5月3日さいたまスーパーアリーナでVIVA LA ROCK 2018が開催された。 超高速ラップの『Tyrant Island』から幕を開けたSKY-HIのステージ。2曲目には盟友のSALUがステージに最初のゲストとしてステージに登場し『No Chill』、『Purple Haze』を披露した。この日は“RAP PHENOMENAL STAGE”と題し、日本のヒップホップシーンを代表する名ラッパーが次々とステージに登場した。
「“RAP PHENOMENAL STAGE”始めるぞー!」掛け声の後に、DREAM BOYのKEN THE 390と最強のモンスターラッパー・R-指定が登場し、SALUを含めた4人で『One by One』を投下。SALUがステージを降り、残った3人は『Shock』でフロアを縦に揺らす。 R-指定がステージを去ると、SKY-HIとKEN THE 390が渋谷のクラブでライブをしていた頃のことを語った。「今日は俺とKEN THE 390が、渋谷のクラブでまだ5人くらいしかお客さんがいなかった時の曲をやるぜ」とSKY-HIが話すと、KEN THE 390がすかさず「5人もいない時あったからね」と当時を笑いながら振り返った。
こうして2人で披露した『Critical Point』では、オーディエンスとのコール&レスポンスでステージはさらにギアを上げる。さらに続いた『Turn Up』ではSKY-HIの超高速ラップがまたもやオーディエンスの度肝を抜く。 KEN THE 390がステージを去った後は、ぼくのりりっくのぼうよみがステージに登場し、最新アルバムBest Catalystでコラボした『何様』を披露した。SKY-HIの超高速ラップとぼくりりのメロウな歌声が折り重なるこの一曲からは、シーンに新しい風を吹かせようというSKY-HIの精神性を感じられた。 「後一人のゲストはマイク持ちじゃないぜ。紹介しょう亀田誠治!」『Double Down』のベースラインが流れる中、最後のゲストはなんとベーシストの亀田誠治。
「おれがロックフェスで勝ちてぇと思ってつくった曲があるんだ」コール&レスポンスの予行練習をバッチリしたオーディエンスは積極的に楽曲に参加し、SKY-HIとともにライブを盛り上げる。SKY-HIと亀田誠治の共演はベーシストとラッパーの共演、というよりロックとヒップホップの垣根を破壊しようとする共同戦線という表現のほうが近いかもしれない。フリースタイルで繰り出される超絶技巧と超絶技巧のセッション。熟練した者のたちの共闘はエンターテイメントを越えてアートの域に達している。 最後はUNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介と共作した『Diver's High』。
ヒップホップとロックをマッシュアップしたような楽曲はSKY-HIの他ジャンルの音楽に対する対抗心とリスペクトを同時に表現しているようだった。 普段のSKY-HIのステージは正装をしたショータイムという色合いが強いが、この日のステージはSKY-HIのルーツであるアンダーグラウンドの熱量と他ジャンルとの共闘に挑戦し続ける現在の熱量を同時に放出する圧巻のステージであった。
(取材/文:樋熊涼 Photo©VIVA LA ROCK 2018 All Rights Reserved. 撮影:釘野孝宏)