2023.06.18 公開
【ライブレポート】カネヨリマサル、「スペシャ列伝」ツアーファイナルをトリで飾る<スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2023>

カネヨリマサル(写真:タカギユウスケ)  画像 1/2

6月14日、カネヨリマサルが、東京 Spotify O-EASTにて行われた「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2023」に出演。6月2日に仙台・MACANAから始まったツアーのファイナルを飾った。

公演ごとに出演順の変わるこの『列伝ツアー』、ファイナルのトリはカネヨリマサルだった。ドラムセット前で集まって一言二言交わしてから、ライブはスタート。話す調子とあまり変わらない平熱なトーンでの弾き語りから始まる「ラクダ」で、3人の音が合わさった瞬間、低重心のバンドサウンドがズドンと放たれる。その迫力とは対照的にメンバーはみな笑顔をのぞかせながら、溌剌とプレイ。フックの効いた歌い出しと歯切れ良いギター、歌うベースにたくましいビートが一体となった「ひらりとパーキー」に続いては、リリースされたばかりの新曲「わたし達のジャーニー」へ。どの曲にも、ある種の人懐っこさとセンチメンタルが入り混じっていてクセになる。

ガラガラのライブハウスでやっていた時代から「わたしたちと一緒に戦ってきた曲」という紹介から「もしも」を、息の合ったアンサンブルと立体的なグルーヴで届け、後半へ。憧れのバンドがかつて出ていた『列伝ツアー』に出演するのが夢であったこと、それを実現できたことへの感謝を告げたちとせは、これからもずっと夢見て生きようと思う、それはカッコいいバンドでいること、カッコいいバンドをすることなのだ、と宣言。その言葉通りにストレートなギターロック「はしる、夜」まで、勢いよく駆け抜けいった。

来年以降の『列伝ツアー』に向け「音楽でバトンを渡して帰ります!」と、アンコールでは「グッドバイ」が演奏された。曲中、ちとせの「全員集合!!」の声に応え、他3バンドのメンバーが、ボーカル勢はマイクを、それ以外はタンバリンやマラカス、小さい太鼓など様々な鳴り物を手に登場。いつの間にかドラムがプッシュの明神竜太郎にチェンジしていたりと、祝祭感いっぱいのフィニッシュとなった。

同時代を生きる出演バンドたちが刺激しあい、仲を深め合ったであろうことは、アンコールでの光景やyutori・古都子のMCからも明らかだった。そして4組それぞれの個性と強みが存分に発揮され、「ワンマンだとどうなるんだろう?」と気になるライブばかりだった。きっとこれを機に新たなリスナーを獲得し、今後の活動への足がかりとなっていくことだろう。彼らの『いまこの瞬間』2023年の『列伝ツアー』はあっという間に終わりを迎えたが、それぞれのバンドストーリーはこれからも続く。まだまだ始まったばかりなのである。


(文=風間大洋)

【ライブレポート】カネヨリマサル、「スペシャ列伝」ツアーファイナルをトリで飾る<スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2023>「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2023」(写真:タカギユウスケ)  画像 2/2

スペースシャワー列伝」 は、日本最大の音楽専門チャンネル・スペースシャワーTVが「ライブハウスを中心に活躍するインディーズアーティストを、ライブを通してその魅力を全国の視聴者に伝える」というコンセプトの元、2001年より行ってきたイベント。
次世代のロックシーンを牽引するアーティストの登竜門として20年以上の歴史を誇るこの『スペシャ列伝』の全国ツアーは、現在の音楽シーンの最前線で活躍しているアーティスト達を数多く輩出し、伝説的なライブを繰り広げてきた。

今年の列伝ツアーは、カネヨリマサル、帝国喫茶プッシュプルポットyutoriの4組が競演、今回は6月2日の仙台を皮切りに名古屋・大阪・福岡・東京の5ヶ所を巡り、6月14日、東京 Spotify O-EASTでファイナルを迎えた。

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