2023.10.30 公開
水瀬いのり「Inori Minase LIVE TOUR 2023 SCRAP ART」公演オフィシャルライブレポート

水瀬いのり「Inori Minase LIVE TOUR 2023 SCRAP ART」Photo by:加藤アラタ(Kato Arata)、三浦一喜(Miura Kazuki)  画像 1/12

声優アーティストの水瀬いのりが、10月28日(土)、29日(日)、神奈川・ぴあアリーナMMで『Inori Minase LIVE TOUR 2023 SCRAP ART』を開催。

9月17日(日)兵庫・ワールド記念ホールからスタートし、宮城、愛知、福岡、神奈川と全国5か所、全6公演を完走した自身最大規模のライブツアー。

それぞれの楽曲が持つ世界観を1曲ごとアートに見立てたかのようなコンセプチュアルなステージに挑戦した、ツアーファイナルをレポートする。

オーディエンスをライブの世界へと誘うオープニングムービーでは、薄暗いスクラップ工場に佇む水瀬の姿が映し出された。

スクラップで作られた猫のT2(テツ)を追いかけ、工場の外へと飛び出していく。

その映像とリンクする形で、夜の街を表現したステージに出現した水瀬。

ツアータイトルにもなっている、9月13日にリリースされた12thシングル『スクラップアート』からライブはスタートした。

楽曲の世界観に合わせ、感情を抑えたようなボーカル。

 

 

曲の途中で、深く被っていたフードをはずし、リミッターを解除するような歌声を響かせると、会場のボルテージが一気に上がった。

2曲目の『identity』は夜の街に黎明が射し込み、夜明けとともに走り出す…。

そんな疾走感のあるナンバーだ。

バンドサウンドのパワフルな音に支えられ、オープニングから飛ばしていく水瀬。

 

水瀬いのり「Inori Minase LIVE TOUR 2023 SCRAP ART」公演オフィシャルライブレポート水瀬いのり「Inori Minase LIVE TOUR 2023 SCRAP ART」Photo by:加藤アラタ(Kato Arata)、三浦一喜(Miura Kazuki)  画像 2/12

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『brave climber』ではイントロから拳を振り上げ、力強いメッセージを1フレーズ毎に噛みしめるように歌い上げた。

大きな拍手と約4年ぶりの大歓声を受けながら、笑顔で挨拶をする水瀬。

今回のツアーでは、みんなを驚かせるようなことをしたかったという。

「自分にとって実りのあるツアーになっていると感じています。今日はその集大成として、みなさんと一緒にこの時間を楽しみたいと思います。みなさんも自分らしく、この場所にいることを楽しんでください!」と呼びかけた。

 

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ツアーのテーマは、廃材芸術。

不要な物から作り出されたアートという意味だが、水瀬はそれを日常の暮らしに置き換えたという。

諦めたり立ち止まったりしても、その経験が再生へとつながる…。

そんな思いを込めたツアーだということを、真摯に伝えた。

また、4年ぶりの声出し解禁ツアーということもあり、拍手だけでなく歓声でもコミュニケーションが取れるように。

アットホームな空間に包まれながら、「泣いても笑っても最終日、ツアーファイナル、神奈川スタート!」という合図で始まったのは、『僕らだけの鼓動』だ。

 

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リメイクデニムの衣装にチェンジした水瀬は、会えた喜びを1人1人に伝えるよう、ステージを端から端へと移動。

スペイシーなデジタルサウンドが特徴的な『クリスタライズ』では、クラップしたり声を出したり、一緒にライブを作っていく楽しみを思い出させてくれた。

ライブを支える『いのりバンド』の紹介を挟み、カラフルな水玉がアクセントになっているキュートなフワフワ衣装に着替えると、恋のときめきや戸惑いを描いた楽曲を2曲続けて披露。

 

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『アイマイモコ』では軽やかなステップと共に恋心をポップに、『運命の赤い糸』では大好きな人に向けた想いをメルティーボイスで歌い紡いでいった。

『くらりのうた』は、水瀬自身がデザインした公式キャラクター『くらりちゃん』のテーマソング。

「リラックスしながら、ゆらりゆらりと聴いてください」と紹介されたように、クラゲがモチーフとなっているくらりちゃんに合わせて、ふわふわと浮遊するような世界が会場全体に広がっていく。

 

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ファンも公式グッズの『くらりライトチャーム』を揺らして、ゆらゆら…。

じつは水瀬の衣装もくらりちゃんイメージで作られたもの。

目から耳から癒しを感じられた1曲だ。

ドラマティックな『あの日の空へ』で再び芯の通った歌声を聴かせた後は、水瀬が様々なアートに挑戦する様子を記録したムービーが会場に流れた。

会場ごとに異なるアートを完成させてきたそうで、この日は巨大絵画にチャレンジ。

真っ白なキャンバスにブルーの絵の具を広げ、伸び伸びと筆を走らせる水瀬画伯。

くらりちゃんを中心に不思議な生き物(?)が生息する「くらりの仲間たち」を完成させた。

ファイナルということで、全会場のアートの頭の文字をつなげると「スクラップアート」という文字になる…という伏線回収もあり、客席からは拍手が湧き上がった。

ライブ後半戦は『アイオライト』からスタート。

 

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アーティスティックな映像が投影された紗幕の向こうに、ハイチェアに腰掛けた水瀬の姿が。

艶めいた歌声とアイオライト色のタイトなミニのドレスが、楽曲の持つ妖しさをより際立たせる。

『クータスタ』ではギターのカッティングに重なる歯切れの良いボーカルと、私小説のような歌詞にドキリ。

独特の世界観を持つ2曲で酔わせた後は、エモーショナルな『TRUST IN ETERNITY』でライブの熱を一気に上げていく。

MCでも「次は皆さんとコール&レスポンスしたい1曲になっています。ここらで『ブチ上がるぞスイッチ』を入れてください!」と煽り、『約束のアステリズム』へ突入。

力強いイントロに呼応するよう、強く拳を突き上げるオーディエンスたち。

マイクを向けると、♪WOW WOW〜と声が返ってくる。

いのりバンドとともに中央に集まり、歓声に込められたパワーを一身に受け止める水瀬。

そのパワーを、すぐに自身のボーカルへと注ぎ込んでいく。

『Million Futures』で「せーの!」と呼びかければ、ライブの定番である観客からの「Million Futures」コールが!

力一杯の応援に「ありがとう!」と声を上げた。

まるでクライマックスのような熱気を帯びた会場。

だが彼女のアートはまだまだ終わらない。

 

 

オルゴールのネジを巻くような音が聴こえると、絵本に出てくるウィンター・ホリデーのようなイラストがステージに映し出された。

そこから飛び出してきたのは、真っ赤なジャケットにネクタイ、花のプリントがあしらわれたスカート姿の水瀬だ。

楽曲の頭文字から「WWWシリーズ」と呼ばれ、親しまれてきた『Well Wishing Word』、『While We Walk』、『Winter Wonder Wander』の三部作を、ついに連続披露!

絵本のページをめくるたび、季節が変わっていく…。

まるでミュージカルを見ているようなファンタジックな演出に、三部作の完成を心から喜ぶように歌う、伸びやかな水瀬のボーカルがステージを彩っていく。

気づけば空からは白い雪が降り、会場は幸せな空気で満ちていった。

WWWシリーズ三部作を始め、数々の楽曲たちをみんなの前で歌える喜びを、噛み締めながら歌ってきた水瀬。

「皆さんにも想いが届いているでしょうか?」と問いかけると、大きな拍手が帰ってきた。

「私自身、音楽に支えられて今日もこうして歌えています。これからもそんな想いを胸にライブをしていきたいと思えるのは、紛れもなく皆さんのおかげです」と感謝を伝えた。

「最後の曲は皆さんと一緒に完成させたい1曲です。最後の力、声を振り絞って、一緒にひとつになりましょう」と語り終えると、スタンドマイクを握り締め『僕らは今』を歌い出した。

 

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祈りをこめた声は、やがてオーディエンスの歓声と一体化。

今夜一番のコール&レスポンスが湧き上がり、最後はスクリーンに映し出された歌詞を全員で大合唱!

水瀬は両手を広げ、みんなの声を全身で受け止めた。

「いのりん!」というファンの熱いコールに応え、『くらりちゃんフロート』に乗って再登場した水瀬。

ツアーTシャツに着替え、アリーナ通路を滑走し『Morning Prism』『ココロはMerry-Go-Round』を歌いながら、ハンドサインでファンとコミュニケーションを楽しんだ。

ステージに戻った水瀬は、「みんなの笑顔に私も癒されました!」とニッコリ。

今夜のライブが11月25日(土)からオンライン配信されるという嬉しいお知らせを挟み、「今日という日を『最高だったね!』と締めくくりましょう!」と『Ready Steady Go!』を熱唱。

ファンはタオルを力一杯回し、水瀬もタオル片手にステージを自由に飛び回った。

そしてツアーファイナルを惜しむファンたちの「もう1回!」というラブコールに応え、Wアンコールも実現!

 

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ツアーを振り返り、チームいのりへの感謝の想いを語ろうとするのだが、瞳を潤ませて言葉に詰まってしまう。

チームいのりの前では弱音を吐けると呟いた水瀬に、温かい拍手と声援が飛ぶと、さらに涙…。

「弱音を吐くことも勇気だからね。でもライブを楽しい場所することができたのは、みなさんのおかげです!」と気合を入れ直し、『Catch the Rainbow!』を披露。

虹色カラーに光る照明とペンライトが、会場中の笑顔を輝かせた。

止まない大歓声に、すっかりパワーチャージ完了の水瀬。

「みんな、大好きだよー!」と、とびきりの笑顔を見せた。

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