2022.03.21 公開
【ライブレポート】Dragon Ash、デビュー25周年を飾る熱量ステージで届けるメッセージ<ビクターロック祭り2022>

Dragon Ash<ビクターロック祭り2022>Photo by Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)  画像 1/1

3月19日(土)、ビクターエンタテインメントが主催する「ビクターロック祭り2022」が千葉・幕張メッセ国際展示場にて開催され、 Dragon Ashが出演した。

1997年2月にミニアルバム『The day dragged on』でビクターエンタテインメントからメジャーデビューしたDragon Ash。今年2月でデビュー25周年を迎えた。ライブが始まる前に流れた25年間を振り返るVTR、過去のMVなどを観て懐かしさを感じていた観客もいたのではないだろうか。

SEと観客の手拍子をバックにオンステージ。この日の1曲目としてKj(Vo/Gt)が歌い始めたのは「陽はまたのぼりくりかえす」。日の光を思わせるオレンジ色の照明が輝くなか、櫻井誠(Dr)が繰り出すビートに、ステージ上のメンバーも客席を満たす観客も自由に身を揺らし始めた。場内に広がるのは、希望を内包した温かなバンドサウンド。スクリーンに映るメンバーの表情も穏やかだ。一転、BOTS(DJ)のスクラッチを合図に瞬時にギアチェンジ。「Mix it Up」で轟く重厚なサウンド。多方面から照明を浴びながらhiroki(Gt)が炸裂させるソロ、そしてサポートのT$UYO$HI(Ba/The BONEZ、Pay money To my Pain)をフィーチャリングに迎えたベースラインが特に強烈な一曲「Fly Over feat.T$UYO$HI」と畳みかけていく。


プリミティブなラテンのリズムと開放的なメロディが一体となった「AMBITIOUS」など、様々な要素をハイブリッドさせて生まれる独自のバンドサウンド、その説得力からはやはり25年の歴史キャリアを感じる。そんななか、「久々なんじゃない? ビクターロック祭りは。まだマスクもしなきゃいけないし、声も出せないけど、できるところまでは前進したと俺は思っている。こんなデリケートな時にスピーカーの前に集まってくれてありがとうございます」と観客に伝えるKj。心を交わす場所としてのライブ空間を連想させる曲「ダイアログ」をまっすぐ届けつつ、「Jump」では音を楽しむという原始的な感覚を呼び覚まさせ、その音でみんなを文字通り飛び跳ねさせる。「ロックフェス楽しい?」というKjの投げかけに応え、客席から上がる腕の数々。そして「コロナがなくなったらマスクとって一緒に歌おうな!」という約束が交わされた。

バンドにとって神聖な場所、ライブ行う現場を歌った曲「百合の咲く場所で」を終えてMC。ここではKjが「俺たちみたいなバンドマンはこうやって観に来てくれるみなさんが拠り所だし、みなさんのおかげで大きな音で大好きなロックンロールを鳴らせています。願わくば俺たちの話ばっかじゃなくて、音楽業界の話ばっかじゃなくて、みなさんの生活を音楽で少しでも支えられていたら俺たちは今日来た意味があります」と語り、ラストの「New Era」へと繋げた。ここに全てを置いていかんとするメンバーの気概、熱量を感じさせる名演。壮大なスケールのサウンド、その輝きは私たちの未来を照らす灯だ。


2014年に初めて開催した「ビクターロック祭り」。
新型コロナウィルスの影響により中止となった「ビクターロック祭り2020」から2年、前回開催の「ビクターロック祭り2019」からは3年ぶりの開催となった。


(Text by蜂須賀ちなみ)

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