DISH//が初の主催フェス『皿祭 -sarafes-』を11月12日に開催。
OKAMOTO’S、Novelbright、緑黄色社会、さくらしめじといったDISH//とゆかりの深いアーティストが、東京ガーデンシアターに集結した。
まずは、DISH//の所属事務所の後輩・さくらしめじがオープニングアクトとして登場した。
さくらしめじ〈皿祭-sarafes-〉©蜂須賀ちなみ 画像 2/8
温かい拍手に迎えられた彼らは、1曲目に「エンディング」を披露。
髙田彪我はエレキギターを奏でながら、田中雅功はアコースティックギターを奏でながら、力強くのびやかな歌声を早速会場に響かせた。
そうして挨拶代わりに1曲を届けると、ドラムのキックに誘われて客席から手拍子が発生。
2曲目の「My Sunshine」は、2人が息を合わせて奏でるイントロからギターへの愛着が伝わってきて最高だ。
歌声の熱量も高く、今日に懸ける気合いが伝わってくる。
彼らが『皿祭 -sarafes-』のオープニングアクトを務めることになったのは、DISH//の4人の希望があったからだそうで、MCでは
「ありがとうございます、先輩!」
とステージ上から感謝を叫ぶ場面も。
そして
「オープニングアクトということで、会場を温めないと匠海くんにぶっ飛ばされるので(笑)、いつも以上に盛り上がってもらえるとありがたいです」
と観客に伝えながら、ラストの「simple」へ。
「引き続き楽しんでってください!」と彼らがステージを去る頃には、会場の空気は完全に和らいでいた。
ここから本編スタートということで、幕間には、DISH//のメンバーが次に出演するバンドを紹介するVTRが放映された。
Novelbrightは、DISH//と同世代のロックバンド。
Novelbright〈皿祭-sarafes-〉©蜂須賀ちなみ 画像 3/8
仲間のフェスに呼んでもらえた喜びの表れか、1曲目「開幕宣言」からバンドの熱量は凄まじく、観客は強く腕を突き上げて彼らの演奏に応えた。
最初の3曲はアッパーチューン。
フロントマンの竹中雄大(Vo)は、「声出してこうぜ!」と声を掛けたり、遠い席の人に手を振ったりしながら歌っていて、ステージと客席の心の距離がグッと縮まった。
MCに入ると、
「初めての人が多そうな気がしますが、温かいですね」
と竹中。
DISH//とNovelbrightは最近イベントで一緒になる機会が多いが、竹中は特にDISH//の橘と仲がよく、橘について
「僕が作ったサラダをもぐもぐ食べてくれる」
「お酒を飲み始めると長い」
と暴露。
そんなMCのあとに披露されたのは、Novelbrightのヒット曲の一つ「愛とか恋とか」で、観客も手拍子したりリズムに揺れたりするなど、和やかなムードが生まれた。
さらに「面影」、「ツキミソウ」といったバラードをドラマティックに届けると、早くも残り2曲。
「こうして友達と言えるバンドができて、こうしてイベントに誘ってもらって、しかも初主催の1バンド目。光栄ですよ。ありがとうございます!」
と改めてDISH//に感謝を伝えた竹中は、
「明日からの日々がもっと最高のものになるように、ラスト2曲、思いっきりロックバンドしていきます!」
と宣言。
そして「ODYSSEY」、「Walking with you」を全身全霊で鳴らしきって有言実行。
「DISH//の友達、Novelbrightでした!」という去り際の一言が、爽快な余韻とともに会場に響いた。
■OKAMOTO’S
ここで、DISH//が『アニキ』と慕うOKAMOTO’Sが登場。
OKAMOTO’S〈皿祭-sarafes-〉©蜂須賀ちなみ 画像 4/8
彼らが最初に鳴らしたのは、DISH//ファンにもおなじみのギターリフ。
そう、なんと1曲目は、2017年にOKAMOTO’SがDISH//に提供した楽曲「僕たちがやりました」のセルフカバーだ。
これは嬉しいサプライズ。
さらに「90'S TOKYO BOYS」「Border Line」「Young Japanese」と曲数を重ねながら、肉体的なリズム&グルーヴで以って、観客の心をグッと掴んでいく。
確かな技術に裏打ちされた色気と少年のように無邪気な心が同居するアンサンブルを聴けば、DISH//がロックバンドとして彼らに憧れるのも分かる。
MCは、直前のVTRでDISH//がOKAMOTO’Sについて
「直属の先輩みたい」
「(DISH//は)昔からOKAMOTO’Sみたいなバンドになりたいって言ってくれている」
「ならなくていいよね?(笑)今のままで素晴らしい」
という会話からは、DISH//に向けた愛ある眼差しが伝わってきた。
そして、ショウがアコースティックギターを弾きながら歌うエバーグリーンな楽曲「Sprite」からライブ後半へ。
「SEXY BODY」では、ハマ・オカモト(Ba)のスラップ奏法や、ツービート&ギターリフとともに激しくなるアウトロに観客が湧き、「BROTHER」ではシンガロング発生の大盛り上がり。
ショウは観客に「素晴らしい盛り上がりです、ありがとう」
と伝えた。
「素晴らしい夜に、素晴らしい一日に、あと1曲贈りたいと思います」
とラストは「Beautiful Days」。
観客がバンドの演奏に身を委ねて揺れる中、客席からのシンガロングに対し、ショウが心からの歌を重ねていく。
その光景はあまりに美しく、DISH//へ、そして『皿祭 -sarafes-』へ極上のプレゼントが贈られた。
続いては、Novelbrightと同じくDISH//と同世代のバンド、緑黄色社会のステージ。
緑黄色社会〈皿祭-sarafes-〉©蜂須賀ちなみ 画像 5/8
DISH//は2021年に緑黄色社会の対バンツアーに出演しているため、お互いのイベントに出演し合う仲でもある。
そんな緑黄色社会は、「キャラクター」のカラフルなサウンドでスタート。
リズミカルなフレージングで手拍子を起こしつつ「Don!!」へ突入するなど、観客とのコミュニケーションを楽しみながら演奏を重ねた。
MCでは、直前のVTRでDISH//橘の『マブ』と紹介された小林壱誓(Gt)が「どうも、マブです」と挨拶。
さらに、長屋晴子(Vo/Gt)が
「同じロックバンドとして、同じステージに立てているのが誇らしく、嬉しい気持ちでいっぱいです。『皿祭』ということで、今日はお祭りだから、残り少ない時間も最高のお祭りにしていきましょう」
と語り、夏の情景を情熱的に描くバラード「マジックアワー」へと繋げた。
2023年を代表するサマーソングとなった「サマータイムシンデレラ」を終えると、ライブ後半に差し掛かる。
バンドのセッションが曲間を繋げる中、小林が「皿フェス、ぶっ飛ばしていくぞー!」と熱く咆哮して始まったのは「sabotage」。
各楽器がかち合いながら火花を散らす、ロックバンドならではのアンサンブルと、抜群のメロディが合わさって生まれるエネルギーは、向かうところ敵なしといった感じだ。
「超カッコいいから超聴いてね」と紹介した最新曲「花になって」のスリリングなアンサンブルも、観客の記憶に刻まれたことだろう。
そして、長屋が美しい歌声を響かせるライブアレンジに始まり、バンドメンバーのソロ回しで魅せた「Mela!」でフィナーレ。
熱くハッピーな空気を生み出し、DISH//にバトンを渡した。
トリのDISH//のステージは、「僕たちがやりました」からスタート。
DISH//〈皿祭-sarafes-〉©蜂須賀ちなみ 画像 6/8
DISH//〈皿祭-sarafes-〉©蜂須賀ちなみ 画像 7/8
奇しくも1曲目はOKAMOTO’Sと同じ。
と思いきや、矢部昌暉(Cho/Gt)の隣でベースを弾くハマ・オカモトの姿がカメラに抜かれる。
そう、この日はハマをサポートベーシストとして迎えた特別編成でのライブ。
DISH//メンバーの長年の念願が叶った形だ。
緑黄色社会・長屋からの提供曲「ニューノーマル」を含む3曲によるオープニングは、前へ前へと転がっていく、アグレッシブなテンション。
骨太のロックサウンドから伝わってきたのは、メンバー4人の抑えようのない感情。
きっと他4組のライブに刺激を受けたのだろう。
そんなことは音を聴いているだけでも伝わってきたが、北村匠海(Vo/Gt)の
「(共演者のライブを)4人でずっと袖で観てたんですけど、エネルギーヤバすぎて、自分らが(このフェスを)開いているのかってびっくりするくらい。いいバトンを繋いでいただいて」
という語り口にも興奮が滲んでいた。
ムーディーなサウンドで場の空気を一変させた、最新EP『HAPPY』収録曲「everyday life.」。
ライブで何度も歌われてきた曲だが、今日ならではの息吹を吹き込むような演奏がとても素晴らしかった「猫」。
さらに、観客がタオルを回しながら盛り上がる中、橘柊生(DJ/Key)が〈ほら こんな楽しい皿フェスは二度とないぜ〉と歌詞を替え、メンバー全員思いのままに楽器を掻き鳴らした「東京VIBRATION」。
矢部のギターフレーズ、そして重量とキレを兼ね備えた泉大智(Dr)のドラミングから始まった「勝手にMY SOUL」では、観客もバンドに負けないくらい思いきり声を出している。
極めつけは、北村の「やっちまいな!」をきっかけにした、矢部渾身のギターソロ。
〈あつくなろうぜ 夢みようぜ 待ったなし 人生謳歌〉といった歌詞も、今この瞬間にばっちりハマった。
熱狂の「KICK-START」を終えて、北村によるMC。
「中学2年でDISH//を結成して、少しずつ、いろいろなことをしながらDISH//という道を歩いてきましたが、僕らシャイなところがあるので、仲間と言える人、先輩と呼べる人になかなか出会ってこなかったんです。だけどDISH//という道を歩んでいるうちに、気づけば隣や前に、仲間、マブ、先輩、友達と呼べる人たちがいて。DISH//を続けてきてよかったなと心から思います。それはもちろん、みなさんのことも含みますし、こんなに愛のあるフェスを自分たちの主催でできていると思ったら……『何だこれ? きっと夢だな』って頬をつねってみたり。そんな時間がずっとずっと流れていました。みんなのこと、マジで愛してるぜ。ありがとう」
本編ラストは「HAPPY」。
「愛してるぜ!」という叫びとともに、ありったけの想いを届けた。
そして「おかわり」コールに呼ばれてのアンコールでは、「たくさんのありがとうを込めて」と「沈丁花」を披露。
ラストには、DISH//のライブで恒例の紙皿を客席に投げるパフォーマンスを出演者全員で行い、『皿祭 -sarafes-』を締め括った。
なお、DISH//は、12月2・3日にワンマンライブ『DISH// ARENA LIVE 2023 「HAPPY?」』をぴあアリーナMMで開催する。
今度はアリーナで、幸せな光景が繰り広げられることだろう。
DISH//〈皿祭-sarafes-〉©蜂須賀ちなみ 画像 8/8