南米を中心に海外での人気も高く、TikTokフォロワー数は日本人男性音楽アーティストでNo.1。
今年の春にはブラジルでのワンマンツアーも成功させた6人組ダンス&ボーカルユニットONE N’ ONLYが、初のファンクラブツアー『ONE N’ ONLY FC TOUR 2023 ~Welcome to SWAG~』を8月20日に東京・Zepp Haneda、27日に大阪・Zepp Nambaで開催した。
カッコいいだけではない、そして可愛いだけでもないONE N’ ONLY の多彩な魅力を露わにすべく、2会場ともに昼夜の2部制で行われ、昼公演には『Concept F』、夜公演には『Concept C』という異なるテーマを設定。
それぞれの意味合いに合わせてメニューを変えながら、ファンクラブ会員とその同行者のみが参加できるライブということで、待望の初披露楽曲やメンバーそれぞれのキャラクターを伝えるバラエティ企画など、スペシャルなメニューを組み込んで満員のオーディエンスを熱狂させた。
さらに東京公演では、結成5周年を記念した5大プロジェクトの最終弾として、なんとワンマンでの47都道府県ツアーも発表。
来年4月のツアーファイナルでは、グループ史上最大キャパシティとなるパシフィコ横浜に挑むことも決定し、意気上がる彼らの濃厚すぎる5周年イヤー後半戦が始動する。
ONE Nʼ ONLY、初めてのファンクラブツアー(写真:小坂茂雄、牧野孝彦) 画像 2/5
『SWAG』とはONE N’ ONLYファンの呼称であり、約1年前に開設されたファンクラブの名称。
つまり、ライブタイトル『~Welcome to SWAG~』には、ONE N’ ONLY とSWAGが協力して、ファンクラブ『SWAG』の輪を広げていきたいという想いが込められている。
その念願が叶い、Zeppの横長フロアは端から端までファンでギッチリ。
グループカラーである白いペンライトの光が場内を埋め尽くすなか、昼公演『Concept F』は「みんな楽しんでいこう!」というKENSHINの声から鉄板曲「HOLIDAY」で幕を開けた。
『Concept F』の『F』が表すのは『Funny』ということで、夏らしいラフな衣装に耳付きのキャップなど、普段のライブではあり得ないほどファニーなスタイルで登場したメンバーに、客席からはさっそく悲鳴が。
その声をエナジーに換えるかのように、6人はSWAGもろとも夏を感じさせる涼やかなビートで飛び跳ね、コール&レスポンスで会場のテンションをグングン上げていく。
東京公演のメンバー名をコールさせるパートでは、この日、体調不良のため急遽欠席となったEIKUのうちわをNAOYAが掲げる場面も。
リーダーのHAYATOいわく「ONE N’ ONLY の中でも特に明るい曲、一緒にやれる曲を持ってきた」というだけあり、以降、リズミカルなビートで笑顔弾ける「YOU???」、SWAGと一緒に大きく両腕を振る「POP! POP!」、生きる喜びを分かち合う爽快な全英詞曲「LUCKY」と、笑顔が似合うラブソングでメンバー同士じゃれ合って、フロアに『可愛い!』の声を招く。
対して『Concept C』を掲げた夜公演は、HAYATOの『OPEN』という低音ボイスから、ゴリゴリのロックチューン「OPEN」で開幕。
『Concept C』の『C』は『Cool』を表しているだけあり、黒のスーツでビシッと決めた出で立ちは、昼公演とは同一人物と思えないほどのカッコよさで、スモークのなか鋭い眼光でタフに躍動する光景に地鳴りのようなどよめきが湧く。
そして「クールなワンエン浴びる準備できてますか!?」というリーダーの煽りから、ONE N’ ONLY史上最高のセクシーメドレーがスタート。
タイトルコールから喜びの声があがった「FOCUS」ではパンツのポケットに手を入れたままのパフォーマンスや大きく脚を振り上げる振りがなんとも色っぽく、そこにTETTAの艶めかしいファルセットが重なって、観る者のリビドーをそそる。
ピンクの照明が目を焼く「What’s Your Favorite?」に続くと、KENSHINはシャツの胸元をどんどんはだけさせ、彼を中心にミステリアスな世界観が創り上げられる「Black Hole」では、HAYATOがシャツの裾をたくし上げて肌を露わに。
曲終わりに黒のハットを取りだして雪崩れ込んだ「QUEEN」でも、それぞれ巧みにマイクスタンドを操りながらハット姿で歌い踊ってセクシーに挑発する。
一連の展開のあいだ、場内の歓声は途切れることなく、「昼公演と夜公演の差を感じてほしい」というHAYATOの言葉を、誘惑度の高いステージングで見事に実現してみせた。
ONE Nʼ ONLY、初めてのファンクラブツアー(写真:小坂茂雄、牧野孝彦) 画像 3/5
待望のFCツアーということで、メンバーの個性や仲の良さが表れるバラエティコーナーが設けられていたのも、通常のライブとは絶対的に異なる点。
東京公演では結成から5周年を迎えた今、改めてメンバー一人ひとりのキャラクターやポジションを再確認・再認識すべく『ON’Oオンリーワン選手権』が開催された。『メンバーの中で1番〇〇しているのは俺だ!』という設問に対し、自分が該当すると思ったメンバーだけが立ち上がって、それが1人だけならば成功というものだが、ここで肝になるのが互いの理解度やグループ力、空気を読む力。
NAOYAは『1番美意識が高いのは?』で、REIは『1番料理上手なのは?』で1人立ち上がり、「サービス問題」「入門編すぎる」という声があがったものの、自己主張が激しすぎて仇になるパターンも見られた。
『1番グループ思いなのは?』では、リーダーのHAYATOのほかREI、NAOYAも立ちあがり、「だってメンバーのこと好きだもん!」とNAOYAがゴネる場面も。
『1番SWAGを大切にしているのは?』では全員が立ち上がり、これこそ正解!と全員が主張したのは仕方のない展開だろう。
また『1番髪をかきあげる仕草がセクシーなのは?』と『1番振り向きざまのウィンクがイケてるのは?』では、連続でTETTAとKENSHINの2人が立ち上がって、REIに「譲れ、どっちか!」と呆れられる羽目に。
実演させられた末にTETTAはSWAGの爆笑を呼んでしまったが、罰ゲームの『胸キュン台詞』では「俺と付き合おう」と真面目にキメて、「これはToo Hot!」とREIに賞賛されていた。
対照的に、オーディエンスのうち6人だけが該当する質問を出題することを目指す『ON‘Oの3000分の6』なる企画では、「ライブ前にカラオケでONE N’ ONLYを歌った人」という質問で9人のニアピンを出したTETTAに対し、KENSHINが惨敗。
『自分以外のメンバー5人それぞれの「大好きな所」を褒め称える』という罰ゲームで「すべてにおいて俺はお前を尊敬してる」(対HAYATO)等、それぞれに至近距離で告白して「恥ずかしいな!」と照れまくった。
また、運動神経ナンバー1を決める『ON’OのスポーツGP』では、『けん玉チャレンジ』や『万歩計ダンスチャレンジ』等、さまざまなゲームで6人が対決。
『フラフープチャレンジ』では全員が秒で終わって「ダンス&ボーカルグループとは思えない!」と嘆きつつ、敗者となったHAYATOは「眉毛の角度」(NAOYA)、「高い鼻」(KENSHIN)、「上半身の筋肉の付き方」(TETTA)、「ぷるんぷるんの唇」(EIKU)と、罰ゲームで外見特化型の回答を。
中でも「ぷにぷにの腕。触り心地がたまんない」と言われたREIは、かなりおかんむりの様子だったものの、こんな何げなくて可愛らしいメンバー同士のやり取りが見られること自体が、ファンにとっては嬉しすぎるプレゼントだ。
ONE Nʼ ONLY、初めてのファンクラブツアー(写真:小坂茂雄、牧野孝彦) 画像 4/5
Tシャツやタオル、その場で撮影したチェキなどのグッズにサインを入れ、来場者にプレゼントする抽選コーナーの後は、さらに怒涛のお披露目ラッシュで場内を沸騰。
まず『Put your hands up, Here we go……Come on!』というKENSHINの掛け声から、8月16日に配信リリースしたばかりのレゲトン曲「EVOL」をステージ初披露した。
伝統的なラテン楽器の音色が鳴り響くなか飛び出す『EVOL EVOL(エヴォエヴォ)』のリフレインは、弾け飛ぶ汗が見えそうなほどパッショネイトで、南米ツアーで体感したラテン特有の情熱的なノリとグルーブを持ち込んでの振り切れたパフォーマンスといい、まさしくワンエン最高のサマーチューンと呼ぶにふさわしいもの。
ラッパーのHAYATOとボーカルのREIが太い声でサビを牽引する斬新なスタイルも併せ、タイトルが表すEvolution=進化を確かに感じさせる。
『Please join us』とHAYATOが誘う締めくくりも、オーディエンスをSWAGに迎え入れるという今回のライブコンセプトにピッタリ。
夏のイベントラッシュの間も披露せず、このFCツアーまで温存していた彼らの気持ちが、よくわかる。
さらに、HAYATOいわく「FCツアーならではの特別なステージ」へと場面は進行。TETTA、REI、EIKUのボーカルの3人のみがステージに残り、スツールに着席して「今回のライブで初めて披露する曲を」とTETTAがタイトルコールしたのは、3年前にリリースされた1stアルバム収録のバラード曲「もっと大きな愛で包み込むから…」だ。
喜びの悲鳴があがるなか、タイトル通り愛にあふれたバラードを柔らかな歌声でしっとりエモーショナルに聞かせて、拍手の嵐を引き起こす。
東京公演では不在となったEIKUのパートをTETTAとREIで分け合い、ONE N’ ONLY以前からボーカルの相方としてコンビを組んできた彼らならではの、土壇場に強いコンビネーションを見せたのも圧巻だった。
そして、雑踏の音から最新アルバム収録曲「CIRCLE」のイントロギターが流れると、初めてラッパー3人だけで歌う超レア曲の初披露に、こちらも悲鳴交じりの歓声が。
ステージ上段のソファにHAYATO、ドラム缶にKENSHINが座って交互にラップを叩きつけ、そこにNAOYAも加わり、優美なトラックに乗せてドープな空気感を創り上げていく様を、SWAGたちも白い光を振りながらジッと見つめる。
金網を模したパネルが3人を囲んで閉じ込め、開いていく演出が、終わりのないループからの解放を表現するのも印象的。
興奮気味に「ラッパー3人で歌っているのを早く見たかった!」と発したTETTAの言葉は、そのままSWAGの気持ちの代弁とも言えるだろう。
歌とラップというONE N’ ONLYの音楽における両輪を、それぞれにフィーチャーしたスペシャルな構成。
それは間違いなくFC限定ならではのものだ。
ONE Nʼ ONLY、初めてのファンクラブツアー(写真:小坂茂雄、牧野孝彦) 画像 5/5
ここからはONE N’ ONLYの真骨頂をブチ上げるゾーンへ。
サイレンの音が鳴り響くと、彼らのアグレッシブでワイルドなイメージを決定づけたシングル曲「Category」に「Dark Knight」を連続投下し、そこにダンスとラップ、ボーカルが太いビートの上で火花を散らす「YOUNG BLOOD」を間髪いれず繰り出していく。
曲中で放たれる『Uno, dos, tres, quatro!』というスペイン語でのカウントアップも、ラテンとの親和性を高めつつある彼らの唯一無二な世界観を表して、なんとも熱い。
その熱を携えたまま、テレビアニメ『デュエル・マスターズWIN』のオープニングテーマにもなった「Step Up」でメンバーが振るタオルの軌道は、フロアで回る真っ白なペンライトの光とシンクロ。
「夏のイベントで進化した曲」とHAYATOが言うだけあり、「まだまだいくぞ、回せ!」というNAOYAの煽りに応えて生まれる一体感の温度も、以前よりも着実に高くなっている。
そして「みんなに愛を届けたいと思います!」と、昼の『Concept C』公演で本編を締めくくったのは「My Love」。
通常TETTA、REI、EIKUのボーカル3人で歌うラブソングだが、東京公演ではEIKUのパートをSWAGと共に全員で合唱し、前半戦から「歌いながらもEIKUを感じています」と話していたTETTAのボーカルにも熱がこもって、6人の強い絆を感じさせてくれた。
曲終わりにNAOYAは「早く帰ってこいよ!」とEIKUにラブコールし、KENSHINが「メンバーの存在って大きいなって、改めて思いました」と語れば、REIは「これからも支え合って6人で魂をぶつけていきたい」と宣言。
結果的に、不在だからこそメンバー間の絆の強さが垣間見えるステージを見せつけられ、「これはこれで一つ特別なライブになった。これからもONE N’ ONLY愛してください!」というHAYATOの言葉も説得力たっぷりに響いた。
対して、夜の『Concept C』公演では「みんながいるから僕たちは輝き続けられます」(HAYATO)と「STARLIGHT ~未来ノトビラ~」を披露。
ミラーボールが美しい光を投げかけるなか、柔らかなハイトーンボーカルとピタリ揃ったダンスで、感謝に立脚した温かな心情と愛情を伝えていく。
「FCができてから、ずっとこういうライブがしたいと思っていた」と満足感を表したNAOYAに続き、「回数を重ねて、これからもみんなと楽しいことを共有していきたい」(KENSHIN)、「もっとFCを盛り上げて、いろんなことに挑戦したい」(TETTA)と意気込みを表したメンバーたち。
REIも「皆さんの熱い気持ちが、僕たちを引っ張ってくれている」と感謝を述べたが、そんな真摯な想いはSWAGにも伝播し、すぐにアンコールを求める『ワンエン!』コールが湧き上がる。
その声に応えてのアンコール一発目は「Sexy Beach Party Yes!!」。
ミラーボールが回るサイケで煌びやかなEDMサマーチューンは、これまた夏のイベントラッシュで鍛え上げられてきた楽曲で、ダンスの振りもボーカルアレンジも最新形に。
高い熱量で客席に驚嘆の声をあげさせ、そこに続いたのは「Last Forever」だ。
SWAGたちが突き上げる白い光を受けて飛び跳ね、空高く突き抜けていきそうなポジティブなエネルギーを放出するダンスチューンには、ONE N’ ONLY という永遠に続く物語を祝福するような神聖な響きがあり、観る者の胸を熱くする。
「改めてSWAGのみんなに感謝したいと思います。
いつも本当にありがとう、愛してるぜ!」
(KENSHIN)と、最後は「Call me」でSWAGと息ぴったりの掛け合いを交えつつ、レゲエ調の愛らしいナンバーで身体を揺らして、クライマックスでは真紅の銀テープも。
理想的な大団円で幕を閉じるが、東京での夜公演『Concept C』では、ここで驚きの発表が為された。
「みんなにお知らせがあります」(HAYATO)と、トレーラーハウスではしゃぐ6人の映像が流れ、その中に映し出されたのは日本地図。
そして47都道府県ツアー『ONE N’ SWAG~Hook Up!!!!!!~』が10月より開催されること、ツアーファイナルが来年4月27日のパシフィコ横浜であることが発表されると、あまりにも予想外の発表に、会場は割れんばかりの大歓声とどよめきに包まれた。
その声にNAOYAは「なんか泣けてきちゃった。47都道府県ツアーをみんなすごく喜んでくれて、みんなも俺たちに会いたいんだなって……頑張ります!」と決意を新たに。
「初心に返って臨みたい」とTETTAが語れば、REIは「マジで嬉しいです!コロナで遠くのライブ会場に行くことが怖くなった人、すごくたくさんいると思うので、近くにいる友達を誘って来てほしい。パシフィコ、絶対埋めます。これからも熱い応援をよろしくお願いします!」と、熱狂的野球(千葉ロッテマリーンズ)ファンらしい言葉で頭を下げる。
KENSHINも「絶対満員にして次につなげたい。今回、5周年に賭けてるの、そういうことだから。俺たちは本気だから」とシリアスに告げ、「5周年イヤーは勝負の年だと思っているので、ここで何段階もレベルアップできるように、これからも一緒に駆け抜けてほしいなと思います」と、HAYATOもSWAGに助力を求めた。
「いつもたくさん会いに来てもらってるぶん、今度は僕らが会いに行きたいと思います!そしてファイナルは僕たち初のパシフィコ、ワンエン史上最大キャパシティのライブ会場!5周年の残り半年、パシフィコを目指して、あの会場がSWAGでいっぱいの景色を見たいと思います。ワンエン好きな人!どこまでもついてくって人!これからもついてきて、絶対また会いましょう!」
高らかな宣言は、リーダーの言葉を借りれば「ここからONE N’ ONLYは止まらないってことを証明し、みんなが応援してるONE N’ ONLYってカッコイイんだぜ!って言ってもらえるように頑張っていく」という決意表明にほかならない。SWAGの輪を広げるべく行われたFCツアーの、さらにその先でSWAGを『Hook Up=つなぐ』ツアーは、年を跨ぎ6ヶ月にわたる過酷なロードに。
だが、SWAGの歓喜の声に後押しされて、パシフィコまでの道のりもまた強く、太くつなげていくだろう。