4人組ロックバンドのT-BOLANが7月10日(火)、東京・中野サンプラザで「30th Anniversary LIVE『the Best』~励~」を行った。
1988年7月22日、前身の「BOLAN」としてインディーズレーベル「YEAH」からEP「I WAITED FOR A TIME」をリリースし、インディーズデビューして今年で30周年。さらに7月10日は、1991年に「悲しみが痛いよ」でメジャーデビューした記念日だ。
1994年3月19日の「LOOZ」ツアー以来の公演にもなった中野サンプラザは、開演前から約2000人の期待にあふれていた。
純白の紗幕に覆い隠されたステージ。場内が暗転すると、ノイジーなスチール音が鳴り響くと同時に、ステージを覆い隠した純白の紗幕にグリーン、オレンジ、マゼンタ、そしてターコイズブルーのカラフルな彩りが加わる。
「励(レイ)」
コンサートタイトルにもなった一文字が映し出され、ボーカル森友嵐士の「いくぜー!」の声とともに、会場のボルテージも一気に上がった。青木和義の印象的なドラムで始まる「Only Lonely Crazy Heart」でスタート。
ステージデザインは普段は「黒」が基調ののイメージが強いが、この日は「白」に統一されていた。森友は「今夜が、俺たちとみんなとの第二章の始まりの日。またみんなと始まりを共できることが何より嬉うれしい」と話し、新たな幕開けを予感させた。
大ヒット曲「マリア」を歌い終えると、9曲目は「あこがれていた大人になりたくて」。ブルースロックを感じさせるこの曲のイントロは、ギターの五味孝氏とサポートベースの人時だけのセッションだ。
すると、1階席の後方ドアが突然開き、森友と青木が登場。サプライズ演出に目を奪われる中、パフォーマンスを終えると、森友が呼びかけた。「皆さんおまちかね。奇跡の男、上野博文!」。大歓声の中、上野が手を振りながら登場し「ヒロフミー!」コールに「ありがとう!」と応えた。
「Happiness」「刹那さを消せやしない」「Lovin’ you」「遠い恋のリフレイン」、そして「悲しみが痛いよ」「離したくはない」を上野もともに演奏。2015年にくも膜下出血で倒れた上野だが、リハビリの甲斐もあって、6曲に参加できるまでになった。
上野はアンコールの2曲にも参加。この日、会場限定で販売された最新曲「Re:I」を初披露した。コラボレーションが決まった、生誕80周年の漫画家・石ノ森章太郎の「サイボーグ009」のキャラクターも登場するミュージックビデオが流れる中、パワフルなサウンドを響かせた。
森友は今回のタイトル「励」について「励ますって、一方通行ではないなって。上野を励ますつもりで、僕らが逆に力をもらったり。それをまた周りで見てる人たちも勇気をもらったり。
励ますっていう力はすごいエネルギーがあって、すばらしいと上野の生還を通じて改めて感じた。バンドって家族みたいなもの。励まし合う力、そこから復活が導き出された気がして、このタイトルになった。
俺たちだけじゃなくて、みんなとのエネルギーの交換でもある。
今夜、その始まりの日だと、そんな風に思ってます」。
さらに新曲については「この『Re:I』って曲は、お前(上野)のための曲なんだよ。いろいろ曲作りする中で、その中心には上野への思いがあった。俺たちだけじゃなくて、ここにいる全員がロックンロールスターという思いで、そこに行こうぜ!という曲。またここから愛し合っていこうぜ!」と意図を明かした。
この日の森友は上野だけではなく、MCでメンバーへの熱い思いや感謝を次々と語るシーンも象徴的だった。
青木に対しては「太陽みたいなヤツ。最初に会ったのは藤沢の駅のホーム。若い頃は対バンライブをやったりして、凹むときもあった。正面向いて歌うのがつらいときもあったんだけど、振り返って青木を見ると、パワーが充電できる。
音だけじゃないんだな、俺たちの関係って」
五味に対しては「94年くらいかな? 同じ曲をずっと1年間スタジオで歌い続けたことがあった。来る日も来る日も、思うよう歌えなくて納得がいかなくて…。そんなとき、何も言わずにずっと横にいてくれたのはこいつ(五味)で。こんなこと言ったことないけど…。五味、ありがとな」。
30年の思いが詰まっていた。
再び動きだし、新たな魅力も見いだしたT-BOLAN。それを全国に伝えにいく旅路も決まった。9月19日(土)の埼玉・東松山市民文化センターを皮切りに、全国23都市でライブを行うことが決まった。
全国ツアーは実に23年ぶり。森友は「これからどんどん動いていく。ついてこいよ! みんなの街で待ってて。よろしく!」。五味は熱さたっぷりに「(森友)嵐士が(のどの)不調で歌えなくなったところから、また歌える奇跡が起きた。上野が倒れて、またそこから奇跡が起きた。あとはバンドとして奇跡を起こすのみ。ツアーもあるけれど、アリーナでやるまで辞めないからな。よろしく!」。
また、T-BOLANから目を離せなくなる日常が、始まりそうだ。
T-BOLAN オフィシャルホームページ
http://www.beinggiza.com/zain/t-bolan
T-BOLAN×サイボーグ009
2018年、インディーズデビューから30周年を迎えたT-BOLAN。同じ年、生誕80周年を迎える日本を代表する漫画家・石ノ森章太郎。
T-BOLANのメンバーも、多感な時期に様々な石ノ森作品に触れた世代。
今年初め、たまたま知り合った両社のスタッフ間で、共に周年というタイミング「何かご一緒出来ないか?」という話し合いの場が幾度となく重ねられる中、森友は『サイボーグ009』の原作本を読みかえしてみると、俺たちと共通する点が多い・・・。
「009の仲間・チームで助け、励まし合う姿が、T-BOLANとリンクする。自分が歌えなくなった時、上野が倒れた時・・・、互いに励まし合ってきたじゃないか? T-BOLANとサイボーグ009。新曲のテーマに通ずる点もある。ここから何かを創りあげていきたい。」
そんな想いから、本日初公開された、新曲「励」のミュージックビデオにも、サイボーグ009とコラボレーションする瞬間が入っているなど、今後、両者の間で様々なコラボレーションを予定している。
T-BOLAN 30th Anniversry LIVE「the Best」~励~ 2018 年 7 月 10 日(火)中野サンプラザ
セットリスト
Only Lonely
Crazy Heart
悪魔の魅力
Bye For Now
おさえきれないこの気持ち
LOVE
じれったい愛
わがままに抱き合えたなら
マリア
あこがれていた大人になりたくて
Happiness
刹那さを消せやしない
Lovin’ you
遠い恋のリフレイン
悲しみが痛いよ
離したくはない
愛のために 愛の中で
SHAKE IT
傷だらけを抱きしめて
My life is My way
アンコール
21.Re:I(新曲)
22.Heart of Gold