LUNA SEAが5月27日(土)、28日(日)の2日間にわたり、武蔵野の森・総合スポーツプラザ・メインアリーナで『THE BEST OF LUNA SEA 2023』を開催した。コロナ禍による中断・順延、そしてRYUICHI(Vo.)の声帯手術による一時活動休止と試練を乗り越えてきたLUNA SEAが巻き起こす記念すべき2023年一発目のライブは、「BEST」の名にふさわしい内容となった。SLAVEたちを熱狂させたDay1「A Rosy Show」の盛り上がりをお届けする。
3階席までSLAVEたちで埋めつくされた満席の武蔵野の森・総合スポーツプラザ・メインアリーナ。機材トラブルにより開演時間が遅れたものの、待っていましたといわんばかりの手拍子とともに、ついに声出し解禁ライブがスタートした。
LUNA SEA「『THE BEST OF LUNASEA2023』Day1 -A Rosy Show-」(撮影:田辺佳子/上溝恭香/清水義史) 画像 2/8
走馬灯のように流れる映像が映し出され、さらに手拍子が大きくなったところで爆発音からの「ROSIER」は、まさにDay1「A Rosy Show」の幕開けにふさわしい楽曲だろう。RYUICHI(Vo.)の力強い歌声にのせて、SUGIZO(Gt/Vn./Cho.)とINORAN(Gt/Cho.)のギター、J(Ba./Cho.)のベース、真矢(Dr.)のドラム……紅に染まるステージの中でLUNA SEAとSLAVE、場内にいる全員の思いがあふれだす。
「いくぞ、武蔵野!スタンドのヤツも!アリーナのヤツも!飛ばしていくぞー!!」RYUICHIの雄叫びに続く2曲目は、こちらも不動の名曲「TONIGHT」。SLAVEの熱い思いを感じたのか、RYUICHIも両手を大きく広げて「カモン!」と煽りながら歌い上げた。ひと息ついたところで「今夜は声出し解禁じゃん?最初から最後までおもいきり盛り上がっていこう!最高の夜になると思います!」とあらためて声出し解禁を宣言。約3年間ずっと待ち望んでいた「声を出す」という当たり前のことができる、その感動に既に今の時点から涙ぐんでいると語るRYUICHIを見てもらい泣きしたSLAVEもきっといるであろう、そこまでに感極まりない「新生LUNA SEA」が誕生する瞬間だった。
LUNA SEA「『THE BEST OF LUNASEA2023』Day1 -A Rosy Show-」(撮影:田辺佳子/上溝恭香/清水義史) 画像 3/8 LUNA SEA「『THE BEST OF LUNASEA2023』Day1 -A Rosy Show-」(撮影:田辺佳子/上溝恭香/清水義史) 画像 4/8
LUNA SEAの歴史を語るのに外せない名曲が続く3曲目はROSIERと同時期に発売された「TRUE BLUE」。デビュー当時から変わらないRYUICHIの艶のあるボイスは言うまでもなく健在!声帯が不調だったことを吹き飛ばすような力強い歌声に酔いしれたところで「END OF SORROW」が流れ出す。SUGIZOとINORANのギターが唸りを上げながら盛り上げていく激しさと静けさが融合した絶妙な緊張感を生み出すサウンドは流石の一言。「みんな一緒に!」と声がけしながら、SLAVEたちの感情を一気に爆発させた。
「SHINE」を歌い終えたところでお待ちかねのトークタイム。どんな曲が聞きたいのかメンバー全員で話し合いながら選曲した今回のライブは、THE BEST OF LUNA SEAというタイトルに相応しい、絶対に「ベスト」になると信じて選んだ楽曲たちとRYUICHIが語る。昔からLUNA SEAを知る人、今日初めてライブに来た人、全員に楽しんでもらえるよう考え抜いたのが今回のライブだ。「たくさんの人の心を掴んできた曲じゃないかな。」その言葉とともに響き渡ったのは、メンバーが本気で選んだ楽曲のひとつ「IN SILENCE」。1996年、約1年間の活動休止となる前に発表された作品は、イントロからバツグンの存在感だ。INORANとRYUICHIが背中合わせになって、SUGIZOとRYUICHIが顔を寄せ合って作り出すメローなサウンドに酔いしれながら「gravity」へと続いていく。
そしてライブ中盤のハイライトといえば、SUGIZOの繊細で美しいバイオリンの音色。なんともいえない摩訶不思議なサウンドは言葉にならない感情を揺さぶるチカラがある。幻想的なバイオリンの演奏が終わると、「今日はA Rosy Showということもあって、こんな曲を用意しました。」と次の楽曲へ。SLAVEたちに伝えるRYUICHIの言葉とともに響き渡るのは、ライブだからこそ拝めるアコースティックバージョンの「RAIN -Acoustic Version-」だ。今ここにいる瞬間に感謝したくなる、そんな思いが込められた拍手と声援が送られた。
LUNA SEA「『THE BEST OF LUNASEA2023』Day1 -A Rosy Show-」(撮影:田辺佳子/上溝恭香/清水義史) 画像 5/8 LUNA SEA「『THE BEST OF LUNASEA2023』Day1 -A Rosy Show-」(撮影:田辺佳子/上溝恭香/清水義史) 画像 6/8 LUNA SEA「『THE BEST OF LUNASEA2023』Day1 -A Rosy Show-」(撮影:田辺佳子/上溝恭香/清水義史) 画像 7/8
スピーディーに展開されていくライブだが、ここでまた個性溢れるメンバーの底力が見せ場となるのがLUNA SEA。赤い一筋のレーザーから登場したのは、着物を羽織った真矢。お囃子という和の空間に、まるで和太鼓のような感覚でドラムを叩き入れるようなパフォーマンスは圧巻!場内からは真矢コールが沸き起こり、手拍子で煽られると「もっと来いよー!」「まだまだいけんだろ!?」と大絶叫。数年ぶりに聞くSLAVEたちのリアルな声に感動を見せながら「最高な忘れられない1日にしようぜ!」と笑顔で伝えた。途中、言葉のいい間違えなど真矢らしいお茶目な一面を見せながらも、「本当にこういう日が迎えられて嬉しいです!お前ら最高にカッコいいぞ!!」と声出し解禁の感動を噛み締めた。
真矢に続いて魅せてくれたのは、超絶ロックサウンドで沸かせたJのベースソロ。疾走感溢れる激しい音で場内を煽りながら「いくぞ!」とオイコールをかましていく。「すげーなオイ!!3年3ヶ月ぶり!声出し解禁です!ぜんぜん違うぜ!!」と声出しの喜びを伝えた上で「真矢くんと目を合わせながら目をうるうる、感動しています。」と目を潤ませているリアルな感情を語ってくれる姿にSLAVEたちも思わずウルウル。「3年間いろいろあった。だけど皆それぞれペースがある。どんどん燃え上がっていこうぜ!いけるか!?」真矢のドラムとJのベースにのせて、RYUICHI、SUGIZO、INORANが再び現れ、ステージに集結。「INTO THE SUN」を熱唱すると、「思いきり盛り上がっていこうぜ!いけるか!?」とRYUICHIが叫び、「STORM」「DESIRE」「JESUS」へと盛り上げを見せていく。バックスクリーンに映し出される映像には、A Rosy Showに相応しい薔薇が映し出されていた。
「武蔵野の森!もう一丁いこうか!?」キャッチーなメロディが印象的な「BELIEVE」をSLAVEたちと一緒に大合唱すると、RYUICHIも大満足。「おまえら最高!!」と雄叫びをあげて全楽曲を歌い終えた。
まだまだ終わらないLUNA SEAライブ後半は、SLAVEたちの手拍子ではじまるアンコールタイムから始動。薔薇を彷彿させる真紅に染まったステージにメンバーが登場すると「真矢先輩、赤が似合いますな!」とRYUICHIが笑いを取る場面も。LUNA SEAを代表するバラード曲「I for You」をお披露目したところで「機材トラブルで時間が押しちゃってごめんね!」と伝えたところでINORANからメンバー紹介がスタートした。
「盛り上がっていますか?」とSLAVEを鼓舞しながらも「やべ、泣いちゃいそう!!」と今の気持ちをリアルタイムでINORANがコメント。そして宇宙一のギタリストと紹介されたSUGIZOが語るのは「帰ってきた」ということ。「LUNA SEA、そしてSUGIZO、帰ってまいりました。」どこまでも丁寧に、潔く。これからさらに突き進んでいく、今日はその門出だと語った。これからLUNA SEAが発信していく新しい感覚・価値観を届けていきたいという思いを胸に「最高に愛しいです。ありがとう!」と伝えた。自ら言っちゃう!と遊び心たっぷりの自己紹介をしたRYUICHIも新しい聖地が生まれたこと、前に進むだけ!と力強く語る。地方公演で歌えなかった会場があることを悔やみながらも、新しい歴史を創るポジティブな姿勢が伝わってきた。これまでの言い知れぬ思いがあるのか、俯いていたJも「3年間コロナを探していたんだけどね!見つけたらぶっ飛ばしてやろうと思ってた!」と力が有り余っている様子。そのパワーに負けじとブチかましてくれたのが「ドラム真矢!」からの真矢コール。「俺たちのライブにはお前たちの声が絶対に欠かせないってわかったぜ!おまえらちゃんとついてこいよ!」コロナを経て新生LUNA SEAと明言しながらも変わらないメンバー同士の和気藹々とした雰囲気はトークでも絶好調。メンバー同士の会話にSLAVEたちも笑顔であたたかい拍手を送った。
LUNA SEA「『THE BEST OF LUNASEA2023』Day1 -A Rosy Show-」(撮影:田辺佳子/上溝恭香/清水義史) 画像 8/8
注目のアンコール2曲目「Dejavu」では昔の映像がバックスクリーンに流れるという演出も。新生LUNA SEAを宣言しながら流してくるのだからずるくて愛しい。「もうちょいいこうか!武蔵野の森、おまえら全員でかかってこい!」から繰り出された「WISH」は狂気で繊細なLUNA SEAの新たな一面を見せてくれる明るくポップな楽曲。その反面「失くしたすべてに」という歌詞がコロナ禍の思いを綴りながらも前向きなメッセージを含んでいるような気もする。
「俺たちのベストライブどうだった?」LUNA SEAとしてずっとやってきた曲だけど、いつも新鮮で新しい。そんな思いが凝縮されたライブであることを伝えつつ「俺たちはまだまだ止まらない!今年はガンガン飛ばしていきます!」とあらためて未来に向けての思いを宣言。最後を飾る楽曲は、きっとSLAVEたちも待ち望んでいたであろう特別な曲。「俺たちの想い、しっかり受け止めて帰ってくれよ!」というRYUICHIの言葉から流れたアンコール曲「Crazy About You」がラストソングとなった。ここからまた新しいストーリーが始まるという確信を持ったTHE BEST OF LUNA SEA 2023初日、「みんなとひとつになって帰りたいと思います。」と言い放ちメンバー全員が手を繋ぐ。SLAVEたちも手を繋ぎ、大ジャンプをして「愛してるよ!!」という魂の叫びで幕を閉じた。約3年ぶりの声出し解禁ライブは、新しいLUNA SEAがはじまる第一歩であり、SLAVEたちとのつながりを再確認した一夜となった。