浜崎あゆみが4月8日にデビュー24周年を迎えた。
1998年4月8日、シングル「poker face」でデビューし、そこから一度も立ち止まることなく、第一線を走り続けてきた。
これまで日本のポップシーンにおいて24年もの間、ライヴを欠かさず、新作のリリースを止めず、一度も活動休止や充電期間を設けず活動し続けてきた女性アーティストが果たしてどれほどいるだろうか?
この間、数々のヒットを生み出してきた彼女の歌に共感し、時に涙し、支えられ、励まされてきたという人も多いことだろう。
そんな浜崎あゆみが記念日を間近に控えた4月6日、横浜のぴあアリーナMMにてアニヴァーサリー・ライヴ「ayumi hamasaki ASIA TOUR ~24th Anniversary special @PIA ARENA MM~」を開催した。
現在、すでにライヴ本番から5日が経過しているが、SNS上では未だ興奮冷めやらず、その感動を伝える投稿が多く見られるが、これまでもファンの間で伝説のライヴと言われるものは多々あった。
思いつくだけでも、ロングベールのウェディングドレス姿で「M」を熱唱した2003年の「A museum ~30th single collection live~」、圧巻の噴水ショーで浜崎あゆみエンタテインメントの真髄を見せつけた2005年の「MY STORY TOUR」、音楽の力を伝えるべくフルオーケストラで臨んだ2011年の「POWER of MUSIC」、新旧のヒット曲34曲を披露した2015年の「真夜中のサーカス」など、、、。そして、今回、また新たな伝説が加わった。
そんなライヴの様子を余す所なくお届けする。
オープニングは場内LEDにて上映されたスペシャル・ムービー。BGMはデビューアルバム『A Song for ××』の1曲目「Prologue」という、アニヴァーサリー・ライヴならではの選曲。歴代のMusic Videoのワンシーンや、ジャケット写真が散りばめられ、24年間の珠玉の作品たちをファンと共に振り返る一瞬となった。
浜崎あゆみ Photo by 田中聖太郎 画像 2/7 浜崎あゆみ Photo by 田中聖太郎 画像 3/7 浜崎あゆみ Photo by 嘉茂雅之 画像 4/7
幕開けの曲となったのは代表曲「A Song for ××」。一筋の光がさした神秘的な教会をイメージしたステージに、黒いドレスを着たayuが神々しく登場し、アカペラで歌いはじめる。1フレーズ歌いきって高々と手を振り上げたその瞬間、空気は一変。激しく響き渡るバンドサウンドと、ダンサー達のアクティングで会場のボルテージは急上昇。24年前、「居場所がなかった」と歌った彼女は果たしてどのような気持ちでこの曲をパフォーマンスしていたのだろう。
続けて、2曲目には「行くぜぴあアリーナ!!」と会場一体を煽りながらロックナンバー「Microphone」を披露。
ダンサーのSHOW TIMEを挟んで、次に現われたのは檻の中にいる女子ダンサーとayu。囚われた空間の中でチェアやポールを使ったダンス・パフォーマンスと共に披露された曲は「1 LOVE」。曲間では檻をぶち破るという派手な演出もあり、多くの観客の視線を集めていた。続けて「(don’t) Leave me alone」ではダンサーを引き連れてアリーナの花道を華麗に歩きながら、ロックに歌い上げる。
雰囲気は一転、全身ピンクの衣装を身にまとったリアルドールな姿で登場し「Party queen」「Depend on you」「HONEY」を立て続けに披露。「今日は最後までめっちゃ盛り上がって帰ってねー!」と何度も客席を見渡しては手を振り、オーディエンスの心を鷲掴みにした。
バラードブロックで披露されたのは、切ないリリックが特徴の「HOPE or PAIN」。すれ違う男女を表した男女2名のダンサーを俯瞰に見つめ、時に涙を流しながらも優しく歌い上げる。次曲、ミディアム・バラードの「GREEN」では華やかで妖艶な和の演出も挟みつつ、楽曲そのものが持つ儚げな雰囲気を見事に表現。立て続けに胸が締め付けられる程の切なさを表現した本ブロックの最後には新旧ファンから絶大な人気を誇る名曲「SCAR」を熱唱した。
浜崎あゆみ Photo by 田中聖太郎 画像 5/7 浜崎あゆみ Photo by 嘉茂雅之 画像 6/7 浜崎あゆみ Photo by 田中聖太郎 画像 7/7
ライヴも後半戦。暗転した会場に流れたのは、1st ALBUM『A Song for ××』収録の「Present」のピアノアレンジに乗せてこれまでのライヴの歴史を振り返る映像。24年間、そばにいてくれたファンとの思い出の数々が収められており、「どんな時もみんなの声が僕を支えてくれた」「これから先も一緒に歩いて行けます様に」というayuからのメッセージが映し出されると、何度も大きく頷きながら涙を流すファンの姿も。
そんな感動冷めやらぬまま披露されたのが本公演のハイライトのひとつ、「poker face」。このデビュー曲をフルコーラス、たった1人で歌い切るのは浜崎の歴史の中でも初めて。アリーナを囲むように作られた花道を一周し、会場に駆けつけた全てのファンに優しく手を振りながら歌う姿に、多くの観客が涙していた。
その後、「too late」「from your letter」「Hana」といったデビュー初期のレア曲をメドレーで披露し、会場のテンションは一気に最高潮に。特に「from your letter」は1st ALBUM『A Song for ××』に収録されて以来、これまでのライヴで一度も披露されたことがなかったため、そのイントロがかかった瞬間にどよめきが起きていた。
本編ラストブロックで歌われたのは「Free & Easy」と「ourselves」。過去のライヴで人気を博していた演出のオマージュも見られ、終演後のSNS上には「まさかあの演出がもう一度観れるとは...」という、喜びの声が溢れていた。
幕が閉じ、ここで本編が終了したと思いきや、再び緞帳が上がって突如披露されたのが、4月22日に配信リリースされる新曲「Nonfiction」。現代を生きる全ての人に向けた強いメッセージが込められた楽曲で、約1年ぶりとなる新曲の発表と突然の歌唱で会場一体が興奮状態に包まれた。
サプライズはアンコールでも続き、場内LEDに氣志團の綾小路翔からのメッセージ・ムービーが突然映し出されると、24周年のお祝いコメントと共に、先日発売されたばかりの氣志團トリビュート・アルバム『All Night Carnival』に収録された浜崎あゆみヴァージョンの「One Night Carnival」の紹介が。その後、スケバン風セーラー服姿のayuと学ランを着たダンサーたちが登場し、ayuヴァージョンの「One Night Carnival」を初披露。
途中まで1人で歌唱していたayuだったが、「ここまでやったら...氣志團に会いたくない?ねぇ、翔やん?」と呼び込んだのは本家、氣志團。10年前にも同じ形でサプライズで登場したことがあるため、まさかの本人達による完全再現で、ぴあアリーナ全体が揺れ動く程の熱狂に包まれた。途中MCでは綾小路翔より「みんなの想いをおれが代表して言って良いですか?」「24周年本当におめでとう、俺たちと同じ時代に存在してくれてありがとう、俺たちと出会ってくれて本当にありがとう、俺たちにたくさんの勇気をくれて本当にありがとう」という、コロナ禍で声援を送れない観客の心の叫びを代弁した熱いメッセージがayuへ贈られ、盛り上がりと共に感動を呼んでいた。
会場全体がお祭りモードのまま代表曲「Boys & Girls」を披露し、最後の曲として歌われたのは「Who...」。何度も涙をぬぐいながら最後まで笑顔で歌い上げ、アニヴァーサリー・ライヴは幕を閉じた。
終演直後には場内LEDにて、新曲「Nonfiction」と本公演のLIVE DVD & Blu-rayのリリース情報、そして秋に6年ぶりとなるフルアルバムが発売されることが解禁され、最後までサプライズ尽くしの本公演に多くの歓喜の声が溢れていた。
ライヴ終演後、インスタに
「ayuと浜崎あゆみと濱崎歩という私のこんな人生に関わって下さる全ての方々に ‘この人を知ってる人生でよかったな’ と一瞬でも1ミリでも思っていただけたらという気持ちのみで走り抜きました。」
「ツアー中のなか、この一夜のためだけにリハーサルをやり直し、ステージを一新出来たのは皆様の協力と支えのおかげでしかありません。」
というメッセージをステージセットを撤去している様子の写真とともにアップ。
穿って見る向きもあるだろうが、それでも堂々と裏方スタッフの労を労う姿には素直に感嘆するではないか。浜崎が座長と言われる所以でもある。
そして、ライヴが終わって5日、記念日を迎えてから3日が経過した今もまだ余韻が抜けない。
しかし、当の浜崎自身は余韻が抜けないなどと言ってる間も無く、来週22日にはシングルの発売、23、24日にはコロナの影響を受けて延期されたASIA TOURの神戸での振替公演を控えており、本人やスタッフはすでに動き始めているに違いない。そして、フルアルバムとしては6年ぶり(2016年発売『M(A)DE IN JAPAN』以来。その間、ミニアルバム『TROUBLE』やデジタル・シングル「23rd Monster」、バラード・ベスト『A BALLADS 2』などのリリースもあり、決して止まってはいなかったわけだが)となるオリジナル・アルバムに向けてさらに活動は加速していくことだろう。
いよいよ来年は25周年。
ヒットだけでなく、時代を作ったアーティストはひと握り。
そんな浜崎あゆみのライヴを未体験のファンの方々には是非生で、ステージ上で躍動し、『そこ』に存在するayuの姿を見て「この人を知ってる人生でよかった」と心から感じて欲しい。
デビュー24周年イヤーをファンの間でこれからも語り継がれる素晴らしいライヴで幕を開けた浜崎あゆみ。
常に進化し、挑戦し続けることを止めない彼女から、ますます目が離せない。
(Photo by 田中聖大郎、嘉茂雅之)