TVアニメ『マクロスΔ』から誕生した戦術音楽ユニット・ワルキューレ。その8年間の歴史を色濃く詰め込んだ、ワルキューレ単独公演としてはラストとなる熱狂のツアー『ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~』の千秋楽公演が6月4日(日)千葉・幕張メッセ 国際展示場 1-3ホールで行われた。8年間分の「ありがとう」という感謝の思いを、余すことなく、“瞬間完全燃焼”で伝えきった、エネルギー溢れるライブ公演当日の模様をレポートする。
『ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~』千秋楽公演の様子(写真:羽田誠、原田捺未、等々力菜里) 画像 2/11 『ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~』千秋楽公演の様子(写真:羽田誠、原田捺未、等々力菜里) 画像 3/11 『ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~』千秋楽公演の様子(写真:羽田誠、原田捺未、等々力菜里) 画像 4/11 『ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~』千秋楽公演の様子(写真:羽田誠、原田捺未、等々力菜里) 画像 5/11
TVアニメ『マクロスΔ』銀河系最強の戦術音楽ユニットとして誕生したワルキューレは、 美雲ΔJUNNA、フレイアΔ鈴木みのり、カナメΔ安野希世乃、レイナΔ東山奈央、マキナΔ西田望見の5人組。8年に及ぶ活動も、約7万4千人を動員し過去最大規模となる今回のアリーナツアーで一旦、一区切り。5月からスタートしたツアーもいよいよ千秋楽ということで、開演前から会場内は凄まじい熱気に包まれていた。『マクロスΔ』の主人公であるハヤテ・インメルマン(CV.内田雄馬)のアナウンスで幕を開けたライブは、まずは劇中でもハインツの歌担当として美しい歌声を披露しているメロディー・チューバックが登場し「オーラ・サーラ〜光る風〜」を厳かなムードで届けた。スクリーンには5人のキャラクターが映し出され、オーディエンスがペンライトで応えるとステージにワルキューレのメンバーが登場。1曲目の「一度だけの恋なら」は緊張感もありつつ、安定感抜群の歌唱力を披露し、5人の声が重なっていくと会場のボルテージも少しずつ上っていくのが感じられた。彼女たちの凛としたパフォーマンスは、このツアーで培ってきた力と、ラストミッションへの想いを強く感じさせるものだった。
フレイアΔ鈴木みのりが「泣いても笑っても最後だよー!みんな楽しむ準備はいいんかね?」と叫ぶと、「ルンがピカッと光ったら」へ。明るくポップなムードの中でレイナΔ東山奈央が「みんなで燃え尽きるぞー!」と観客を煽り、客席はそれにペンライトを振り上げ大歓声で応えた。美雲ΔJUNNAの気迫に満ちた歌声が響いたロック+歌謡曲テイストの「破滅の純情」や、5人の巧妙なコーラスワークが心地良すぎる「絶対零度θノヴァティック」など、ワルキューレの魅力溢れるTV版主題歌を序盤から次々と披露。「唇の凍傷」ではアリーナ最後方のステージにメンバーが登場し、ひとりずつトロッコに乗り込んで場内を回るなど、嬉しい演出も盛りだくさん。MCではカナメΔ安野希世乃が「地球の皆さん、幕張メッセへようこそ!大きな歓声ありがとうございます」、マキナΔ西田望見は「最後の最後まで皆さんの心をひとつにして行きましょう」と、それぞれのキャラクターになりきって挨拶した。
『ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~』千秋楽公演の様子(写真:羽田誠、原田捺未、等々力菜里) 画像 6/11 『ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~』千秋楽公演の様子(写真:羽田誠、原田捺未、等々力菜里) 画像 7/11 『ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~』千秋楽公演の様子(写真:羽田誠、原田捺未、等々力菜里) 画像 8/11 『ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~』千秋楽公演の様子(写真:羽田誠、原田捺未、等々力菜里) 画像 9/11
中盤以降は「Walküre Attack!」でメンバーが100mはあろうかという長い花道を走り回りながら歌ったり互いに抱き合ったりして、5人の絆を感じさせるパフォーマンスを繰り広げた。西脇辰弥(Band Master, Keyboards)、佐野康夫(Drums)、BOH(Bass)、黒田晃年(Guitar)、外園一馬(Guitar)、篠崎恭一(Manipulator)といった長年ワルキューレのライブを支えてきたメンバーによる激しいバンドサウンドと共にカオスな盛り上がりを見せていく。そして「歌で銀河を救う」ワルキューレとは対極の存在として『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』に登場したYami_Q_ray(ヤミキューレ)の曲「Glow in the dark」を闇雲ΔJUNNAが熱唱。ダークな世界観とロックで壮大なナンバーを歌い上げる様はゾクゾクするほどのカッコ良さだった。
本編終盤、純白を基調にそれぞれのキャラクターカラーをあしらった衣装にチェンジした5人は、最後の一瞬一瞬を全力で楽しもうとする凄まじいボルテージを感じさせるパフォーマンスで、「ワルキューレがとまらない」「ワルキューレは裏切らない」「ワルキューレはあきらめない」を立て続けに披露。パワフルに会場を揺さぶる5人の歌声にオーディエンスも大きな声やジャンプで応えると、スクリーンにフレイアΔ鈴木みのりの満面の笑顔が映し出された。彼女が「これが最後の曲です!」と言うと「ルンに花咲く恋もある」をキュートなムードいっぱいに届け、最後にメンバーと観客全員でジャンプすると会場いっぱいにキラキラのテープが放たれた。
『ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~』千秋楽公演の様子(写真:羽田誠、原田捺未、等々力菜里) 画像 10/11 『ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~』千秋楽公演の様子(写真:羽田誠、原田捺未、等々力菜里) 画像 11/11
アンコールでは劇場版ソロ曲メドレーに突入。 美雲ΔJUNNAのパワフルボイスと他メンバーの元気いっぱいのコーラスの掛け合いでおなじみの「無限大DRIVE」、フレイアΔ鈴木みのりの渾身の歌声が切実に響く「風は予告なく吹く」、カナメΔ安野希世乃の優しく清純な雰囲気に包まれる「キキワケナイ!」、トロッコに乗ったマキナΔ西田望見のきゃわわで唯一無二の世界観を堪能した「マダマニア」、レイナΔ東山奈央のエアリーな歌声が光る「キズナ→スパイラル」。続く「愛してる」ではフレイアΔ鈴木みのりの歌声にワルキューレのメンバーとファンのみんなへの愛と感謝が込められていて、大きなアリーナを満たした。それはまさに祈りの歌だった。曲が終わりMCに入ろうとするも涙腺が崩壊したカナメΔ安野希世乃が「ちょっと整わせてもらってもいいですか!」とタオルで涙を拭うシーンも。これまで本編MCではキャラに扮して言葉を発していたメンバーだが、ここからは個人の想いをひとりずつ語っていった。
安野希世乃「この黄色いペンライトの海もしばらく見られなくなっちゃうと思うと少し寂しいです。最終日は完売、全6公演のファイナルライブツアーにおつきあいいただきありがとうございました。ワルキューレのメンバーは、ただの同業者でも友達でもないソウルメイトみたいな、かけがえのない特別な間柄です。ちなみに作品の中でワルキューレは何年に結成されたかご存知ですか。2063年に結成され、2067年にこの5人になりました。今の私たちから見て、まだ先の未来でワルキューレの音楽は鳴り響いています。まだまだワルキューレの歌は過去になりません!これからもどうか、ワルキューレの音楽を地球で聴き続けてくださいね!」
東山奈央「私は結成当初からそれぞれの感性を持っているみんなのMCを聞くのが大好きでした。そんな感性豊かなみんなと肩を並べて活動ができて幸せです。千秋楽は泣いちゃうかなと思ったけど、会場でみんなを目の前にすると楽しくて。解散でも卒業でもない、私たちは一生ワルキューレです。また招集がかかるのを楽しみに待っています。本音を言うと、終わりたくないです。だってワルキューレはこんなにカッコ良く踊れるようになったし、どこまでも行けると思うから。でも寂しいと思うのと同じくらい幸せです。また絶対に会いましょう!」
西田望見「今日はヤダマキナ、ヤダマキナって声をかけてくれて嬉しかった!みんなありがとう。奈央ちゃんはマキナの相方でいてくれて、苦しかったときも励ましてくれて救われました、ありがとう。きよのんは私にとってマジで友達(笑)。つらい時にいっぱいいっぱいで風船みたいになった私にプスッと小さい穴を開けてくれました。JUNNAちゃんはいつも可愛くて、でもステージに立つと体が痺れるような歌を歌ってくれて恋に近いくらいときめかせてもらってます!みのりちゃんの歌声はすごく刺激を受けるしライブでの歌声が本当に大好き。すごく楽しかったし、楽しいだけじゃなかったけど、でも5人だから、そして何より、ファンの方がいてくれたから乗り越えられました!」
JUNNA「私を美雲に選んでくれた全ての方に感謝の気持ちでいっぱいです。ステージに立たせてくれて、応援してくれている皆さんのおかげで美雲になれたし、小清水さんにもありがとうございますという気持ちを伝えたいです。最後の影ナレでは、小清水さんが「最後のセリフは、6人でワルキューレだから、一緒に言おうね!」と言ってくださって、私も一緒に言わせていただきました。私にとってワルキューレはずっと『おうち』なんです。またここに帰ってきたいし、いつまでもこの5人で歌っていたいです。ここにいるみんなにも、たくさんありがとう。またいつかどこかで絶対会いましょう!」
鈴木みのり「8年間、フレイアを演じてきました。今すごく幸せで楽しかったなって心から思います。振り返れば、もっと早く次のマクロスシリーズにバトンを渡すはずでしたが、みなさんのおかげでここまでくることができました。これはマクロスの長い歴史の中でもΔが誇っていいことだと私は思っています。私はいつしかフレイアに憧れるようになりました。これからも、小さな変化や出会いを胸に抱きしめて進んでいきます。歌とお芝居が大好きなのでこれからも宜しくお願いします。ラストなんて実感ないけど、ありがとう!また会う日まで」
それぞれが想いの丈を語り終えると、フレイアΔ鈴木みのりが「皆さんの温かい思い出になるように、最後まで歌います」と「りんごのうた」をアカペラで歌い始めた。続く「ALIVE〜祈りの唄〜」を美雲ΔJUNNAが感極まった表情で歌えば、忘れられない光景が、またひとつずつ胸に刻まれていく。バンドの音と、4人の声も加わり、会場のみんなと手を振りあう美しいフィナーレ。「宇宙のかけら」を歌いながら、このライブ中ずっと広いアリーナを縦横無尽に駆け回った5人が、少しずつ中央に歩み、ひとつになる。向かい合って歌い、そして抱き合ったシーンは、これまでの彼女たちが共に歩んだ年月の全てを物語っているように美しく輝いていた。最後の最後は、鮮やかに華やかにポップに「恋! ハレイション THE WAR」。人を元気にする歌声を届け、爽やかなパフォーマンスでワルキューレの5人はその任務を締めくくった。「きっとまたいつか、地球で!」とカナメΔ安野希世乃。「また絶対、会おうね!」と美雲ΔJUNNA。そしてフレイアΔ鈴木みのりが「ワルキューレは永遠!」と叫ぶと大歓声が沸き起こった。メドレーも含め全31曲、4時間超えでワルキューレがみんなに歌を届けきった、完全燃焼のラストミッションだった。
(ライブレポート:上野三樹 ライブ写真:羽田誠、原田捺未、等々力菜里)