2017.07.26 公開

BiSHが7月22日に幕張イベントホールにて全国ツアー「NEVERMiND TOUR RELOADED」のツアーファイナル「BiSH NEVERMiND TOUR RELOADED」を開催した。


全国21カ所を回るツアーの千秋楽として、キャリア最大規模となる約7000人収容の幕張イベントホールにて行われた今回のライブ。この日のために全国から清掃員(BiSHファンの総称)が集結した。

ステージにアイナ・ジ・エンド、モモコグミカンパニー、セントチヒロ・チッチ、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dが登場し、満員の観客の前で一曲目に披露されたのは『オーケストラ』。

『オーケストラ』はBiSHの所属事務所、WACKの合同オーディションで、BiSに奪われるなど、紆余曲折のあった楽曲。

幕張の舞台でようやく披露することができたのは、メンバーにとっても感慨深いものがあったに違いない。

また、『オーケストラ』を聴いて思い出されるのは、昨年の日比谷野音でのワンマンライブの光景だ。

わずか10ヶ月足らずで観客の人数は倍以上に膨れ上がったが、メンバーのパフォーマンスもそれに引けを取らないくらい加速度的にレベルが上がっているようだ。

楽器を持たないパンクバンド・BiSHが幕張メッセでワンマンライブ開催で大盛況!  画像 2/5

2曲目に『社会のルール』を披露した後は、メジャーデビューシングル『DEADMAN』へ。リンリンのシャウトが木霊し、観客のボルテージも急上昇。

続いて披露された『Marionette』ではアユニが振り絞った力強い歌声でソロパートを歌い上げる。

加入から約1年が経ち、大きく成長したアユニの歌声は、アイナやチッチにも引けを取らないくらいエモーショナルで、BiSHの楽曲の魅力を一段と引き上げている。

5曲目の『ウォント』、6曲目の『本当本気』を立て続けに披露した後、ようやくここでBiSHのメンバーから自己紹介。

一通りメンバーが自己紹介をした後、モモコが「まだまだBiSHと一緒に踊りましょー」と声をかけ『DA DANCE』の演奏が始まる。

メジャーデビュー前のファーストアルバムに収録された同曲はモモコが作詞した甘酸っぱい歌詞とポップな曲調が魅力だ。初期からのお馴染みの曲で、大舞台の緊張が少しずつほぐれていく。

 

そして『ヒーローワナビー』、『VOMiT SONG』の後に披露されたのは『Nothing.』。

『Nothing.』は初代BiSのラストシングル『FiNAL DANCE』のアンサーソングになっている。『FiNAL DANCE』で終わったBiSに対し、私たちはまだ終わらないと宣言する、いわばBiSの残像との決別を宣言する一曲だ。

曲ラスト、メンバーが横一列で手を繋ぎ、その手を挙げる。

そのままお辞儀をするのが通例だが、その手は降ろされないまま曲は終了。

この振り付けはどんな言葉よりも強烈にBiSHのメッセージを印象付けるようであった。

【ライブレポート】楽器を持たないパンクバンド・BiSHが幕張に集まった7000人の清掃員を魅了し会場が一体に!「きっと巡り合った僕らは奇跡なんだ」  画像 3/5

そして次に披露されたのは『スパーク』。

『スパーク』はメンバーの顔だし前に先行配信されたBiSHの始まりの歌だ。BiSとの決別を宣言し、自身の始まりへの回帰。

BiSHの歴史がここで周したことを感じる、このライブの最も象徴的なシーンであった。


続いてこちらも初期の代表曲、『サラバかな』を披露。

小さいライブハウスで何度も歌われてきた同曲だが、幕張の大舞台でも遜色ないスケール感がそこにはあった。

『ALL YOU NEED IS LOVE』では清掃員たちがアリーナからスタンドまでみんなで肩を組み、会場が圧倒的な多幸感に包まれる。

会場が一体となったところでステージは本日2回目のMCへ。


MCではハシヤスメが会場とのコールレスポンスを楽しんだ後、ツアー移動中のエピソードを披露。アユニがハシヤスメの肩にもたれて眠っていたことから、「私のこと好きでしょ」とアユニに問いかけるも、「好きじゃない、むしろ嫌い。」とアユニが一蹴。

そこからは落ち込んだハシヤスメに代わって、アユニが司会進行を引き受ける。アユニがメンバーに話題を振るたびに口を挟むハシヤスメ、そしてそれに切れるアユニとボソッと毒を吐くリンリン。しまいにはハシヤスメがリンリンのピアスの穴が毒を吐いているのだと言い始め、「私も穴が欲しい」という謎の欲求から身体をパンパンと叩き始める。

客席からも頑張れとゲキが飛ぶ中、ハシヤスメが最終的に見つけたのは鼻の穴。

この結末にアユニが「うるせえんだよ この鼻の穴モンスターが」と一喝すると、『MONSTERS』がスタート。

バッチリタイミングを合わせて歌い始めるアイナも見事である。

【ライブレポート】楽器を持たないパンクバンド・BiSHが幕張に集まった7000人の清掃員を魅了し会場が一体に!「きっと巡り合った僕らは奇跡なんだ」  画像 4/5

さらにステージ前方から火柱が吹き出し、急な展開とBiSH最強のキラーチューンの応酬で清掃員たちは半狂乱に。

そのテンションのまま『OTNK』が繰り出され、完全にスイッチが入った会場からは狂気じみた雄叫びが上がる。

続けて披露された『beautifulさ』で一旦会場はまた多幸感モードに切り替わり、7000人がトゲトゲダンスを楽しむと、最新作のタイトル曲『GiANT KiLLERS』へ。

燃え上がる火柱、吹き出すスモーク、そして7000人のシンガロングが組み合わさり本日の最高沸点をここで迎える。

 

どんな強敵でもBiSHと清掃員が一緒になれば倒せるに違いない、そんな確信を眼前の光景に感じるのであった。

そして本編ラストの一曲『BiSH-星が瞬く夜に-』が披露される。

この日のライブを通じて感動、狂乱、多幸感と、BiSHのライブで味わえるものを味わい尽くしてきたが、『BiSH-星が瞬く夜に-』はそれらの要素が一曲に凝縮された、このライブの本編を締めくくるのにふさわしい楽曲だった。

アンコール後、再度ステージにメンバーが上がり『BUDOKANかもしくはTAMANEGI』を披露。

歌唱終了後、アユニが「今から少し、BiSHについてお話させてください」と語り始める。

アユニは震える右手を左手で押さえながら、メンバーやスタッフ、清掃員への感謝を述べ、「これからもBiSHが人生の一部って思ってくれたり、生きがいと思ってくれる人がいてくれるように頑張っていきたいです。」と今後の活動への決意を伝えてくれた。

リンリンはツアー中に不安から、理由がわからないまま涙を流してきたが、幕張のステージで、宝物であるBiSHの楽曲を披露できた喜びを話す。そして「明日からは幕張メッセに立ったBiSHを見下せるくらいにまた新しく一歩一歩進んでいきたいと思います。」と心強い言葉でメッセージを締めくくった。

ハシヤスメは10年前から芸能界を夢見て挑戦し続けるも、日の目を見なかった日々のことを語る。そんな経緯を経て「BiSHに入れて、この人と活動できていることは奇跡だなと思っています。」と言葉を紡いだ。

アイナは活動当初、振り付けを自分がしなければいけないことに不満を持っていたことを語る。しかし現在は「誰にもやらせたくないくらい、私が全部やりたいって思ってて。それは例えばモモコがちょっとドジくさい踊り方をするんですけど、それがどうしたらもっと愛おしく見えるかなとか、チッチはいつも芯でいてくれるから、いっつも大黒柱みたいな存在感のある立ち位置にしたいなとか自然とそんなことばっかり考えてて、すごい振り付けさせてもらって嬉しいです。だからこんなに大好きなメンバーと、歌とダンスしかないと思ってた私の人生で幕張メッセに立てて本当に嬉しいです。BiSHに出会ってくれてありがとうございます。」とメンバー、ファンへの愛を伝えた。そして「私をアイナ・ジ・エンドにしてくれた渡辺さん、松隈さんに向けて今ここで言わせて下さい。本当にいつもありがとうございます」とプロデューサーの渡辺淳之介、楽曲を手がける松隈ケンタへも感謝を述べた。そして最後に「私ここで止まりたくないです。今の音楽業界でBiSHは圧倒的な存在になりたいです。それに、アイナ・ジ・エンドも圧倒的になりたいです。清掃員の人たち、行けるところまで一緒に行ってください。宜しくお願いします。」と決意の言葉で結んだ。

【ライブレポート】楽器を持たないパンクバンド・BiSHが幕張に集まった7000人の清掃員を魅了し会場が一体に!「きっと巡り合った僕らは奇跡なんだ」  画像 5/5



モモコは中野heavy sick ZEROでの、BiSH初のワンマンライブで、80人を前にステージに立った時、自分の不甲斐なさに泣きながら家に帰った日のことを振り返る。


「素人だから人前に立つことで馬鹿にされるし、その分たくさん傷つくし、しかも他のメンバーに比べても人一倍努力しなきゃいけないことがたくさんあるなと思ったんですよ。その時渡辺さんに辞めますって言って簡単に辞めちゃうこともできたと思うんですけど、でも中野heavy sickから帰ってる時にBiSHを辞めたいって気持ちよりもBiSHのことが好きだって気持ちの方が大きいことに気づいて。このままBiSHとして人の前に立って苦悩することもあると思うけど、BiSHが好きだって気持ちは誰にも負けないから、BiSHから逃げないで喰らい付いて、日々目の前のことに集中して精一杯やってきたつもりなんですよ。で、気づいたら中野heavy sickのワンマンの時からは考えられないくらいたくさんのお客さんの前に立ててることが幸せです。ありがとうございます。」
そして「私はあの時と変わらずBiSHが大好きですこれからも宜しくお願いします」とメッセージを締めくくった。

チッチは人前に立つと思うように気持ちが伝えきれない自分が大嫌いだったと話す。

「でもカッコ悪い自分も認めて、それでも大丈夫だって思って生きていこうと思いました。そう思わせてくれたのは清掃員が毎回本気でぶつかってきてくれて、どんどん愛おしいものが増えていって、それはBiSHこの6人で私の居場所をつくってくれるからだなって思います。」


そして「このツアーファイナル幕張メッセBiSHチームの愛の結晶だと思っています。」とBiSHに関わる全ての人に感謝を伝える。

「いまBiSHが誰かの生きる理由や毎日の憂鬱を吹き飛ばす味方になれていたとしたら、そういう仕事ができて幸せです。私自身も音楽に元気をもらって、明日も生きてやろうって思うことがあります。だからこの6人でこれからも最高の音楽を届けていきたいです。今日はここ、幕張メッセにこの6人で約束を果たしに来ました。でもBiSHはまだまだ止まりません。最高のその先に行くことを、約束します。」

『プロミスザスター』が披露され、会場には星型のカードが舞い落ちる。

「きっと巡り合った僕らは奇跡なんだ」

今日ここに7000人が集まった奇跡、本当に今のBiSHならどこへでも一緒に行けると、会場の誰もがこの瞬間信じたに違いない。

そして最後に”生きててよかったというのなら”をステージに残し、大成功のツアーラスト幕張公演は終幕。

BiSHから脱退したユカコラブデラックス、ハグ・ミィを含む、関係者のエンドロールを背に、BiSHはステージの奥へ去っていった。

(取材・文:樋熊涼)

2017年7月22日(土)幕張メッセ 幕張イベントホール
BiSH NEVERMiND TOUR RELOADED THE FiNAL “REVOLUTiONS“
セットリスト
M1. オーケストラ
M2. 社会のルール
M3. DEADMAN
M4. Marionette
M5. ウォント
M6. 本当本気
M7. DA DANCE!!
M8. ヒーローワナビー
M9. VOMiTSONG
M10. Nothing.
M11. スパーク
M12. サラバかな
M13. ALL YOU NEED IS LOVE
M14. MONSTERS
M15. OTNK
M16. beautifulさ
M17. GiANT KiLLERS
M18. BiSH-星が瞬く夜に
M19. BUDOKANかもしくはTAMANEGI
M20. プロミスザスター
M21. 生きててよかったというのなら

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