黒いスーツに白シャツ。モノクロでスッキリとまとめて大人の色気を醸し出し、ステージ中央にすっと佇むのは平井堅だ。右手にはボリュームたっぷりのカラフルな花束をがっしりと持ち、降ろしたその腕の先で花は俯いていた。
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アコースティックギター1本というシンプルなステージからの1曲目は「ノンフィクション」。続いて、カフェにあるような高めの椅子に難なく腰掛け、「魔法って言っていいかな?」を熱唱。柔らかなオレンジ色のライトに照らされた観客席は、平井の持ち味であるキーが高く暖かみのある歌声にうっとりと聴き入った。
「みなさん立ってくださってるんですか?着席していただいて。…ずっと葬式みたいな曲が続くので。なかなか立ってるのも大変なので、座ってください。」と、曲とは対照にポップなトークで笑いを誘った。
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今年で18回目になる「J-WAVE LIVE SUMMER JAM」。
平井は毎年出演しており、イベントの前日に、どんなお客さんが来るのかを想像するという。今回、想像できたことは「ベテランとニューカマーがいる。」ということ。さらに、平井と同年代・同性も参加するのではないかと考えているうちに、「ますますわからなくなってきて。考えれば考えるほどカオスになってきて。わからないこと=恐怖。」と、音楽に真剣に向き合うストイックな一面を見せた。
「もうちょっと歌います。」
手の上下で音程をとりながら歌い上げた「楽園」。間奏ではピアニカが加わり、どこか懐かしい雰囲気漂う空気に包まれた。4曲目「君の好きなこと」は、ピアノ伴奏から始まった。コンガを中心としたパーカッションや、コントラバスなどの楽器が加わり、そこに平井の声がふんわりと乗る。
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「あまりの緊張で忘れていました。恒例のことやっていいですか。」と前置きし、「今宵も全身全霊で歌うので、最後まで受け止めてくれ。boys&girls!」とコールした。
すると、「ケンちゃん、ファイト!」と会場から男性の声。それを受けて、平井は「『ケンちゃん、ファイト!』っていうのは…今日イマイチってこと?」と切り返し、「…いいよね?」と会場に確認し、暖かい拍手を受けた。さらに「かっこいいー!とかないの?」と会場を煽り、会場全体からの「かっこいいー!」コールを全身に浴び、平井はひとこと笑顔で返した。「ありがとう。知ってる。」キレキレのトークを展開した。
緑色のサロペットと小さな帽子を身に付けたモグラとタヌキの着ぐるみがステージに登場し、ステージの印象は一変。軽快で明るい「POP STAR」を披露した。カメラにグッと近づきピースサインをしたり、身体を軽くシェイクしたり、平井の可愛らしさ全開だ。
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平井はピアノの前に座り、弾き語りに挑戦。流れてきたのは、次に登場するSuchmosの「STAY TUNE」だ。会場の温度がグッと上がった。しかし、演奏はワンフレーズのみ。「…ウソ♡」と愛嬌たっぷりにひとこと。平井のサービス精神に会場はメロメロだ。
「人は皆、存在するだけで美しい・素晴らしい。そのままで素敵、そのままでいてください。」と曲に込めたメッセージを言葉にして届けた。ここからは本当の弾き語りだ。ゆっくり息を吸い込み、歌い始めたのは「LIFE is…」だ。しっとりとした和音が連なる。最後はピアノの前に立ち、頭の上で大きく手を振り、一礼してステージをあとにした。
(取材/文:村松美紀)
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J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2017 supported by antenna*
平井堅セットリスト:
M1:ノンフィクション
M2:魔法って言っていいかな?
M3:楽園
M4:君の好きなこと
M5:POP STAR
M6:LIFE is…
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