中堂さんクラスタのみなさん、「アンナチュラル」、第9話もクッソ面白かったですね!
まさかね、蟻酸と思わせておいてからのホルマリンとは……。にしても、ミコトとの掛け合いで化学式を解いていく中堂先生に萌え狂った人も、多かったんじゃないかと。いやいや、そこじゃない? じゃ、緊迫した状況で会話を交わしていたのに、唐突に「ブサイクだな」とミコトに言い放つ、ドSっぷり?
まぁ、それぞれに「キュン」とか「ゾクッ」とか「グッ」とくるツボがあると思うので、その辺は好き好きにっていう感じで──。
何にしても第9話のポイントは、「傍若無人でムカつくオラオラ男が恋人を殺されて、ずっと一途に犯人を追っていたなんて……どんな目で見たらいいの?」(by市川実日子as東海林夕子)という、中堂に対する〝視点のゆらぎ〟だったと思う。
特に、亡き恋人・夕希子とのなれそめから、つかの間の幸せな日々を経て、絶望を目の当たりにするまでの回想シーンが、中堂の光と闇をいっそう色濃いものにしていたんじゃないかと。自分に初めて、生きている人間と触れあう喜びと充実感
を実感させてくれた夕希子が、この世を去ってもなお、中堂自身に生きる理由(=犯人への復讐)を与えているというのが、何しろ切ないし、何とも悲しい。それだけに、犯人に近づく手がかりが見つかると、高揚して落ち着きを失くしてしまう中堂のことを、冷静に見られなくなってしまう。
「そうだ、行け!」という思いと「行っちゃダメだ、」という気持ちが、ゴチャゴチャになるというか……。
その不安定な〝ゆらぎ〟がまた、魅力だったりするから困るのだ。気がつくと、視聴者の気持ちも不安定になってるという──。
しかも、〝不安定〟な役柄は井浦新の得意とするところでもある。最近で言うと、映画「二十六夜待ち」(’17年)での無口な料理人・杉谷役がそうだ。記憶喪失で、どことなく何かに怯えているような素振りを見せる、謎めいた男。自分の店でパートとして働き始めた由美(黒川芽以)への想いを押さえきれなくなり、やがて2人は肌を合わせるが……杉谷は途中でやめてしまう。最後までいくと、自分自身を喪失してしまいそうで怖いから、と──。
それでも惹かれ合い、2人は求め合うのだけれど、〝失う前と失ってから〟の間
にある一線を越えようかどうか迷う、その不安定な心のゆらぎを、井浦は絶妙な芝居で見せてくれるのだ。結果、どうなるのかは……
まだ上映中でもあるし、もう少ししたらソフト化もされると思うので、「アンナチュラル」から井浦新という〝沼〟に落ちた方々は各自、鑑賞してみてください。
井浦新(写真提供:TBS) 画像 4/5
話を「アンナチュラル」に戻そう。
〝焔と化した中堂〟は、
画像は井浦新Instagramより 画像 5/5
はたして「一線」を越えてしまう
のか!? 今から気になりすぎて「クソがっ」
と中堂っぽい口調にもなりがちですが、続き
はまた最終回の前後ってことで。
(文・平田真人)