ビクターエンタテインメント主催のロック・フェスティバル「ビクターロック祭り」が10周年を迎え、開催時期、会場も一新し「ビクターロック祭り2024」として、2024年11月30日(土)東京ガーデンシアターで開催され、8アーティストが出演、熱演を繰り広げた。
このイベントにはサンボマスターが出演、圧倒的なパフォーマンスで会場を盛り上げた。
以下ライブレポート
「ヤーレンズ、サンボマスター、トム・ブラウンって、おかしいですよ、『ビクターロック祭り』」と、疑問を呈したりしつつ、本ネタでしっかり爆笑をとったヤーレンズの漫才の次は、そう、サンボマスターだ。
SEのゴダイゴ「MONKEY MAGIC」を、木内泰史(Dr/Cho)のドラムが、絶妙なタイミングで止める。次の瞬間、山口隆(Vo/Gt)が弾き始めたイントロは、最新曲である「稲妻」。丁寧に、真摯に、この曲を歌いきった山口隆、次は「さあみなさん、毎朝流れるこの曲で、踊りまくっていただきましょう。時刻は8時になりました、せーの、ラヴィット!」と、いつものセリフから「ヒューマニティ!」に入る。
「あんたが誰のファンか知らねえよ、俺たちはあんたのことを優勝させに来たんだ」と「全員優勝コール」に入り、そこから続いた「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」では、フロアもスタンド席も、もうボコボコ沸いている熱湯のようなリアクションになる。
「Future is Yours」は、山口のMCを経てから入った。「今日は時間ないから長くしゃべれねんだ」とか言いながら、結局結構しゃべっていた中で、特に印象的だったのは、やっぱりこの『ビクターロック祭り』にまつわる話。
「今日はテレビカメラとか入ってから、変なことは言えねえんだ。俺は前に、安月給コールっていうのをやってしまって。あれでビクターの社員は安月給だって、みんな思ってしまって……」。第一回のロック祭り(2013年)で、ビクターの担当者の実名を挙げた上で、お客さんに「安月給! 安月給!」とコールさせていたサンボマスター。観客も、ノリノリでやっていた記憶が蘇る。
5曲目の「できっこないを やらなくちゃ」では、オーディエンスの、すさまじいボリュームの大合唱と、高いジャンプが東京ガーデンシアターに広がった。なんだかすごい光景。間奏で山口、「一足早いですが、今年も1年、ご苦労様でしたー!」と絶叫する。
最後は、10月25日のツアーファイナルの日本武道館でも、本編ラストに演奏された「花束」。曲の最後、木内&近藤洋一(Ba/Cho)が「あなたが花束」とくり返し歌う合間に、山口、「『ビクターロック祭り』で踊ってるきみがそうだろ?」「一所懸命働いてるビクターの社員さんも!」と、絶妙にはさみこんでいく。
もともとフェスやイベント、つまり自分たちのファン以外の人もいっぱいいる場に、やたらと強いバンドだが、今日はその最上級みたいなステージだった。
ちなみに「稲妻」「ヒューマニティ!」「Future is Yours」「花束」がビクターに来てからの曲、「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」「できっこないを やらなくちゃ」が、それ以前の曲である。『ビクターロック祭り』だから気を遣ってそうしたわけではなく、自分たちが今やりたくて、みんなが今聴きたいであろう曲を選んだら、自然にそうなったのだと思う。
TEXT by兵庫慎司