2016年、筑波大学を舞台に日本を代表する各界のイノベーターや アーティスト、ベンチャー企業が集結し、 大きな話題を集めた「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA(通称・イノフェス)」。
そのテクノロジーと音楽の祭典が、 さらにパワーアップした「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2017」が開催された。ここでは2017年6月3日に開催されたこのイベントから、小室哲哉のステージをレポートする。
画像 2/6
真上からの一筋の照明の下、小室哲哉が登場。客席からはさっそく「小室さーん」と歓声があがる。まずはイントロのシンセサウンドが流れ、ゆっくりといくつもの音色が重なってゆく。会場のテンションも次第に高まり、音の重なりがピークに達すると、ダークブルーの照明が明るいピンクと赤に変わりテンポが変調。いつの間にかステージ前のオーディエンスは総立ちだ。
常に時代性を意識した小室哲哉の音作り。自分らしさを残しつつ、新しい音の作り方を模索している彼の最新型のサウンドが目の前で繰り広げられている。そこに懐かしく耳慣れた旋律が重なった。globeの初期のヒットナンバー『feel like dance』だ。客席のあちこちに感激して飛び上がるオーディエンスの様子も見える。
時に自身でキーボードを奏で、その旋律をそのままミックスして新しい音を作り出す。その姿はいかにも小室らしい。また、時に強烈な響きを持つ電子音を猛獣使いの如く操り、見る者を感心させる。
画像 3/6
画像 4/6
ダークなビートとエコーを響かせた後、一瞬の静寂が。暗転したステージに改めてスポットライトが当たると、それまでとは打って変わってテンポのよいリズムが流れ出した。小室が再び自らの手で高音域のキーを叩く。
これもまた耳覚えのある旋律だ。安室奈美恵の代表曲『CAN YOU CELEBRATE?』のサビのパート。誰もがそう気づいた時には、この旋律がゴスペル調のコーラスサウンドと重なりあっていた。
次に彼が仕掛けてきたのは、TM NETWORKの代表曲『GET WILD』。先日、この曲だけがさまざまなバージョンで3枚組のディスクに収録されたアルバムがリリースされ、大きな話題を呼んだ。この日の『GET WILD』は、そこからさらに進化した文字通りの最新バージョンと言っても過言ではないだろう。
こうして、サウンドパフォーマーとして、幾重ものサウンドを操った小室。だが、気づくと彼が操っていたのは、サウンドではなく我々オーディエンスだったのかもしれない。
これからも我々を心地よく操ってくれることを待ち望みたくなるようなパフォーマンスに、会場中が息を飲んだステージだった。
(取材/文:バッキー☆大坂)
画像 5/6
画像 6/6