7月17日、『X JAPAN WORLD TOUR 2017 WE ARE X Acoustic Special Miracle~奇跡の夜~6DAYS』最終日が横浜アリーナで開催された。
この日は、WOWOWで生中継されるということもあり、X JAPANとしては非常に珍しい何とオンタイムでのスタート!
18時1分、映画『WE ARE X』がフェードアウトし、『Forever Love』をToshlが歌い始める。伸びやかな歌声を響かせ、場内は赤のサイリウムをゆっくりと振るオーディエンスで満員である。後半はヘビーなギターの音も加わり、勢いづいたままエンディングへ
YOSHIKIが「みんな元気?奇跡の夜にようこそ!」とまずは挨拶。
「ドラムセットが今日はないのですが、ピアノとX JAPANのメンバーと一緒に頑張らせていただきます。
Toshl、今日オンタイムで始まったね。そういう意味で奇跡だね(笑)
何十年もやってるけど、やっぱりToshlの歌が染みるんだね。」とToshlに絡むと
Toshlは「(YOSHIKIの)いい楽曲があってこそだけど(笑)」とお互いを褒め合い場内は爆笑モードに。
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「奇跡は待ってるものでなく、起こすもの。みんなで奇跡を起こそうよ!
素敵な時間を過ごしましょう。」とYOSHIKIが熱くオーディエンスに訴えかける。
次にYOSHIKIのタイトルコールから始まったのは『Tears』。
荘厳なストリングスのイントロからスタートすると、Toshlは客席に近づきながら、優しくそして透き通った声で歌い始める。
間奏では感情を込めたメロディアスなギターソロでSUGIZO、PATAが盛り上げる。後半のサビではコールアンドレスポンスもあり、オーディエンスも大合唱!ストリングスに合わせて、ピアノを弾くYOSHIKIの音色がなんとも言えない美しさを醸し出しフィナーレへ。
SUGIZOのヴァイオリンから、『KISS THE SKY』が始まると、YOSHIKIはピアノの音を静かにゆっくりと響かせる。
客席からは「Woh Woh Woh Woh」とコーラスが聞こえ、昨年のVISUAL JAPAN SUMMITではオーディエンスの声をライブ中に
レコーディングしていたが、その壮大な光景が脳裏に蘇ってくる。
Toshlがハイトーンボーカルで歌い上げる英詞が賛美歌のようなオーラを放ち、場内をひとつにする。
続いて、HEATHのベースの重低音が響き、ソロコーナー開始。ノリノリの早弾きで場内を盛り上げると「HEATH!」と大歓声が起こる。
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さらに、PATAがギターを頭の上に持ち上げ登場すると、相変わらずの早弾きで職人芸をみせる。『STANDING SEX』『CELEBRATION』などイントロのフレーズを弾くと往年のX時代からのファンから大歓声が起こる。
エリクトリックサウンドが鳴り響く中、「行けるか?横浜?お前たちの大和魂みせてくれ!」と、Toshlが煽り、
HIDE作曲のミディアムチューン『DRAIN』が始まると、場内はディスコさながらなのノリノリで盛り上がる。
ここで一転して、厳粛なSEに合わせてSUGIZOのヴァイオリンソロが始まり、
まさにSUGIZOでしか表現できない美しい音世界でオーディエンスを魅了していく。
そしてToshlが『Silent Jealousy』のサビをアカペラで歌い始める。アコースティックギターを弾きながらの
『Silent Jealousy』は、最近Toshlのソロライブでも披露されていたが、横浜アリーナで聴くとまた一味違って壮大な雰囲気で聞こえる。
後半のサビは場内で大合唱が起こり、エンディングではPATA、SUGIZOが綺麗なアコースティックギターでハモリを聴かせて、スピード感を増していく。まさに今しか出来ないバージョンに場内は湧く。
『LARGO』から壮大なストリングが流れる中、YOSHIKIのピアノソロが始まる。
繊細に、時には力強くYOSHIKIのリアルな感情がひしひしと伝わってくるかのような世界観で『SWAN』が演奏される。
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そして、近年のX JAPANのコンサートのオープニング曲になっている『Miracle』が女性ボーカルの生歌とともに壮大に披露される。
YOSHIKIのカーネギーホールでのソロコンサートで共演したボーカリストが急遽、駆けつけたらしい。
「『Miracle』は、アメリカのコンサートで初めてかけて、その後日産スタジアムでかけたら、PATAか誰かが『誰の曲?』と興味を持ってくれて反応がありました。」と過去のエピソードを語る。
「Toshl待ちです。せっかくオンタイムで始まったのに(笑)」とYOSHIKIが茶目っ気たっぷりに盛り上げると、ToshlがYOSHIKIの前で転びそうな感じで歩いてくるというまさに茶番劇のような演出で場内は笑いに包まれる。
「ついに最終日を迎えました。このコンサートどうなるかと最初思いました。
YOSHIKIがリハビリでこのコンサートやりたいと言ってきたけど、みんなリハビリに付き合ってくれてありがとう!」とToshlがファンに感謝を伝える。
「今回はToshlを始め、X JAPANのメンバーに背中を押されて、今回このコンサート出来てるのが、感無量です。
PATAがもう一回リハーサルやろうぜと言ってきたりとか、夜は酒飲んでるから昼間しか出来ないPATAが今回は、SUGIZOに練習しようと声かけたりとかもありました。」とYOSHIKIはメンバーへの感謝の気持ちを伝える。
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「次の曲は3月のウェンブリーアリーナで初めて披露したんだけど、今日は、アコースティックバージョンでやってみようと思います。」
昨年NHKの『SONGS』で初めてテレビ披露された時にあまりの完成度の高さに話題を呼んだ『La Venus』。
近年のX JAPANが発表した中でも名曲の部類に入るこの楽曲で、Toshlが唯一無二のハイトーンボーカルで、横浜アリーナの満員のオーディエンスを圧倒する。
曲の間でYOSHIKIの長いMCが続く。
「ウェンブリーのあと、ロンドンからパリにWE ARE X号で移動したのですが、首は限界に達してました。もうこれで終わりかなと思ったけど、やはり想像以上に悪く手術することになりました。
2度めの手術は怖かったです。手術前に遺書を書かされたのですが、X JAPANのメンバーとの思い出はかけがえのないもので、感謝してます。
しかしまだ死ねない。世界の壁をぶちこわしてないから、まだ立ち向かいたいと。初めて生きたいと何らかの使命感を感じました。
そんな僕らもいろんなことと、戦っていくし、そんな思いで次の曲をやってみようと思います。」と感情あらわに語るYOSHIKIに拍手が送られる。
『HERO』がToshlの澄み切ったボーカルから心地よく始まる。
これまでのX JAPANが戦ってきた苦悩と、これからの希望に満ちた思いが込められ、この日一番の歌声だと言っても過言でないクオリティー。
ここでYOSHIKIが「みんな何やってほしい?」
とファンに問いかけると、「やるときゃやれよ!」とToshl。
ファンのリクエストからアコースティックバージョンで『X』が始まると、スローテンポでピアノに合わせて進んでいく展開でX ジャンプが起こるという不思議な光景が見られた。
「ピアノで『X』なんて弾かないよ(笑)お礼を言うのは僕のほうです。本来とは趣旨の違うコンサートになってしまったのにこんなにきてくれて。」と何度も感謝を伝えるYOSHIKI 。
「次の曲は親愛なるTAIJI HIDEに捧げたいと思います。」と紹介されて壮大なストリングスとピアノで
『Without You』が始まる。HIDEの過去のムービーが流れると悲鳴とも言えるぐらいの大歓声がおき、Toshlのボーカルがそれに被さっていく。
間奏では「HIDE!」と終始歓声が起こる。情感溢れるこの楽曲で改めてHIDEの人気を再認識でき、いまだYOSHIKIの中にそしてファンの中にHIDEが生き続けていると感じた。
そのまま、HIDEがギターを弾く映像からXのメジャーデビューシングル『紅』が始まる。YOSHIKIがピアノでリズムを刻み、今回のライブ用の新たなアレンジでストリングも加わる。サビではToshlがオーディエンスと掛け合いをしながら盛り上げると、素晴らしい完成度の楽曲アレンジに拍手がおこる。
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その盛り上がりの中、『ART Of Life』の間奏部分のピアノが始まる。
壮大なストリングにYOSHIKIが唯一無二の力強いピアノパフォーマンスで最終日と思えないほどの迫力を感じさせる。
Toshlの伸びやかなボーカルも衰えることなく、圧巻のエンディングへ。
アンコールで、SUGIZOのヴァイオリンから『SAY ANYTHING』が始まると、
Toshlは終始オーディエンスを煽りながら熱唱していく。
「みんな本当ありがとう!歌唱力凄いね。」とToshlがオーディエンスを称える。
PATAにToshlが「最終日はいかがですか?」と
問いかけると、
「さっきのあなた何ですか?引っ張りすぎでしょ!」とPATAが笑いながらToshlに噛み付いて場内は爆笑モードに。
Toshlからのリクエストがあり、アルバム『Jealousy』に収録されている
『PATA’S NAP』が始まる。
PATAのアコースティックで綺麗なギターの音色が響き、近年では聞けなかった貴重なシーンにオーディエンスも聴き入る。
HEATH
「最終日は感動的ですね。最初はどうなることかと思いましたが、
みなさんのおかげていいツアーになったと思います。」
SUGIZO
「Toshlさんの言う通り、みんなの歌声は本当凄いね。七転び八起きでピンチだったX JAPANもこれで未来が見えましたね。
70歳まで出来ます(笑)。
最初からハンデがあった今回のツアー。それを補ってくれたのはファンのみんな。最年少のオレが在籍しているX JAPANを、末永くよろしくお願いします。」
とそれぞれの気持ちを伝える。
「もう一発いくか?PATA!」とToshlが煽り、
名曲『Week End』のイントロが聞こえると、Toshlが「Hey!」「Hey!」とオーディエンスを煽り、場内は再び盛り上がりを増していく。
サビではコールアンドレスポンスもあり、アコースティックバージョンならではのギターソロも味わい深い。凄まじい盛り上がりの中、一気にエンディングへ。
X時代のオープニングSE『World Anthem』が流れ、メンバーの名前が勢いよくコールされる。
そして始まったのが『I.V.』。
X JAPANが2010年に復活したときに発表したミディアムテンポのロックチューンである。この曲の中で各メンバーからの気合いのコメントが聞けた。
YOSHIKIが最後に「天国のTAIJI、HIDEにもお前らの声を聴かせてやれ!
Xというのは無限の可能性という意味をもってる。
不可能なことは何もない。今回でまた新しい意味が加わったね。何があっても負けないあきらめない。」とテンションが高い。
「横浜まだまだ行けるか?気合い入れていけ!
「WE ARE!」 「X!」「WE ARE!」「 X!」
全力で声を出すYOSHIKIにオーディエンスも精一杯のコールで応える。
最後はToshlが「まだまだ足りないぞ!暴れん坊将軍でいけよ!
WE ARE X!YOU ARE X!お前ら最高だぜ!」と定番のMCで盛り上げる。
ここで『Crucify My Love』がYOSHIKIのピアノと
Toshlのボーカルで始まると大歓声がおこり、
X JAPANならではの美しすぎるメロディーにオーディエンスは酔いしれる。
「今日は、何の日か知ってる?
TAIJIが旅立った日です。最後にステージやったのは、日産スタジアムだったね。
ロックという言葉が一番似合う男だった。TAIJIに一曲捧げるか?」とYOSHIKIのきっかけから、
『Voiceless Screming』が披露される。
X時代の名バラード曲だが、
PATA SUGIZOのアコースティックギターに合わせて、
Toshlが切ないボーカルで歌い始め、ストリングとピアノも再アレンジした貴重なバージョンであった。
生で演奏されたのはいつぶりだろうか?
Toshlのボーカルがオーディエンスを圧倒し、きっとTAIJIにもその気持ちが届いたに違いない。
「数えれば数えれきれないほどの思い出があるけど、紆余曲折、
無限の可能性、何があってもあきらめない。そんなイメージでこれからも頑張っていきたいです。
みんなとの思い出を噛み締めてこの曲を送りたいと思います。
もし良かったら一緒に歌ってください。」とYOSHIKIの思いが込められて『Longing』がスタート。
Aメロから一番をオーディエンスが息の合った大合唱で歌い続ける。
Toshlはこれまでのいろいろな思いが込み上げてきたのか、途中から涙ぐんで座り込むという珍しい光景もあった。
オーディエンスの支えもあり、最後のサビは何とか歌いあげてフィニッシュ。
そしてラストは、もちろんX JAPANのライブでは必ずと言っていいほど披露される
名バラード曲『Endless Rain』。Toshlの伸びやかな高音ボーカルが響き渡り、オーディエンスの大合唱も絡み合い、圧巻のフィナーレを迎えた。
3時間半を超える長丁場のライブを唯一無二のアコースティックバージョンで最大限のパフォーマンスで魅せたX JAPAN。
「早くみんなの前でドラマーとして復活したいです。6daysできて感謝してます。
これからのXはあきらめない。 100回転ぼうが、1000回転ぼうがあきらめない。一緒に頑張っていこうぜ!」
最後のYOSHIKIのコメントが印象的であった。
Xという無限の可能性を信じて、次回こそはYOSHIKIの完全復活とともに、本来のロックありの激しいライブが実現出来ることを期待したい。