4月15日、テレビ朝日系音楽番組「BREAK OUT」による音楽イベント「BREAK OUT祭 2023」が、TOKYO DOME CITY HALLにて開催された。これまで毎年開催されていた「BREAK OUT祭」だが、有観客での開催は2019年以来4年ぶりとなる。本記事では清水翔太のライブレポートをお届けする。
生バンドを従えた清水翔太のライブは、フロア中にアタックの強い音を響かせながら、『Sorry Not Sorry』からスタート。演奏が縦のビートだとすれば、清水翔太は横に心地好く揺れる甘い歌声を演奏に重ね合わせるようにせまってきた。甘いといっても、そこはパワフルなヴォイスを持つ清水翔太。相変わらず、強烈な存在感を放つ歌声だ。観客たちも瞬時に彼の歌の虜になり、眩しい視線を舞台の上に向けながら、心地好く身体を揺らし、一緒に歌を口ずさんでいた。
激しいギターの音が炸裂。続く『Friday』ではちょっとスペイシーな香りも振りまきながら、この空間をダンスホールへと塗りかえてゆく。2人のダンサーたちと一緒に身体を揺らし、この空間を心地好いパーティー空間に染めあげる。もっともっと清水翔太の歌声に、身体や心を揺らされていたい。
続く『Sorry』でも、清水翔太は甘く切ない思いに少しのフィルターをかけ、愛しい人への気持ちを照れを隠すように伝えていた。その思いが届かぬことをわかりながらも、後悔を振り切るように清水翔太は歌っていた。だからその声に、歌詞に綴った思いの行方に、ずっと心を馳せていた。
「短い間ですけど、良かったら一緒に楽しんでください」の言葉に続き、思いきりディープでソウルフルな楽曲に乗せ、清水翔太は『Baby I love you so』を歌いながら、甘い誘いの声をあげていた。どっぷりとしたグルーヴの上で、清水翔太自身が音のウネリの中へ身を委ね、心地好さを覚えながら歌っていた。とても伸びのある歌声だ。ときにファルセットも交え、彼はどっぷりとソウルフルな音に浸るように歌っていた。
切々とした、でも、確かな情熱を抱いたエレピの音色に乗せ、清水翔太は愛しい人へ向け、口に出して言えなかった思いを伝えるように『花束のかわりにメロディーを』を歌っていた。彼は伝えてきた、「花束のかわりにメロディーを」と。でも、愛しい人へ向けて歌う清水翔太の声は、観客たちへ向けた告白がわりのメロディーのようにも届いていた。彼のどっぷりメロウな歌声が心を揺らすたびに、客席のあちこちから黄色い歓声が飛びかっていたのも印象的だった。エレピの演奏のみを背景に歌うことで、これまで以上に清水翔太の魅力を成す歌声の温もりに触れていられたのも嬉しかった。
続く、親しみ覚える『My Boo』を通して、清水翔太はこの空間に大きなワンラブの景色を作りあげていった。彼の歌に合わせ、フロアからも甘い掛け合いの声が届いていたのも印象的だ。誰もが清水翔太に口説かれ、ラブの気持ちへ導かれるように、その歌声や演奏に酔いしれていた。大勢の人たちが、清水翔太と一緒に歌っていた様も、とても温かい景色として見えていた。
最後に清水翔太は、この空間に眩しい輝きを降り注ぐように『Good Life』を歌っていた。それまでずっとサングラス姿だった清水翔太が、ついにサングラスを外した姿で歌いだしたのも印象的だ。この曲でも彼は、客席中の人たちと気持ちのチューニングを合わせ、一緒に心地好く身体を揺らしながら,この空間に生まれたハートフルな熱を、みずからの身体へ染み込ませるように歌っていた。
アンコールでは、この日出演したアーティストたちを呼び入れ、みんなで『HOME』を歌唱。同じイベントを熱狂の景色で彩った仲間たちと思いを育もうとする、清水翔太の心意気が嬉しいじゃない。舞台の上には、BUDDiiS・PSYCHIC FEVER・GENICの中から選ばれた精鋭たちが登場。清水翔太の歌う『HOME』の歌を受け継ぐように、登壇したメンバーらが次々と歌をリレーしてゆく。一人一人異なる色の歌声で『HOME』を彩る様も、とても新鮮だ。何より、舞台の上にいる7人が思いを一つにサビを歌ったときのエモーショナルな合唱の声が、嬉しく気持ちを奮わせた。曲が進むごとに歌い手たちの声にもパワーが漲ってゆくのもしっかりと伝わってきた。終盤には観客たちも歌に参加し、みんなで『HOME』を温かい歌声で彩っていた。
こういうスペシャルなコラボを味わえるのも「BREAK OUT祭り」だからこそ。次の開催も楽しみになってきた。
(文:長澤智典)