6月14日、yutoriが東京 Spotify O-EASTにて行われた「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2023」に出演。6月2日に仙台・MACANAから始まったツアーのファイナルを飾った。
yutoriは2番手で登場。古都子のウィスパー混じりの静かな歌い出しから、迫力満点のエッジの効いたサウンドを叩きつける「音信不通」から。原曲よりもバンド感が格段に増した「センチメンタル」を終えると「ツアーファイナル、良い時間を。よろしくどうぞ」と手短に挨拶して「モラトリアム」に繋ぐ。囁いたり呟くような中低音の歌声に感じる深みからエモーショナルなハイトーンまで、卓越した歌唱力を発揮する佐藤に目が行きがちだが、何度も向かい合って呼吸を合わせながら演奏するバンド全体の音もパフォーマンスも、バンドの醍醐味を体現しまくっていて痛快だ。
即効性の高いサビで始まるキラーチューン「君と癖」を終えたところで、古都子のMC。ツアーが始まるまで「他の人といるのはしんどいな」と思っていたという彼女は、共にライブを重ねていくうち、他バンドのメンバーと食事に行ったりラウンドワンに遊びに行くまでになったことを語り、彼らを「大切な人たち」と呼んだ。そして、あと1曲演奏すると自分達の『列伝ツアー』は終わってしまう、まだ終わりたくないと声を震わせる。「わたしたちを『列伝ツアー』に出させてくれてありがとう」という叫びに大きな拍手が送られる中での最終曲「煙より」は、名残惜しさを轟音で押し包み、猛然とかつキレッキレに音を合わせていく名演であった。
(文=風間大洋)
「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2023」(写真:タカギユウスケ) 画像 2/2
「スペースシャワー列伝」 は、日本最大の音楽専門チャンネル・スペースシャワーTVが「ライブハウスを中心に活躍するインディーズアーティストを、ライブを通してその魅力を全国の視聴者に伝える」というコンセプトの元、2001年より行ってきたイベント。
次世代のロックシーンを牽引するアーティストの登竜門として20年以上の歴史を誇るこの『スペシャ列伝』の全国ツアーは、現在の音楽シーンの最前線で活躍しているアーティスト達を数多く輩出し、伝説的なライブを繰り広げてきた。
今年の列伝ツアーは、カネヨリマサル、帝国喫茶、プッシュプルポット、yutoriの4組が競演、今回は6月2日の仙台を皮切りに名古屋・大阪・福岡・東京の5ヶ所を巡り、6月14日、東京 Spotify O-EASTでファイナルを迎えた。