でリメイクした「シャチクズ(2020ver.)」を歌い終えたセイヤ、「アツいわ、やっぱ。1曲目の一音目で元気出るわ!」と笑顔を見せる。
続いて、「ゆっくりしゃべらないと、何を言っているか、わからないですよね。ゆっくりしゃべって、伝えていこうと思います。しかし、ゆっくりしゃべること意外、伝えることがありません!」などと、すっとぼけたMCをするも、それを「この瞬間だけは奪われないように、みんなでがんばっていきましょう」と締めるあたりに、今のこの状況ならではの本音が出ている。
そこからは「推しのいる生活」「The band」「ハッピーポンコツ」と、日本中のあらゆる場所でオーディエンスを熱狂させ続けてきたキラー・チューンを、三発続けて締め。
「The band」の「ライブハウスはもう最高だね/ロックバンドでありたいだけ」という歌詞は、やはり2年前とは比較にならないほど切実に響いた。ラストの「ハッピーポンコツ」に入る前に「やっぱ必要やな、こういうの。ライブハウスとか、フェスとか、いろんなことがなくなっちゃって──」と、話し始めたシンノスケは、コロナ禍で「ここから行くぞ」という新人バンドが行く手を阻まれている、そういうバンドをみんな応援してください、それこそがこれからシーンを盛り上げていく大切なことやと思う──と、オーディエンスにメッセージを送った。
(Text by 兵庫慎司)