東日本大震災復興支援イベント「The Unforgettable Day 3.11」が仙台PITで開催された。
会場となった仙台PITは、「Power Into Tohoku」の頭文字をとって名付けられたライブハウスで、震災復興支援を目的としたプリンセス プリンセスの再結成活動を通して集められた義援金によって2014年に設立された。音楽を通した、そして継続的な支援のための拠点を、という彼女たちの強い思いが形となったこのライブハウスで、そのこけらおとし公演として2016年の「The Unforgettable Day 3.11」第1回にはプリンセス プリンセスのメンバーが自ら熱いステージを披露した。翌年の第2回には、プリプリを代表して出演した岸谷香をはじめ5組のアーティストが出演。第3回のこの日は、岸谷香、高嶋ちさ子、中川翔子、一青窈、そしてLittle Glee Monsterが、随所にこの日限りのコラボを挟んで、まさにスペシャルなステージを展開してみせた。
出演者全員が、リレー形式で「Diamonds<ダイアモンド>」を歌うという派手なオープニングに続いて、まずは中川翔子が登場。震災直後のツアーで生まれ、そのツアーの仙台公演でも歌ったという「つよがり」など3曲に加えて、岸谷香との共演でプリプリのカバー「世界でいちばん熱い夏」を、文字通り熱く歌って会場の空気を一気にヒートアップさせた。
続いての登場は一青窈。デビュー曲「もらい泣き」、最新ヒット「七変化」を聴かせた後、キーボードと岸谷のガットギターのみというシンプルな伴奏で「ハナミズキ」。♪君と好きな人が100年続きますように♪という歌詞がひと際印象的に響いた。さらに一青のリクエストだというプリプリのナンバー「ムーンライトストーリー」を岸谷と共演。♪私にできるのはただあなたに優しく歌うだけ♪という一節は、この日の出演者すべての思いだろう。
3番目に登場したLittle Glee Monsterは持ち前の爽やかなコーラス・ワークで会場を包み、未来に向かうピュアな思いを真っ直ぐに歌った。最後は岸谷のピアノと高嶋のバイオリンを迎えて、クラシックの名曲「Jupiter」。スケールの大きな楽曲の魅力が彼女たちのポップな個性と共鳴して、この日のステージにもさらなる広がりを与えた。
そして、岸谷と高嶋のデュオ演奏でプリプリの「ジュリアン」。歌の主人公の心情を思わせる高嶋のバイオリンの切ない音色が印象的だった。
最後の登場は、岸谷の新しいガールズ・バンド、Unlock the Girls。コンサート全体のハウス・バンドも務めたメンバーとともに、溌剌としたパフォーマンスを展開。このコンサートに込めた熱い歌と演奏で3曲を一気に聴かせた。
しかし、もちろんこれで終わりではない。オーディエンスの温かいアンコールに応えて、再び岸谷と高嶋が二人で登場。切なくも美しい名曲「M」でコンサートを締めくくった。
それはあっという間の2時間半。
「音楽で支援を」というコンセプト通り、音楽の楽しみをたっぷりと届けて、東北への変わらない思いを印象づけたコンサートだった。
(文:兼田達矢)