ミステリの女王アガサ・クリスティー作品の中でも名作と名高い「ホロー荘の殺人」の舞台に出演している高柳明音のオフィシャルインタビューが公開された。
もともとミステリ作品が好きだった高柳明音に、役をもらった時の気持ちや、演じるミッジ・ハーヴェイのことから、稽古中のエピソード、舞台にかける気持ちなどを聞いた。
高柳明音(※提供写真) 画像 2/7
【高柳明音・コメント】
ーこの度は、舞台「ホロー荘の殺人」へのご出演、おめでとうございます。
高柳:ありがとうございます!嬉しいです。
ーアガサ・クリスティー原作の作品となりますが、高柳さんはアガサ・クリスティー氏の作品はご存知でしたか?
高柳:知っていました。小説だけでなく、映画やドラマを見ていても、『アガサ・クリスティー原作』と書いてあると惹かれていました。
ミステリと言えば、アガサ・クリスティーさんという印象があったので、今回アガサ・クリスティーさん原作の舞台に出演出来ると知った時は嬉しかったです。
ーそんな今作、どんな作品なのか教えていただけますか?
高柳:アガサ・クリスティーさんの作品は、超ミステリというか、誰が事件を起こして、誰が犯人なのかを推理するポアロがいて、という内容が多いんですけど、今作に関しては、殺人事件が会った時に、その現場には銃を持っていた奥さんがいて、明らかにこの奥さんが犯人だ、となるのですが、そこから巻き起こるミステリならではの展開があって、その展開の中で1人1人の人間物語が、かなり深く描かれています。
それぞれの思い、誰が誰をどう好きで、誰がどう思っていて、というのがかなり繊細に描かれています。
また今回は、会話劇という感じで構成されていて、人と人との会話の中に、色んな感情が入っていて、実はこういう意味だったんだというようなメッセージが隠されていたりするので、心にも重く残るような作品になっているのかなと思います。
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ーミステリ作品としては、新鮮な展開ですね。
高柳:私も最初台本を読んだ時に、結局最後、犯人は誰なんだろうと思いながら読んでいました。
作品の途中まで、様々な登場人物が、お互いに翻弄しあう姿が本当に面白いなと感じました。
本作は、見る人によっては、すごく重く感じるのかなと思っています。
第三者で見ることが出来たときには、それぞれの登場人物の心情の動きが見れて、その部分を楽しめるんじゃないかなと思っています。
「ホロー荘の殺人」の世界観に浸っていただきたいなと思います。
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ー高柳さんが演じる『ミッジ・ハーヴェイ』は、どんな役なんですか?
高柳:私が演じる役は、普通の女の子なんです。それが逆に普通じゃないというか、周りの皆さんが個性的すぎて、「あの子だけ普通よね」と話題になってしまうくらい本当に普通の感覚で生きている子です。
だから、周りの人と感覚が合わないということにもがいている子です。
周りの皆さんは貴族なので、当たり前にご飯が食べることが出来て、当たり前に生きていける環境にあるんですけど、ミッジは自分で働いてお金を稼がないと食べていけない状況です。
でも、貴族の中に、ミッジのことを娘のように可愛がってくれる夫婦がいるんです、その方々が「ウチで暮せばいいのに」と言ってくれても、ミッジはそうではなくて、自分の力で生きていきたいという信念を持った子なんです。
甘えるのも、自分を許せないというか、私は普通の人間なんで、そんな情をかけないでくださいという役柄になっています。
そんなミッジを演じる時に感じたことが、この子はすごく意志がはっきりしているなと。ミッジがずっと片思いしている相手のエドワードとの地位の差があるのですが、馴染みで、ずっと恋をしていることにエドワードは気づいてもくれなくて、叶わぬ恋もしながら、自分1人で生きていかなければいけないというような、孤独を心に抱えています。
でも気持ちはしっかり言える子です。
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ーミッジと自分を重ねて見て、共感する部分などはありますか?
高柳:私も自分で働いて生きていかなければいけないという思いがずっとあります。
仕事で頑張って成果を上げても、お金を貯金したとしても、どこかで常に不安な気持ちがあるというか、いつか全部無くなったらどうしようと考えているんです。
ミッジも、もし仕事が無くなったらどうしよう、どうやって生きていこうという不安を抱えていて、ギリギリを生きていて、心情の部分で重なるところはありますね。
ー凰稀かなめさん、紅ゆずるさんと初共演ですが、お二人とお会いして印象はいかがですか?
高柳:お二人がとても仲が良いんです。お二人が稽古場の待機場所で隣に座られているのですが、お二人の間に沢山のお菓子が盛られていて、それをお二人でシェアされがら食べていらっしゃって、本当に仲が良いんだなと可愛らしい一面を感じています。
私も、お二人が持ってきているお菓子を見て、そのお菓子美味しそうだなと思って、帰りのコンビニで買って帰ったりしています。お二人が食べているものを知りたくて。(笑)
意外にチャーミングで、お茶目で大好きです。
しかし、いざ稽古が始まるとお二人の佇まいというか、最初にお会いした瞬間から、「あ、この方は只者ではない」というような雰囲気を出されていて、圧倒されました。
佇まい1つで、気品をとても感じて、格好良いなと思いました。
今作の中では、お二人と同じシーンになることはあまり多くなくて、作中でお二人と会話をするシーンはあまりないので、稽古では客観的に見ている場面が多いんですけど、本当に引き込まれますね。真剣に見入ってしまいます。
ガーダ役の紅ゆずるさんは、気の小さく、怯えている女性役を演じられているんですが、そのような役柄は初めてとお聞きしました。稽古を通して、どんどん役柄を自分に落とし込まれていくというか、1つ1つのシーンでの行動に意味をしっかりと研究して、自分のものにされていく姿があって、本当に勉強になりました。
かなめさん演じるヘンリエッタは、見るからに気の強い役なんです。ただ、実はすごく傷ついていたり、落ち込んでいたりしている部分があって、そんな難しい繊細な部分を表現されているお姿がすごく格好良くて、素敵だなと思っています。
ー稽古をやっている中で難しく感じるところはありますか?
高柳:今回の作品を見てくださった方は、感じていただけると思うのですが、場面場面で、登場人物の呼び名が変わってくるんです。海外だなあと思うのですが。(笑)
私が演じる役でも、ミッジ・ハーヴェイという名前なので、みんなミッジと呼ぶんですけど、場面によっては急にハーヴェイとなったり、ミス・ハーヴェイとなったりだとか。
それぞれの役で、呼び名が2~3個ずつくらい変化していくんです。
なので、最初に台本を読んだ時には、「誰の話をしているんだろう?」と混乱して、皆さん整理するのが大変そうにしています。全然違う名前を呼んでしまったりすることがよくあります。(笑)
なので、その部分は、みんな頑張って覚えたんだなと今作の見どころの1つとして楽しみにしてもらえたら嬉しいです。
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ーエドワード役の林翔太さんの印象はいかがでしたか?
高柳:エドワードに片思いする役でもあるので、林さんとは共演するシーンが多いです。
作中で、エドワードを思うが故に、ミッジの感情がコントロール出来ないお芝居がけっこう多いので、私自身もミッジの感情に引っ張られてしまいそうになりました。林さんとのシーンはしっかりと稽古で練習させていただきました。
私は、林さんが出られているミュージカルや舞台は、かなり拝見しておりまして、めちゃくちゃ素敵で、歌も上手でお芝居も素晴らしくて、今回ご一緒させていただけると聞いた時は、あの舞台で活躍されている方だ、と客観的に感じていました。
稽古で、林さんは本当にお優しくて、ミッジがエドワードへの言葉が止まらなくなるシーンも多いので、それに私が引きずられて感情が不安定になることもあったんです。
そんな時に林さんが「全然大丈夫、出来ると思うよ!頑張ろうね。」と言ってくだって、感謝の気持ちで一杯です。
あと、私が現場で差し入れさせていただいた『サク山チョコ次郎』というお菓子があるんですけど、それを美味しそうに食べてくださっていて、嬉しかったです。(笑)
ーSKE48を卒業されて2年が経ちましたが、個人活動を振り返ってみていかがですか?
高柳:この2年間、休む暇なく舞台をやらせていただきました。グループの時は年に3回くらい舞台をやらせていただいていましたが、今はほぼ舞台の活動だったりするので、常に色んな場所に行って、色んな人に会って、色んな物語があってということを感じて出来ているなと思います。
様々な作品をやらせてもらいながらも、今回久々にミステリ作品をやらせていただけるので、とても楽しみです。
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ー高柳さんは、将来的にどんな俳優になっていきたいというような目標やビジョンはありますか?
高柳:私はいずれ、バイプレイヤー、名脇役になりたいです。ドラマや映画などにも、これから出演出来たらいいなと思っていますし、「あの子、メインではないけど惹かれるよね。」と言われるようになりたいです。
私自身、高柳明音という人間にあまり自信がないんですけど、お芝居をしている時は他の人の人生を生きられるので、役の人生を生きることに集中しているから、自分を忘れられるのがお芝居の好きなところでもあるので、自分とかけ離れた役から、素の自分に近い役もあると思うんですけど、そこで色んな人に何かを与えられるような俳優になっていけたらいいなと思います。
今作でミステリ作品に出演出来ることがとても嬉しいので、映像でもミステリ作品に出演して、視聴者の方の心をかき乱したいなと思っています。
後は、個人的には『人間騙し合いゲーム』のような作品がやりたいです。
高柳明音として生きていたら、人間騙し合いということは本当にやりたくないんですよ。そんな人にも出会いたくないし、自分もそんな人にはなりたくないし、そんな状況には絶対置かれたくないんですよ。(笑)
だからこそ、お芝居でやってみたいというか、常に誰かが騙され騙し合って、など自分が出来ないことをお芝居でしたいという気持ちはとても強いです。
ー最後に今作を楽しみにしてくれている方へメッセージをお願いします
高柳:見に来てくださる皆さまをどれだけ翻弄させられるか、という作品になっているくらい「ホロー荘の殺人」は、人情劇でありミステリであり、非常に面白い作品になっています。
登場人物の名前を覚えてから、劇場に足を運んでくださった方が作品をしっかり理解して観劇出来るのかもしれません。(笑)
また、1回観ていただいて、物語の全てを知った後に2回目を見ていただくと、登場人物の行動1つ1つが伏線になっていたりだとか、やっぱりあの行動が意味があったんだというような答え合わせが出来るので、2回、3回と見に来ていただければと思います!
最後、見てくださった皆さんの感想が聞けるのが楽しみです。劇場でお待ちしています!