12月9、10日の2日間に渡って、日向坂46のライブが神奈川県のKアリーナ横浜で開催された。これは8月〜11月にかけて行なわれたアリーナツアー「Happy Train Tour 2023」の追加公演で、本ツアーは全12公演で計14万人動員、Kアリーナ横浜2日間計4万人を動員。
初日の9日には一期生の潮紗理菜の卒業セレモニーも行われた。ここでは、ツアー最終日となった10日の公演の模様をレポートする。
冒頭、列車の車両を模したセットからメンバーたちが姿を現すと、アップテンポなダンストラックが流れる。開演から激しいダンスを繰り広げたメンバーたちは、キャプテン・佐々木久美の「行くぞー!」という掛け声をきっかけに、最新曲「君は0から1になれ」をパフォーマンス。グループのダンススキルを存分に見せる。続いてステージ上に月のオブジェが登場すると、齊藤京子がセンターを務める「月と星が踊るMidnight」を歌唱。ステージ側の壁一面が星空のように輝き、Kアリーナの空間を夜空の下のように変えた。
再び短いダンストラックを挟み、今度はアリーナ中央を横切るように設置された花道で「川は流れる」をパフォーマンスする。左右に大きく広がる会場の形に合わせ、横一列になって美しい行進とカノンダンスを見せた。
ここで最初のMCタイム。齊藤京子は、「(ツアー初日から数えて)12公演目ってことですよね。そう考えると寂しい気もするんですけど、今年最後のライブでもあるので、みなさんと最高の思い出を作りたいなと思います」と豊富を語った。続いて松田好花が、客席のブロックごとにコール&レスポンスを敢行。アリーナ、ローワー、ミドル、アッパーというKアリーナならではの呼称に加え、配信で観ているファンにも呼びかけた。
続くパートでは、日向坂46のデビューシングル表題曲「キュン」と2ndシングル表題曲「ドレミソラシド」を立て続けに披露。日向坂46の元気で若々しいイメージを決定づけた2曲に、会場のファンのコールも一段と大きくなった。
ここからは人気カップリング曲が続く。三期生がアップテンポの賑やかな曲「ゴーフルと君」で盛り上げると、青いドレス衣装に身を包んだ四期生が「シーラカンス」を披露。会場には水中の気泡を思わせるシャボン玉が飛ばされた。「恋は逃げ足が早い」では、金村美玖が「おひさま(日向坂46のファンの愛称)のみなさん、今日はツアーファイナルですよー! 過去一の声で盛り上げてください!」とあおる。ラストはキャノン砲で紙テープが発射され、会場をきらびやかに彩った。
続く「ガラス窓が汚れてる」では、列車の車両がリフトアップされ、センターの河田陽菜を始めとするメンバーたちが立体的にフォーメーションを変えながらダンスを披露。そして日向坂46の楽曲の中でももっともエモーショナルな「こんなに好きになっちゃっていいの?」で、全員一丸となった渾身のシンクロダンスを見せた。
ここで一〜三期生のメンバーがはけると、ステージ上に設置された車掌室に四期生の平尾帆夏が登場。「8月末からとても長いご乗車、ありがとうございます」と感謝を述べてから、四期生のメンバーからの質問を読み上げる。最年長の平岡海月からの「一生どちらかしか食べられないとなったら、お肉かお魚か、どちらですか?」という質問に対し、会場のファンは7割方が「肉」と答えた。さらに客席に向かって自身のキャッチフレーズ「ひら砲」を放つと、ファンが「わー」とのけぞる下りも行なう。他の四期生も制服姿で登場し、平尾のセンター曲「ロッククライミング」を爽やかな笑顔とともに歌った。
ここで「期待していない自分」のイントロが流れると、雰囲気が一変。懐かしい白デニム衣装を着た一〜三期生がステージに現れ、力強いパフォーマンスを行なう。この楽曲は、日向坂46の前身のけやき坂46(ひらがなけやき)時代にターニングポイントをもたらした一曲で、今回のツアーでは先輩たちの意志を受け継ぐように四期生が歌っていた。最終日のステージでは、センターの一期生・佐々木美玲を中心に、再び先輩メンバーたちが渾身のパフォーマンスを披露。楽曲の後半には四期生も合流し、全員で激しく踊った。まだ何者でもなかったけやき坂46が、自分たちの道を模索してもがいていた頃に戻ろうとしているような、メンバーたちの必死の表情が印象的だった。
日向坂46「Happy Train Tour 2023」写真:上山陽介 画像 2/7 日向坂46「Happy Train Tour 2023」写真:上山陽介 画像 3/7 日向坂46「Happy Train Tour 2023」写真:上山陽介 画像 4/7 日向坂46「Happy Train Tour 2023」写真:上山陽介 画像 5/7
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ここで四期生によるMC。先輩たちと一緒に「期待していない自分」を披露したことについて、藤嶌果歩は「先輩方のパフォーマンスを見て、やっぱり先輩方ってすごいなって思って、ずっと見させていただきたいなって思うような背中を見させていただきました」と言いながらも、「私たちも一緒に踊らせていただいて、これが今の日向坂46なんだよっていうのをみなさんに知ってもらえたらうれしいなって思って。今の日向坂46をみなさんに好きになってもらえたらいいなって思ってパフォーマンスさせていただきました」と語った。平尾は、先日活動を辞退した岸帆夏のことに触れ、「岸帆夏ちゃんの思いも込めて、これから(四期生)11人で頑張らせていただきます。よろしくお願いします!」と前向きに挨拶した。
さらに、四期生のあおり隊長こと清水理央が音頭を取り、客席のファンとコール&レスポンス。清水が「もっともっとこれからも、日向坂と高く跳んでくれますか!」と絶叫すると、観客は大歓声で応えた。
こうして熱気を帯びた会場にミラーボールが出現。ステージがディスコモードにチェンジしたところで、センターの小坂菜緒がお立ち台に上がり、ライブ定番曲「キツネ」を歌唱。大サビ前では、上階にも爆発の振動が伝わるような火薬特効が用いられた。そのまま「One choice」へと移行。怪我で休養中の丹生明里に代わって、四期生の正源司陽子がセンターを務めた。今回のツアーを通して正源司は代理センターを務めたが、四期生だけで行なった「新参者」公演を経て、この最終日では堂々としたパフォーマンスで成長を伺わせた。
そして再び四期生が全員登場。小西夏菜実が「もっと声出せるよなー!」とあおると、藤嶌がセンターを務める「見たことない魔物」へ。客席に向かって飛び出さんばかりの勢いで踊る。これを受けて、今度は一〜三期生が「青春の馬」をパフォーマンス。これも最近は四期生が歌っていた楽曲だが、今日は先輩たちが担当。後輩に負けないガッツと躍動感で客席を沸かせた。
ここからは全員がステージに上がり、「My fans」「NO WAR in the future 2020」とたたみかける。「NO WAR in the future 2020」のイントロでは、森本茉莉の「ラストスパート、もっと声出せー!」というアオリに続き、センターの斎藤京子が「全員で行くぞー!」といつになく迫力のある気勢を上げ、一丸となってパフォーマンスした。間奏では期別に激しいダンスを繰り広げ、最後は佐々木久美の「騒げー!」という絶叫で大サビに突入した。
ここまでで攻撃モード見せたメンバーは、アイドルモードに移行。白を基調にしたクリスマス仕様のコートを着て、クリスマスツリーの華やかな映像をバックに、キュート路線の「ホントの時間」を歌う。続く「アザトカワイイ」では、全員で客席に向かってボール投げを敢行し、日向坂46のライブらしくファンとのコミュニケーションを行なった。
本編ラストは最新シングル表題曲「Am I ready?」。センターの上村ひなのがバルーンに乗りこみ、2階席の高さまで上がって観客に手を振る。最後は上村が「ありがとー!」とカメラに向かってウインクをして締めた。
そしてアンコール明け1曲目は、全員で歌う「HEY!OHISAMA!」。佐々木久美の「ラスト、全力で行くぞー!」という声に続き、メンバーたちはステージと花道を移動しながら、会場中のファンとコミュニケーションを取った。曲中には富田鈴花が先頭になってコール&レスポンス。ステージ上で自由にはしゃぐメンバーたちからは、多幸感が溢れ出していた。
MCでは、加藤史帆が「歓声ありのツアーがすっごい久しぶりで、ツアーをさせていただくたびにおひさまの愛をすっごい感じて。愛いっぱいのツアーでした」「来年ももっともっとおひさまとワクワクするようなことをいっぱいしたいと思っているので、これからも私たちと一緒にいてください」と語った。小坂菜緒は、「このツアーで数億年ぶりにアオリをやったんですよ」と言って、「数億年ぶりって、恐竜なの?」と小坂の好きな恐竜にかけたツッコミの声を浴びつつ、ツアーの中でアオリが成長したとうれしそうに報告した。
ここでスクリーンに「5回目のひな誕祭」の開催決定を知らせるムービーが流れる。「ひな誕祭」は、日向坂46のメジャーデビューを記念して毎年行われているライブだ。来年は4月6、7日に横浜スタジアムで行なわれることが告知された。この後、キャプテンの佐々木久美がマイクを取り、客席に語りかける。
「今年はひな誕祭とかツアーとかいろんな場所を回らせていただいたんですけど、やっぱりちょっとどこか私たちメンバーに迷いがあるようなときがあったり、それを本当なら察されてはいけないのに、おひさまにもちょっと「あれ?」って不安な気持ちにさせてしまったり、そんな瞬間があったと思います。でも私たちはですね、今年すごく楽しかったし、でもやっぱりもっともっとできることはあるんじゃないかってみんなで模索して、みんなで話し合って、ある目標を決めました。私たちはこのメンバーでもう一度、東京ドームを目指します!(しばらくファンの大歓声が続く)。ありがとうございます。3回目のひな誕祭で初めて東京ドームに立たせていただいたとき、すごく、こんな景色が待っていたんだって…。おひさまのみなさんも「ここが夢だったよ」ってすごく言ってくださって、私たちもそれが何よりうれしかったし。その後も目標はあったんですけど、やっぱり、もう一度、あのときお休みで出れなかったひよたん(濱岸ひより)も、あのときはまだ加入していなかった四期生も、もう一度一緒に東京ドームに立とうと。私たちでは力不足かもしれませんが、もう一度あの夢の舞台目指して、ハッピーに突き進んでいきたいと思います!(大きな拍手)。やっぱり、すごく、私たち先輩たちは、四期生の「新参者」を観させてもらったんですけど、すごく熱くて、すごいハッピーにあふれていて。やっぱりもう一度、こういう気持ちでみんなで上を目指さなきゃいけないなって、四期生のお陰でもう一度、ひとつになれた気がします。これからもおひさまのみなさんを楽しませ続けられるように、みんなで頑張っていきます。ほんとにこれが今の私たちの思いなので、おひさまの前でこうしてまた夢をお話することができてよかったです。来年からハッピーに楽しんでいくぞー!」
そして会場が最高潮に盛り上がった中、キラーチューン「誰よりも高く跳べ!2020」をパフォーマンス。佐々木久美の「大好きなおひさま、跳べー!」というアオリに合わせて、観客も大ジャンプをした。続いてライブ定番の「JOYFUL LOVE」へとつなぐ。会場のファンがペンライトで恒例の「虹」を作り、ハッピーな空気の中でステージを終えた。
しかし、この日のまだライブは終わらなかった。ダブルアンコールを受け、メンバーたちが再びステージに登場。最後に歌ったのは「約束の卵2020」だった。この楽曲は、東京ドームでの公演を夢見て、けやき坂46時代から歌ってきたものだ。コロナ禍での度重なる延期を挟み、グループは2022年に初めて東京ドームのステージに立った。今日、久々に「約束の卵」を歌うメンバーたちの姿を見て、ファンは再び東京ドームを目指す彼女たちの前向きで熱い気持ちを受け取っただろう。会場が一体となった大合唱が起こった。
こうして、今年のライブ活動をしめくくった日向坂46。佐々木久美がMCでも語った通り、彼女たちにとって今年は初めて逆境を迎えた年だったと言ってもいい。日向坂46にとっても、この1年の試練は、未来へと向かうための貴重な経験になっただろう。2024年、再び東京ドームを目指す日向坂46がどう変わっていくのか、ファンのみならず業界全体が注目している。